貞操権侵害の慰謝料請求を、会社や家族に知られず解決するには

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 請求を放置して訴訟や強制執行に進むと周囲に知られるリスクが高まります。早めに動くことが、知られずに解決するための基本になります。
  2. 弁護士を代理人に立てて窓口を一本化すると、相手と直接やり取りせずに進められ、発覚のリスクを抑えやすくなります。
  3. 示談での解決や、示談書での口外禁止の取り決めなど、周囲に知られにくくするための方法があります。

はじめに

交際していた相手から、既婚であることを伏せていたとして慰謝料を請求される。
このとき、多くの方がまず心配するのは、勤務先や家族にこのことが知られないか、という点です。

この記事では、貞操権侵害の慰謝料を請求された方が、会社や家族に知られずに解決を進めるための方法を説明します。
どの段階で周囲に知られるリスクが生じ、それをどう抑えるかを中心に扱います。
成立そのものを争えるか、金額を減らせるか、請求書が届いた直後に何をすべきかは、それぞれ別の記事をご確認ください。

あわせて読みたい
貞操権侵害で慰謝料を請求されたら|独身と偽ったと言われた方へ、反論と減額を弁護士が解説 【この記事の結論・要約】 貞操権侵害の慰謝料請求は、請求されれば必ず認められるものではありません。特に、二人の関係が結婚を期待させるような真剣な交際ではなかっ...

どの段階で周囲に知られるリスクが生じるか

周囲に知られるリスクは、どの段階でも同じではありません。
次のような場面で周囲に知られる可能性があります。

  • 相手が自宅や勤務先に直接連絡してくる。
  • 相手が「家族に言う」「勤務先に伝える」と述べて、支払いを迫ってくる。
  • 請求を放置した結果、訴訟になり、訴状が自宅に郵送される。裁判の期日には出廷が必要になることもあります。
  • 判決後も支払わず、強制執行に進む。給料を差し押さえられると勤務先に通知が届き、動産を差し押さえられると自宅に執行官が来ます。

後の段階に進むほど、リスクは高くなります。
訴訟や強制執行の段階では、自宅や勤務先に書類が届いたり人が来たりするため、周囲に知られやすくなります。
逆に、その手前で解決できれば、知られずに済む可能性が高まります。

早めの対応が重要になるのは、このためです。

弁護士を代理人にして窓口を一本化する

会社や家族に知られずに進めるうえで最も効果的なのは、弁護士を代理人に立てて窓口を一本化することです

弁護士が代理人になると、相手方や相手方の代理人とのやり取りを弁護士が引き受けます。
ご本人が相手と直接会ったり話したりする必要がなくなります。
相手が「本人と話したい」「本人を出せ」と求めてきても、以後は弁護士が対応すると伝えられます。

連絡の窓口が弁護士事務所になるため、自宅や勤務先への直接の連絡も避けやすくなります。
相手が繰り返し電話や訪問をしてくる場合でも、間に弁護士が入ることで、周囲に気づかれる機会を減らせます。

相談の段階から、周囲に知られない配慮は可能です。
来所せずにオンラインや電話で相談できる事務所もあります。

相手から「会社や家族に言う」と迫られたとき

相手が「支払わなければ会社に言う」「家族にバラす」と述べて、支払いを迫ってくることがあります。
動揺して言われるまま応じてしまう方もいますが、その場で即答する必要はありません。

弁護士が代理人に入れば、相手方に対し、家族や勤務先といった無関係の第三者には連絡しないよう求めることができます。

請求すること自体は相手の権利です。
しかし、支払わせる目的で第三者への暴露をほのめかす行為は、正当な権利行使の範囲を超えると、脅迫や強要などの別の問題になる可能性があります
相手の言動に不安を感じる場合は、感情的に直接反論せず、まず弁護士に相談してください。

訴訟を避け、示談での早期解決をめざす

裁判は公開が原則です。
訴訟になると、訴状が自宅に届き、期日に出廷し、場合によっては当事者として証言することもあります。
外部に事案が知られるおそれは、示談交渉の時点よりも高くなります。

一方、示談は当事者間の話し合いによる解決なので、外部に出にくいという特徴があります。
周囲に知られずに解決したい場合は、訴訟を避け、示談による早期解決をめざすことが基本の方針になります。

示談で解決する場合、示談書に、事案を第三者に口外しないという条項(口外禁止条項・秘密保持条項)を入れることがあります。
約束が破られた場合の取り決めをあわせて定めることもあります。
ただし、条件を細かく付けすぎると相手が合意しにくくなることもあり、どこまで盛り込むかは交渉次第とされています。

どの方針で進めるか、すなわち成立を争うか、減額を求めるか、示談でまとめるかは、事実関係によって変わります。方針の選び方は、次の各記事もあわせてご覧ください。

あわせて読みたい
貞操権侵害の慰謝料請求に「結婚を前提とした関係ではなかった」と反論できるか 【この記事の結論・要約】 独身と偽っていたとしても、相手に婚姻への期待を生じさせ、その期待に乗じたといえなければ、貞操権侵害は原則として成立しないとされる方向...
あわせて読みたい
既婚を「積極的に偽った」といえるか|黙っていただけの場合に貞操権侵害は成立するか 【この記事の結論・要約】 「独身だと積極的には言っていない(黙っていただけだ)」という事情は、成立要件のうち欺罔を争う中核になり得ます。純然たる沈黙にとどまり...
あわせて読みたい
貞操権侵害の慰謝料は減額できる?|請求された金額を下げる交渉のポイントを弁護士が解説 【この記事の結論・要約】 貞操権侵害の慰謝料として請求された金額は、相手が「支払ってほしい」と考える希望額にすぎません。悪質性の程度、交際・関係の実態、相場と...

周囲に知られるリスクを高めてしまう対応

知られずに解決したいなら、次の対応は避けてください。

  • 請求を放置する:放置すると訴状が自宅に届き、欠席のまま判決が出て、強制執行に進むおそれがあります。かえって周囲に知られやすくなります。
  • 相手に直接接触する、SNSで相手のことに触れる:事態を複雑にし、別の問題を生むことがあります。
  • 証拠となるやり取りを削除する:後で反論する際の材料を失います。

請求書が届いた直後の対応全般は、別の記事で扱っています。

あわせて読みたい
貞操権侵害の慰謝料で高額請求・内容証明が届いたときの初動対応 【この記事の結論・要約】 内容証明郵便は、通知した事実と日付を証明するものであり、書かれた金額が妥当であることを意味するわけではないとされています。記載された...
あわせて読みたい
貞操権侵害の慰謝料請求に時効はある?期間・起算点と請求する側・された側の注意点 【この記事の結論・要約】 貞操権侵害の慰謝料請求権は、原則として「損害と加害者を知った時から3年」「侵害の時から20年」のいずれかで時効により消滅します。 特に「...

よくある質問(FAQ)

相手から「会社にバラす」と言われています。どうすればよいですか。

その場で即答せず、まず弁護士に相談してください。

弁護士が代理人に入れば、相手方に対し、勤務先や家族へ連絡しないよう求めることができます。
支払わせる目的で第三者への暴露をほのめかす行為は、正当な請求の範囲を超えると脅迫等が成立する可能性があります。

家族に知られずに解決できますか。

必ず知られないと保証はできませんが、リスクを抑えることはできます。

訴訟や強制執行に進む前の段階で、弁護士を窓口にして示談で解決できれば、家族に知られずに済む可能性は高まります。
放置して訴訟になると、訴状が自宅に届くため、知られるリスクが上がります。

弁護士に依頼すると、かえって大ごとになりませんか。

逆に、周囲に知られるリスクを下げやすくなります。

弁護士が窓口になることで相手との直接のやり取りがなくなり、自宅や勤務先への連絡も避けやすくなります。
相手が本人との接触を求めても、弁護士が対応することが可能です。

訴訟になると、必ず家族に知られますか。

訴状は自宅に郵送されるため、知られるリスクは高まります。
ただし、訴訟に至る前に示談で解決できれば、この段階を避けられます。

早めに対応して訴訟を回避することが重要になります。

まとめ

貞操権侵害の慰謝料を請求されたとき、会社や家族に知られずに解決するための要点は次のとおりです。

  • 周囲に知られるリスクは、放置して訴訟や強制執行に進むとより高まる。早めに動くことが基本になる。
  • 弁護士を代理人に立てて窓口を一本化すると、相手と直接やり取りせずに進められ、発覚のリスクを抑えやすい。
  • 訴訟を避けて示談で早期に解決し、必要に応じて口外禁止の取り決めを入れる。

当事務所では、貞操権侵害の慰謝料を請求された方について、勤務先や家族に知られないよう配慮しながら、交渉から解決までを対応しています。
周囲に知られずに解決したいとお考えの際は、お早めにご相談ください。

貞操権侵害で慰謝料を請求されている方はこちら

弊所の弁護士へのご相談等はこちらから

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

目次