【この記事の結論・要約】
- 検索結果の削除は、検索サービスに対して表示をやめるよう求めるものです。元のページ自体は残るため、そのページに直接アクセスすれば内容は閲覧できます。
- 裁判手続によって削除を求める場合、公表されない法的利益が優越することが明らかであるという水準が求められます。元の投稿の削除より高い水準です。
- 元のページが削除されれば、検索結果にも表示されなくなります。まず元のページの削除を検討し、それが実現しない場合に検索結果の削除を検討することになります。
はじめに
自分の名前を検索すると、見られたくないページが表示されるというご相談があります。
掲示板の書き込み、口コミ、過去の報道、まとめサイトの記事など、内容はさまざまです。
検索して出てくることが、就職や取引に影響することもあります。
この記事では、検索結果からの削除がどのような手続なのか、どのような場合に認められるのか、元のページの削除とどちらを先に進めるべきかを解説します。
検索結果の削除とは何を求めるものか
元のページは残る
検索結果の削除は、検索サービスに対して、そのページへのリンクを表示しないよう求めるものです。
元のページそのものが消えるわけではありません。
URLを知っている人が直接アクセスすれば、内容は閲覧できます。
| 元のページの削除 | 検索結果の削除 | |
|---|---|---|
| 相手方 | サイトの運営者 | 検索サービスの運営者 |
| 結果 | 内容そのものが消える | 検索しても表示されなくなる |
| 直接アクセス | できなくなる | できる |
| 求められる水準 | 比較的低い | 高い |
それでも意味がある場合
元のページが残るとしても、検索して表示されなくなることには意味があります。
氏名や社名で検索した人が、偶然に目にすることがなくなるためです。
採用や取引の場面で検索されることを考えれば、表示されないこと自体が結果につながります。
すべての検索語で消えるわけではない
削除が認められる場合でも、対象となるのは特定の検索語での表示です。
氏名での検索では表示されなくなっても、別の語で検索すれば表示されることがあります。
どの検索語を対象とするかを、あらかじめ整理しておく必要があります。
どのようなページが問題になるか
| 表示されるページ | 主な構成 |
|---|---|
| 掲示板の書き込み | 名誉毀損、名誉感情の侵害、プライバシー侵害 |
| 口コミサイトの投稿 | 名誉毀損、信用毀損 |
| 過去の逮捕報道とその転載 | プライバシー侵害 |
| まとめサイトの記事 | 名誉毀損、プライバシー侵害 |
| SNSの投稿 | 名誉毀損、名誉感情の侵害 |
| 本人の同意なく公開された画像 | プライバシー侵害、肖像権侵害 |
どの権利侵害として構成するかによって、主張すべき内容が変わります。
掲載されている内容を確認したうえで判断することになります。
逮捕報道については、以下の記事で詳しく解説しています。

2つの方法
| 検索サービスへの申請 | 裁判手続による請求 | |
|---|---|---|
| 手続 | 申請フォームから申し込む | 裁判所に仮処分を申し立てる |
| 対象 | 規約や法令に明らかに反する類型 | 権利侵害が認められる場合 |
| 期間 | 比較的短い | 数か月かかる |
| 判断 | 検索サービスの判断による | 裁判所が判断する |
まず申請を試み、対応されない場合に裁判手続を検討する順序になります。
申請で対応される類型
Googleは、検索結果から個人に関する情報の削除を申請できる仕組みを用意しています。
同社のヘルプページによれば、削除をリクエストできるコンテンツの種類が定められており、本人または代理人が申請できるとされています。
対応されやすい類型
- 本人の同意なく公開された性的な画像
- 金融口座や決済に関する情報
- 住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先
- 公的な身分証明の番号
これらは、公開されていること自体が明らかに問題となる類型です。
判断に比較を要しないため、申請によって対応される可能性があります。
申請では対応されにくい類型
他方、誹謗中傷の書き込み、口コミ、過去の報道については、申請では対応されないことが多くなります。
これらは、公表されない利益と公表する理由とを比べたうえで判断すべきものであり、検索サービスの側で一律に判断できるものではないためです。
この場合、裁判手続による請求を検討することになります。
裁判手続で求められる水準
最高裁が示した判断枠組み
最高裁平成29年1月31日第三小法廷決定(民集71巻1号63頁)は、検索結果からの削除について次のとおり判示しました。
「当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができる」
「明らかな場合」という限定が付いている点が重要です。
元の投稿の削除との違い
投稿そのものの削除については、この限定が付きません。
最高裁令和4年6月24日第二小法廷判決(民集76巻5号1170頁)は、投稿の削除について、公表されない法的利益が投稿を一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には削除を求めることができるとしています。
検索結果の削除は、投稿の削除より高い水準が求められます。
同じ内容について、投稿の削除は認められても検索結果の削除は認められないという結論があり得ます。

なぜ水準が高いのか
検索サービスは、情報を探すための基盤として機能しています。
その表示を制限することは、情報の流通そのものに影響します。
そのため、個別の投稿を削除する場合より、慎重な判断が求められます。
考慮される事情
前掲の平成29年決定は、判断にあたって考慮される事情として、次の点を挙げています。
- その事実の性質と内容
- その事実が伝達される範囲と、本人が被る具体的な被害の程度
- 本人の社会的地位や影響力
- 記事等の目的や意義
- 記事等が掲載された時の社会的状況と、その後の変化
- その記事等においてその事実を記載する必要性
事実の性質
同決定は、児童買春の被疑事実による逮捕について、社会的に強い非難の対象とされ罰則をもって禁止されていることから、今なお公共の利害に関する事項であるとしました。
事件の性質によっては、時間が経過しても公共の利害との関わりが失われにくくなります。
その後の変化
掲載された時の社会的状況と、その後の変化も考慮されます。
時間の経過、その後の生活状況、関連する状況の変化が、判断に影響します。
掲載された直後よりも、年数が経過した後のほうが求めやすくなります。
本人の立場
公務員、公職の候補者、著名人については、社会一般の関心の対象となる範囲が広くなります。
一般の私人であれば、公表されない利益が優越すると判断されやすくなります。
熊本地裁令和8年9月18日の判決について
つい先日、興味深い判決について報道されました。
執筆時点では判決全文の確認はできていませんが、熊本地判令和8年9月18日では、2015年に未成年への性犯罪事件で逮捕され、罰金刑を受けた男性の掲示板の投稿等について、逮捕から10年以上が経過していることや、掲示板への書き込みも速報が目的で、長期間閲覧され続けることを想定したものとは認めがたいなどとして、プライバシー権侵害に基づき、検索結果の削除義務を負うと判断しました1。
未成年への性犯罪という重大事件ではあるものの、処分が罰金刑であること、逮捕から10年以上経過していることが考慮されています。
刑法34条の2は、禁錮以上の刑の執行を終えてから10年、罰金以下の刑の執行を終えてから5年を経過したときは、刑の言渡しがその効力を失うと定めており、この点が考慮されたものと考えられます。
また、逮捕記事などは速報が目的であり、長期間閲覧され続けることを想定したものとは認めがたいとした部分も参考になります。
元のページの削除を先に検討する
元のサイトが消えれば検索結果からも消える
元のページが削除されれば、検索結果にも表示されなくなります。
そのため、まず元のページの削除を検討し、それが実現しない場合に検索結果の削除に進む順序になります。
求められる水準が低い手続から進めるという考え方です。

転載先が多数ある場合
同じ内容が複数のサイトに転載されていることがあります。
それぞれについて削除を求めるには、相手方ごとに手続が必要になります。
この場合、検索結果の削除を併せて検討する意味があります。
元のページの運営者が分からない場合
サイトの運営者が誰か分からず、連絡も取れないことがあります。
この場合、元のページの削除を求めること自体が難しくなります。
検索結果の削除が、現実的な選択肢になります。

投稿者の特定との関係
検索結果の削除は、書き込んだ人に対する請求ではありません。
投稿者に損害賠償を求めるのであれば、発信者情報開示請求が別に必要になります。
通信記録の保存期間という制約があるため、特定も行うのであれば、そちらを先に進めることになります。

サジェストと関連する検索キーワード
何が表示されているか
検索窓に氏名や社名を入力すると、続けて別の語が表示されることがあります。
「逮捕」「詐欺」「ブラック」といった語が並べば、そのページを見ていなくても否定的な印象を与えます。
検索結果のページに表示される関連する検索キーワードも同様です。
表示の仕組み
これらは、実際に検索されている語などをもとに自動的に表示されます。
誰かが意図的に設定しているものではないため、その点が削除を求める際の議論になります。
削除を求められるか
表示される語の組み合わせによって社会的評価が低下する場合には、削除を求める余地があります。
ただし、サジェストは自動で生成されたキーワードの羅列ですから、権利侵害にならないと判断される可能性も高いです。
事業者の場合
社名での検索
社名で検索したときに、口コミサイトや掲示板のページが上位に表示されることがあります。
採用や取引の場面で見られるため、事業への影響が生じます。
法人の場合の判断
法人についても、社会的評価が低下したことによる損害が問題になります。
もっとも、事業に関する情報は、取引をしようとする人にとって関心の対象となります。
個人のプライバシーの場合と比べて、公表する理由が認められやすくなる面があります。
表示順を下げる対策との違い
検索結果の上位に別のページを表示させることで、問題のあるページを目に触れにくくするという対策(いわゆる逆SEO対策)があります。
これは法的な手続ではなく、削除を求めるものでもありません。
ページ自体は残るため、検索語や時期によっては再び表示されます。
権利侵害として削除を求められる内容であれば、法的な手続を検討することになります。
手続の進め方
- 対象となるURLと検索語を一覧にする
- 元のページの削除を検討する
- 検索サービスへの申請を試みる
- 対応されない場合、裁判所に仮処分を申し立てる
対象を特定する
どのURLを、どの検索語で検索した場合に表示されないようにするのかを特定します。
氏名だけでなく、氏名と地名、氏名と勤務先といった組み合わせでも確認しておく必要があります。
表示される画面を保存しておいてください。
示すべき事情
公表されない法的利益が優越することが明らかであると主張するには、次のような事情を示すことになります。
- 掲載された内容と、それによって生じている不利益
- 掲載からの経過年数
- 現在の生活や事業の状況
- 公的な立場にないこと
- 掲載を続ける必要性が失われていること
期間の目安と結果
申請による場合
申請から回答までは、比較的短い期間で結果が出ます。
対応されなかった場合、その理由が詳しく示されるとは限りません。
次の手続に進むかどうかを、その時点で検討することになります。
裁判手続による場合
仮処分の申立てから判断が出るまでには、数か月を要します。
この間も、検索結果には表示され続けます。
急いで表示を止めたい事情がある場合には、その点も踏まえて進め方を検討する必要があります。
削除された後
削除が実現しても、対象となった検索語以外では表示されることがあります。
また、元のページが残っている以上、新たに転載されれば別のURLとして表示されます。
削除後も、定期的に確認しておく必要があります。
Google以外の検索サービス
検索サービスはGoogleだけではありません。
他の検索サービスでも同じページが表示されている場合には、それぞれについて対応を検討する必要があります。
検索の仕組みを他社から提供を受けているサービスもあり、その場合は提供元への対応によって結果が変わることがあります。
どのサービスで表示されているかを、あらかじめ確認しておいてください。
よくある質問(FAQ)
- 検索結果から消えれば、ページも消えますか。
-
消えません。
検索して表示されなくなるだけで、元のページは残ります。
URLを知っている人が直接アクセスすれば、内容は閲覧できます。内容そのものを消すには、サイトの運営者に対して削除を求める必要があります。
- 申請フォームから削除を求めましたが、対応されませんでした。
-
申請で対応されるのは、公開されていること自体が明らかに問題となる類型に限られます。
誹謗中傷や過去の報道については、比較の判断を要するため、申請では対応されないことが多くなります。この場合、裁判手続による請求を検討することになります。
- 元のページの削除と、どちらを先に求めるべきですか。
-
元のページが削除されれば、検索結果にも表示されなくなります。
求められる水準も元のページの削除のほうが低いため、まずそちらを検討することになります。ただし、転載先が多数ある場合や、運営者が分からない場合には、検索結果の削除が現実的な選択肢になります。
- サジェストに表示される語を消せますか。
-
表示される語の組み合わせによって社会的評価が低下する場合には、削除を求める余地があります。
もっとも、これらは実際に検索されている語などをもとに自動的に表示されるものであり、権利侵害に当たらないと判断される可能性も高いです。 - 掲載されてすぐでも削除を求められますか。
-
掲載からの経過年数は、判断に影響する事情の一つです。
掲載された直後は、公表する理由が失われていないと判断されやすくなります。他方、内容が事実と異なる場合や、明らかに問題のある類型であれば、その時点でも対応できることがあります。
- 会社の評判に関するページも削除できますか。
-
法人についても社会的評価の低下は問題になります。
もっとも、事業に関する情報は取引をしようとする人にとって関心の対象となるため、公表する理由が認められやすくなる面があります。
掲載されている内容が事実と異なるかどうかが、判断を左右します。
まとめ
この記事の要点は次のとおりです。
- 検索結果の削除を求めても、元のページ自体は残る
- 裁判手続では、公表されない法的利益が優越することが明らかであるという水準が求められる
- 投稿そのものの削除より高い水準であり、結論が分かれることがある
- 申請で対応されるのは、公開されていること自体が明らかに問題となる類型に限られる
- 元のページの削除が実現すれば、検索結果からも表示されなくなる
- 転載先が多数ある場合や運営者が分からない場合には、検索結果の削除が選択肢になる
どちらの手続を選ぶかは、掲載されている場所、転載の状況、経過年数によって変わります。
対象を整理したうえで、進め方を決めることになります。
当事務所では、インターネット上の投稿の削除、発信者情報開示請求、損害賠償請求のいずれにも対応しています。
検索結果に表示されるページについてお困りの方は、当事務所にご相談ください。
転載が進むほど、対応する範囲は広がります。
お早めにご相談ください。
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