【この記事の結論・要約】
- オープンチャットは、アカウントを持つ人であれば誰でも参加できるサービスであるため、通常のLINEグループと異なり発信者情報開示請求の対象となります。ニックネームでの投稿であっても、投稿者を特定できる可能性があります。
- 従来はIPアドレスを経由する手続が中心でしたが、東京高裁がLINEアカウントに登録された電話番号の開示を命じた裁判例があり、IPアドレスからたどれなかった場合の手段が広がっています。
- 通信記録の保存期間には限りがあり、投稿が削除されると立証も特定も難しくなります。まず証拠を保存したうえで、早い段階で相談してください。
はじめに
LINEオープンチャットは、共通の関心を持つ人が匿名で交流できるサービスですが、その匿名性から、特定の個人や事業者に対する誹謗中傷が書き込まれることがあります。
- 実名や勤務先が分かる形で、事実と異なる内容を書き込まれている
- 顔写真を貼られ、容姿について繰り返し中傷されている
- 店舗や会社について、事実に基づかない投稿がされている
「ニックネームだから特定されない」「参加している人しか見ていないから問題ない」という理解のもとで書き込みがされることがありますが、法的にはそのとおりではありません。
本記事は、こうした投稿の被害を受けた側を対象に、投稿者を特定する方法、削除を求める方法、費用と期間の考え方を解説します。
なお、投稿をした側として開示請求を受けた方は以下の記事をご覧ください。

オープンチャットの投稿は開示請求の対象になるのか
オープンチャットと通常のLINEグループの違い
通常のLINEグループは、既に「友だち」になっている人や、招待を受けた特定の人だけが参加する空間です。
これに対してオープンチャットは、LINEのアカウントを持っている人であれば誰でも、トークルームを検索して参加できるサービスです。
この違いが、法的には非常に重要です。
なぜオープンチャットは対象になるのか
発信者情報開示請求の対象となるのは、「特定電気通信」による情報の流通です。
特定電気通信とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信をいいます(情報流通プラットフォーム対処法2条1号)。
オープンチャットは、後述する東京高判令和7年1月28日は、アカウントを有する者であれば誰でも利用でき、ログインした者が特定のトークルームに参加すれば投稿や閲覧ができることを認定したうえで、そこでの投稿は特定電気通信に当たると判断しています。
また、名誉毀損が成立するためには「公然と」事実を摘示したことが必要ですが、不特定多数が参加できるオープンチャットは、この要件も満たしやすい媒体といえます。
グループトーク・個別トークの場合
一方、通常のグループトークや1対1の個別トークは、特定の参加者に限定された空間です。
そのため、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信には当たらないと判断される可能性が高く、発信者情報開示請求の対象外となる可能性があります。
この場合、投稿者が誰であるか既に分かっているのでなければ、対応が難しくなります。
もっとも、グループの人数によっては名誉毀損の公然性の要件を満たす余地はあります。
名誉毀損の公然性については、以下の記事で解説しています。

ニックネームでも特定できる理由
オープンチャットでは、LINE本体のアカウントとは別に、トークルームごとの名前やアイコンを設定できます。
しかし、これは表示上の匿名性にすぎません。
オープンチャットを利用するにはLINEのアカウントでログインする必要があり、そのアカウントには登録情報が紐づいています。
法的な手続を通じて、これらの情報から投稿者にたどり着ける可能性があります。
どの投稿なら開示が認められるのか
不快な投稿がすべて開示の対象になるわけではありません。
以下の説明は、分かりやすさを優先して要点を整理したものです。
名誉毀損
公然と事実を摘示し、他人の社会的評価を低下させる行為です(民法709条・710条、刑法230条1項)。
たとえば「〇〇は過去に横領をした」「不倫をしている」といった、具体的な事実を示す投稿がこれに当たります。
摘示された事実が真実であっても、公共性・公益目的がなければ名誉毀損となり得ます。
逆に、①公共の利害に関する事実に係り、②専ら公益を図る目的であった場合で、③摘示された事実が真実であることの証明があったときは、違法性が阻却されます(刑法230条の2第1項)。
侮辱
具体的な事実を示さずに、他人を罵倒する行為です(刑法231条)。
「バカ」「気持ち悪い」といった言葉がこれに当たります。
民事上は、名誉感情の侵害として問題になります。
単に不快な言葉であれば足りるわけではなく、社会通念上許される限度を超えているかどうかが問われます。
2022年7月の改正により、侮辱罪の法定刑は拘留又は科料から、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に引き上げられました。
プライバシー侵害・個人情報の晒し
本人が公開していない私生活上の事実を、正当な理由なく公開する行為です。
住所、電話番号、勤務先、病歴、本人の写真の無断掲載などが典型例です。
プライバシー侵害が認められるためには、一般に、①私生活上の事実又は事実と受け取られるおそれのある事柄であること、②一般人の感受性を基準として公開を欲しない事柄であること、③一般の人にまだ知られていない事柄であること、が必要とされています(東京地方裁判所昭和39年9月28日判決「宴のあと」事件参照)。
脅迫・業務妨害
生命や身体への危害を予告する投稿は、脅迫罪(刑法222条)に当たり得ます。
また、事業者に関する虚偽の情報を流して営業を妨げる行為は、信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条)の問題となります。
開示が認められるための2つの要件
開示が認められるには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 権利侵害の明白性:投稿によって権利が侵害されたことが明らかであること
- 正当な理由:損害賠償請求権の行使のために必要である場合など、開示を受けるべき正当な理由があること
開示が難しいケース
次のような場合には、開示が認められない、あるいは特定に至らないことがあります。
誰に対する投稿か分からない場合(同定可能性)
投稿に実名がなくても、他の記載と併せて誰のことか分かる場合には対象になり得ます。
しかし、対象が絞り込めない投稿については、自分の権利が侵害されたと主張すること自体が難しくなります。
投稿から日数が経過している場合
後述のとおり、通信記録の保存期間には限りがあります。
意見や論評として許される範囲にとどまる場合
批判的な内容であっても、意見・論評として許容される範囲のものは、違法とはされません。
投稿者を特定する方法
従来の方法|IPアドレスを経由する手続
投稿者の特定は、原則として次の流れで進みます。
第1段階:LINEヤフー株式会社に対し、投稿に用いられたIPアドレスやタイムスタンプの開示を求めます。この段階では、まだ投稿者の氏名や住所は分かりません。
第2段階:IPアドレスから判明したアクセスプロバイダ(携帯電話会社や光回線の事業者)に対し、その通信記録に対応する契約者の氏名・住所の開示を求めます。
2022年10月1日に施行された改正により、発信者情報開示命令という手続が設けられ、これらを一連の手続として進められるようになりました。
判明したアクセスプロバイダの名称等を提供させる提供命令と、手続の間に通信記録を消去させない消去禁止命令を申し立てることができます。
もっとも、この方法には限界があります。
第一に、複数の手続を経るため時間がかかり、その間に通信記録の保存期間が経過するおそれがあります。
第二に、IPアドレスが開示されても、そこから契約者にたどり着けないことがあります。
電話番号の開示を命じた裁判例
上記の経路で特定に至らなかった場合について、注目すべき裁判例があります。
東京高等裁判所令和7年1月28日判決は、オープンチャットに侮辱的な投稿がされた事案で、投稿に用いられたアカウントに係るLINEアカウントに登録された電話番号の開示を命じました。
この事案では、被害者側が先に提供命令を得てIPアドレスを経由する手続を進めたものの、開示された情報では発信者の特定に至りませんでした。
そこで、次の手段として電話番号の開示を求めたものです。
第一審は、事業者が電話番号を保有しているとは認められないとして請求を棄却しましたが、控訴審はこれを取り消しました。
「保有する」の意味について
判決は、開示の対象となる発信者情報が「保有する」ものに限られていることについて、次のように述べています。
同項における「保有する」とは、当該開示関係役務提供者が当該発信者情報について開示することができる権限を有することをいうと解するのが相当である。
そのうえで、次のように続けています。
「権限を有する」というためには、当該開示関係役務提供者において、その権限行使が可能な程度に、情報の存在を把握し、これを特定・抽出し得る場合をいうと解するのが相当であり、開示関係役務提供者の管理する範囲内に存在する発信者情報であっても、抽出のために莫大なコストを要する場合や、体系的に保管されておらず、開示関係役務提供者としてはその存在が把握できないような場合には、当該発信者情報を「保有する」場合に該当しないというべきである。
つまり、事業者が「すぐには分からない形で保管している」というだけでは、保有していないことにはならない、という考え方です。
通信の秘密との関係について
事業者側は、オープンチャットのアカウントからLINEアカウントの登録情報を確認するには通信履歴の解析が必要であり、通信の秘密の侵害に当たるから法的に不可能である、と主張していました。
これに対し判決は、次のように述べてこの主張を退けています。
発信者情報開示請求は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めた法律であるプロバイダ責任制限法5条に基づく請求であって、これに基づく発信者情報の開示のための準備行為については、特定電気通信役務提供者の正当業務行為に該当すると解される
この裁判例の位置づけ
電話番号が判明すれば、そこから投稿者にたどり着ける可能性があります。
IPアドレスを経由する経路で特定に至らなかった場合の手段として、実務上の意味は小さくありません。
もっとも、これは個別の事案についての判断であり、同様の請求が常に認められるとは限りません。
また、権利侵害の明白性と正当な理由という要件が必要であることに変わりはなく、どのような投稿でも開示されるわけではありません。
どの情報の開示を求めるか、どの順序で進めるかは、事案に応じた判断を要します。
どこまで開示されるのか
開示の対象となるのは、投稿者を特定するために必要な情報です。
具体的には、氏名・名称、住所、電話番号、電子メールアドレス、IPアドレス、タイムスタンプなどが、法令で定められた範囲で開示の対象となります。
一方で、投稿者のトークの内容そのものや、他の参加者の情報が開示されるわけではありません。
「開示請求をすれば相手のLINEの中身が見られる」というものではない、という点にご注意ください。
任意の請求では足りないこと
LINEヤフー株式会社は、任意の求めに応じて発信者情報を開示することには消極的です。
前記の裁判例においても、同社は法的に不可能であると主張して開示を争っています。
そのため、投稿者を特定するには、裁判手続(発信者情報開示命令または仮処分)を利用することが基本になります。
通信記録の保存期間
アクセスプロバイダが接続記録を保存している期間は、一般に3か月から6か月程度とされています。
保存期間は事業者によって異なります。
この期間を経過すると、法的な主張が正しくても、技術的に特定できなくなります。
そのため、問題となる投稿を発見した場合、早急に弁護士にご相談されることをお勧めします。
削除を求める方法
投稿者の特定とは別に、投稿そのものの削除を求めることもできます。
オープンチャット内の通報機能
トークルーム内の通報機能を使って、運営会社に規約違反を報告する方法です。
無料で行うことができますが、判断されるのは運営会社が定める規約への違反の有無であり、法的な権利侵害の有無ではありません。
そのため、権利侵害に当たり得る投稿であっても、削除されないことがあります。
情報流通プラットフォーム対処法に基づく削除の申出
2025年4月1日、従来のプロバイダ責任制限法が改正され、情報流通プラットフォーム対処法に名称・内容が改められました。
この改正により、一定規模以上のプラットフォーム事業者は、総務大臣から大規模特定電気通信役務提供者の指定を受け(法20条1項)、削除対応について義務を負うこととなりました。
LINEヤフー株式会社も、この指定を受けています。
指定を受けた事業者に課される主な義務は、次のとおりです。
- 権利侵害情報の削除の申出を受け付ける窓口を定め、公表すること(法22条)
- 申出を受けたときは、申出者に対し一定の期間内に措置の有無等を通知すること(法25条1項)
- 削除の判断基準を策定し、公表すること
- 措置の実施状況を公表すること
削除を求める側からすれば、申出が放置されることがなくなり、削除しない場合にはその理由が示されるようになった点が、従来との違いです。
もっとも、期間内に義務づけられているのは「通知」であって、削除ではありません。 通知の内容が「削除しない」であることも当然にあり得ます。
また、この法律によって削除を請求できる権利が新たに設けられたわけではなく、削除するかどうかの判断基準そのものは改正前と変わっていません。
インターネット上の誹謗中傷への対応全般については、以下の記事で解説しています。

削除を先行させる場合の注意点
投稿者の特定を考えている場合、通報や削除依頼を先行させることには注意が必要です。
投稿が削除されると、その投稿が存在したこと自体を立証することが難しくなります。
また、削除に伴い、特定の手がかりとなる情報が失われる可能性もあります。
削除を求める場合であっても、その前に必ず証拠を保存してください。
かかる費用と期間
費用がかさむ理由
投稿者の特定に費用がかかるのは、複数の手続を重ねる必要があるためです。
LINEヤフー株式会社に対する手続と、アクセスプロバイダに対する手続は、相手方が異なる別々の手続です。
さらに、電話番号の開示を求める経路をとる場合や、開示を受けた後に損害賠償を請求する場合には、それぞれ別の対応が必要になります。
また、投稿が複数ある場合や、投稿者が複数いる場合には、その分だけ検討する対象が増えます。
このほか、裁判所に納める申立手数料や郵便費用、仮処分の方法による場合には担保金が必要になります。
担保金は、手続が終わった後に所定の手続を経て返還を受けられるのが通常です。
費用倒れになる可能性・
特定に要した費用が、最終的に相手から回収できる額を上回ることは珍しくありません。
理由は2つあります。
第一に、誹謗中傷の慰謝料として認められる額は、後述のとおり、必ずしも高額にはなりません。
第二に、投稿者の特定に要した弁護士費用について相手方に請求できる場合はありますが、認められるのは損害額の一部にとどまるのが通常です。
そのうえで、それでも投稿者を特定する意味はあります。
投稿を止めさせること、示談において今後同様の投稿を行わない旨の約束をさせること、投稿が繰り返される状態から抜け出すこと自体に価値があります。
費用をかける価値があるかどうかは、投稿の内容や頻度、生活や仕事への影響の程度によって判断が分かれます。
期間の目安
複数の手続を重ねるため、特定までには相応の期間を要します。
どの経路をとるか、相手方がどのような対応をするかによって大きく異なるため、一律の見通しを示すことは困難ですが、半年かそれ以上となることが多いです。
いずれにしても、通信記録の保存期間との関係で、着手が遅れるほど選択肢が狭まります。
特定した後にできること
損害賠償請求(慰謝料)
特定した相手に対し、慰謝料を請求することができます。
金額は、投稿の内容、閲覧された範囲、投稿が繰り返されたかどうか、被害者の職業や社会的立場といった事情によって異なりますが、一般的な目安は次のとおりです。
| 権利侵害の種類 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 個人の名誉毀損 | 10万円〜50万円程度 |
| 事業者の名誉毀損 | 50万円〜100万円以上(業務への影響による) |
| 名誉感情の侵害(侮辱) | 数万円〜30万円程度 |
| プライバシー侵害 | 10万円〜50万円程度 |
事業者の場合は、営業上の損害が生じ得るため、個人よりも高い水準となる傾向があります。
もっとも、これらはあくまで目安であり、個別の事案で認められる額は事案ごとに判断されます。
金銭の支払だけでなく、示談において、今後同様の投稿を行わないこと、既存の投稿を削除することといった条項を設けることで、再発を防ぐことが考えられます。
刑事告訴
投稿の内容によっては、刑事責任を問える場合があります。
| 罪名 | 成立する場合 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 名誉毀損罪(刑法230条1項) | 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 侮辱罪(刑法231条) | 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合 | 1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 |
| 脅迫罪(刑法222条) | 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した場合 | 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
告訴期間に注意
名誉毀損罪と侮辱罪はいずれも親告罪であり、犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります(刑法232条1項、刑事訴訟法235条1項)。
投稿者を特定した後、速やかに告訴の要否を判断する必要があります。
告訴期間については以下の記事もご確認ください。

相手が意見照会書を受け取る段階での対応
開示請求の手続では、投稿者本人に対し、事業者から意見照会書が送付されます。
この段階で、相手方から示談の申入れがされることもあります。
意見照会の手続については、以下の記事で解説しています。

事業者が被害を受けた場合
オープンチャットでは、店舗や会社に関する投稿がされることもあります。
事実に反する内容によって信用が害された場合には、名誉毀損のほか、信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条)の問題となります。
事業者の場合、慰謝料に加えて、売上の減少などの営業上の損害を主張できる余地があります。
もっとも、投稿と売上の減少との因果関係の立証は容易ではないため、投稿の前後の状況を示す資料を残しておくことが重要です。
被害に遭った際に行うべき初期対応
証拠の保存
投稿が削除される前に、次の情報がすべて入るようにスクリーンショットを保存してください。
- 投稿の内容(全文)
- 投稿者の名前(ニックネーム)
- 投稿日時
- 投稿のURL
- 前後の文脈
特にURLの取得が重要
オープンチャットの通常画面ではURLは表示されていませんが、メニューの「招待」から「リンクをコピー」「リンクをシェア」等を選ぶことで取得できます。
投稿の本文だけを切り取った画像では、いつ、どこに掲載されていたものかを示すことができません。
自分から反論しないこと
投稿に対して自分から反論すると、やり取りが続き、投稿が増える結果になることがあります。
また、感情的な書き込みをすれば、その内容自体が後に不利に働くこともあります。
対応は弁護士に委ねるのが安全です。
弁護士への相談
発信者情報開示請求は、法的な検討と迅速な手続の双方が求められる類型です。
通信記録が消える前に、できるだけ早い段階でご相談ください。
よくある質問(FAQ)
- LINEオープンチャットの匿名投稿者を特定できますか。
-
発信者情報開示請求により特定できる可能性があります。
オープンチャットは、アカウントを持つ人であれば誰でも参加できるサービスであるため、開示請求の対象となる特定電気通信に当たると判断されています。
ただし、LINEヤフー株式会社は任意の求めには消極的であるため、裁判手続を利用することが基本になります。 - グループLINEでの誹謗中傷にも開示請求はできますか。
-
通常のグループトークは特定の参加者に限定された空間であり、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信に当たらないと判断される可能性が高いため、開示請求の対象外となる可能性があります。
そのため、投稿者が誰であるか既に分かっているのでなければ、対応が難しくなります。 - IPアドレスからは特定できませんでした。もう手はありませんか。
-
直ちに諦める必要はありません。
東京高判令和7年1月28日は、IPアドレスを経由する手続で発信者の特定に至らなかった事案において、LINEアカウントに登録された電話番号の開示を命じています。
ただし個別の事案についての判断であり、同様の請求が常に認められるとは限りません。手元にある資料をお持ちのうえ、ご相談ください。
- 開示請求では、相手のトーク内容まで見られるのですか。
-
見られません。
開示の対象となるのは、氏名・住所・電話番号・電子メールアドレス・IPアドレス・タイムスタンプなど、投稿者の特定に必要な情報として法令で定められたものです。
投稿者のトークの内容そのものや、他の参加者の情報が開示されるわけではありません。 - 投稿から何日以内に開示請求すべきですか。
-
明確な期限はありませんが早急に弁護士にご相談ください。
アクセスプロバイダが接続記録を保存している期間は、一般に3か月から6か月程度とされています。
事業者によってはこれより短い場合もあります。この期間を過ぎると、技術的に特定が困難になります。被害を発見したら、できるだけ早くご相談ください。
- 通報して削除してもらってから、投稿者を特定することはできますか。
-
順序には注意が必要です。
投稿が削除されると、その投稿が存在したこと自体の立証が難しくなり、特定の手がかりとなる情報が失われる可能性もあります。
削除を求める場合であっても、その前に必ず証拠を保存してください。特定まで考えている場合は、削除を依頼する前にご相談ください。
- 開示請求にはどのくらいの費用がかかりますか。
-
投稿の件数や、どの方法をとるかによって変わります。
具体的な費用については、ご相談の際にご説明します。 - 費用倒れになりませんか。
-
その可能性はあります。
誹謗中傷の慰謝料として認められる額は必ずしも高額ではなく、特定に要した弁護士費用のうち相手方に請求できるのは一部にとどまるのが通常です。
他方で、投稿を止めさせること自体に価値があるケースもあります。費用をかける価値があるかどうかは、投稿の内容や影響の程度によって判断が分かれますので、一度弁護士にご相談ください。
- 慰謝料の相場はどのくらいですか。
-
一般的な目安として、個人に対する名誉毀損で10万円〜50万円程度、事業者に対する名誉毀損で50万円〜100万円以上、名誉感情の侵害(侮辱)で数万円〜30万円程度、プライバシー侵害で10万円〜50万円程度とされています。
ただし、投稿の内容や被害の程度によって大きく異なり、個別の事案で認められる額は事案ごとに判断されます。
- 証拠保存で最も重要なことは何ですか。
-
投稿が削除される前に、投稿内容の全文・投稿者のニックネーム・投稿日時・投稿のURL・前後の文脈がすべて入るようにスクリーンショットを保存することです。
特にURLの取得が重要です。
オープンチャットの通常画面ではURLは表示されませんが、メニューの「招待」から「リンクをコピー」等を選ぶことで取得できます。
まとめ
- オープンチャットは誰でも参加できるサービスであるため、通常のLINEグループと異なり発信者情報開示請求の対象となります。
- 従来はIPアドレスを経由する手続が中心でしたが、東京高等裁判所令和7年1月28日判決は、IPアドレスからたどれなかった事案において、LINEアカウントに登録された電話番号の開示を命じました。
- 開示されるのは投稿者の特定に必要な情報であり、トークの内容そのものが見られるわけではありません。
- 通信記録の保存期間には限りがあり、着手が遅れるほど選択肢が狭まります。
- 通報や削除依頼を先行させると特定が難しくなる場合があるため、まず証拠を保存してください。
当事務所では、インターネット上の誹謗中傷について、投稿の削除、投稿者の特定、特定後の損害賠償請求まで一貫してお受けしています。投稿を保存したうえで、お早めにご相談ください。
インターネットの誹謗中傷等についてはこちらから
弊所の弁護士へのご相談等はこちらから