貞操権侵害の慰謝料で高額請求・内容証明が届いたときの初動対応

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 内容証明郵便は、通知した事実と日付を証明するものであり、書かれた金額が妥当であることを意味するわけではないとされています。記載された額をそのまま支払わなければならないとは限りません。
  2. もっとも、放置や無視には相応のリスクがあり、初動の段階で確認・整理・保全しておくべき事項があります。
  3. 高額な請求であっても、成立そのものを争える場合や減額できる場合があり、方針の見極めが重要になります。

はじめに

交際していた相手から、既婚であることを伏せていたとして、高額な慰謝料の請求書や内容証明郵便が届く。
突然のことに動揺し、「すぐに支払わなければならないのか」「無視してよいのか」と迷われる方は少なくありません。

本記事は、こうした請求を受けた側の初動対応に絞って解説します。
すなわち、届いた書面をどう受け止め、最初に何をしておくべきか、そして何を避けるべきかという点です。

なお、「そもそも成立していないのではないか」という実体的な反論や、「金額が高すぎるのではないか」という減額の具体的な考え方は、それぞれ別の記事で扱っています。
本記事は、それらの検討に入る前の、届いた直後の対応を扱います。

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内容証明・請求書が届いたら、まず落ち着いて内容を確認する

内容証明郵便は「金額の正しさ」を証明するものではない

内容証明郵便は、いつ・誰が・誰に対して・どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明する仕組みです。
証明されるのは、その文書を相手に通知したという事実と日付であって、書かれている内容や請求金額が正しいことまでを証明するものではありません

したがって、「慰謝料として高額な金額を支払え」と記載されていても、その金額が妥当であるとは限りません。
記載された額を鵜呑みにして、直ちに全額を支払わなければならないわけではありません。

まず確認すべき事項

届いた書面については、次の点を落ち着いて確認する必要があります。

  • 差出人が本人か、代理人(弁護士)か:代理人名の書面であれば、相手が相応の準備をして請求してきていると受け止めるのが穏当です。
  • 請求の根拠:どのような事実を前提に、何を理由として請求しているのか。
  • 請求金額:いくら請求されているのか。
  • 回答期限:いつまでに回答を求めているのか。
  • 記載された事実関係の当否:交際の経緯、期間、関係の実態などについて、事実と異なる記載がないか。

事実と異なる期間や回数などが記載されている場合には、その点は後の対応で否定していくことになります。
まずは、記載内容を正確に把握しておくことが重要です。

初動で整理・保全しておくべきこと

届いた直後の段階で、後の方針判断に備えて整理・保全しておくべき事項があります。

  • 当時のやり取り・記録を残しておく:メッセージや連絡の履歴は、事実関係を客観的に示す重要な材料になります。感情的な整理のつもりで削除してしまうと、後で自らに有利な事情を裏づけられなくなることがあります。
  • 回答期限を把握し、管理する:期限を意識しないまま時間が経過すると、取り得る選択肢が狭まることがあります。
  • 事実関係を整理する:交際の経緯や関係の実態を時系列で整理しておくと、成立を争えるか、減額できるかといった方針を検討する際の材料になります。

なお、この事実関係の整理は、その後の対応の方向性を左右します。
「そもそも成立していないのではないか」という点や、「金額が高すぎるのではないか」という点については、それぞれ別の記事で解説しています。

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やってはいけない初動

初動を誤ると、かえって状況を悪化させることがあります。次の対応は避けるべきです。

  • 無視・放置する:請求を放置しても問題が消えるわけではなく、相手が次の手続に進むことがあります。放置している間に時効の管理などの面でも不利になり得ます。
  • 感情的に直接連絡・返信する:相手に直接連絡して感情的なやり取りをすると、不利な言質を与えることにつながりかねません。相手を非難する言動も、事態を複雑にします。
  • 相手方本人への接触やSNS等での言及:相手方に直接接触したり、SNS等で相手のことに触れたりする行為は、貞操権侵害とは別個の問題(名誉に関わる問題など)を生じさせかねません。
  • 証拠を削除する:関係の実態を示す記録を削除・破棄することは避けるべきです。
  • 安易な謝罪・一部の支払い:早期に収めようとして安易に謝罪したり、一部を支払ったりすると、責任や金額を事実上固めてしまうおそれがあります。慎重な判断が必要です。

「高額だから払わなければならない」わけではない

請求額が高額であっても、それが妥当な金額であるとは限りません。
対応の方向性としては、大きく次のものが考えられます。

  • 成立そのものを争う:そもそも貞操権侵害は成立していないとして、支払義務自体を否定する方向。関係が婚姻を見据えたものではなかったという観点や、独身であると偽ったとはいえないという観点から争う余地があります。
  • 金額を争う(減額):一定の責任は前提としつつ、金額が過大であるとして減額を求める方向。
  • 時効を検討する:一定の期間の経過により、請求が認められなくなる場合があります。

これらのうちどの方向で対応するのが適切かは、事実関係によって異なります。
届いた金額の大きさに動揺して即断せず、方針を見極めることが重要です。
それぞれの詳細は、以下の各記事で扱っています。

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受け取りたくない・無視したい場合の注意

「そもそも受け取りたくない」「無視してしまいたい」と考える方もいます。
しかし、次の点に注意が必要です。

  • 受取拒否をしても、請求や相手の手続が止まるわけではない:書面の受け取りを拒否すること自体は可能でも、それによって相手の請求そのものがなくなるわけではありません。
  • 相手が次の手段に進みうる:請求に応じない態度が続くと、相手は代理人を通じた連絡、調停の申立て、訴訟といった次の手続に進むことを検討することになります。
  • 早い段階での対応が選択肢を広げる:手続が進んでから対応を始めるよりも、早い段階で方針を整理しておいたほうが、取り得る選択肢は広くなる傾向にあります。

弁護士に相談・依頼するメリット

初動の段階で弁護士に相談・依頼することには、次のようなメリットがあります。

  • 窓口を一本化できる:弁護士が代理人として対応することで、相手と直接やり取りする精神的な負担を軽減できます。感情的なやり取りによって不利な言質を与えてしまう事態も避けやすくなります。
  • 方針の見立てが得られる:成立を争えるか、減額できるか、時効はどうかといった見立てを踏まえて、交渉の方針を検討できます。
  • 周囲に知られない配慮:勤務先や家族に知られずに解決したいという事情がある場合の進め方についても、別の記事で扱っています。
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高額な請求書や内容証明が届いてお困りの際は、早めに弁護士へご相談ください。

よくある質問(FAQ)

内容証明に書かれた金額を、全額支払わなければなりませんか。

必ずしもそうではありません。

内容証明郵便は通知した事実と日付を証明するものであって、記載された金額が妥当であることを証明するものではありません。
成立そのものを争える場合や、減額できる場合があり、記載額をそのまま支払わなければならないとは限りません。

内容証明を無視したらどうなりますか。

無視しても請求がなくなるわけではありません。

相手は、代理人を通じた連絡、調停の申立て、訴訟といった次の手続に進むことを検討します。
放置している間に取り得る選択肢が狭まることもあるため、無視は避けるのが穏当です。

身に覚えのない高額な金額を請求されました。どうすればよいですか。

まずは書面の内容を正確に把握し、記載された事実関係に誤りがないかを確認してください。
そのうえで、当時のやり取りなどの記録を保全し、事実関係を整理することが出発点になります。

金額の大きさに動揺して即断せず、方針を見極めることが重要です。

すぐに謝罪した方がよいですか。

早期に収めようとして安易に謝罪したり一部を支払ったりすると、責任や金額を事実上固めてしまうおそれがあります。
対応の方向性を検討する前の段階では、慎重な判断が必要です。

まとめ

貞操権侵害の慰謝料について高額な請求書や内容証明が届いたときは、次の点を押さえておくことが大切です。

  • 内容証明郵便は通知した事実と日付を証明するものであり、記載金額が妥当であることを意味するわけではないこと。
  • 記載額を鵜呑みにして即座に全額を支払う必要はない一方、無視・放置にも相応のリスクがあること。
  • 初動では、やり取りの保全、回答期限の把握、事実関係の整理をしておくこと。
  • 感情的な直接連絡、相手方への接触、安易な謝罪・一部弁済は避けること。
  • 高額であっても、成立を争える場合や減額できる場合があり、方針の見極めが重要であること。

初動の対応は、その後の解決を左右します。
当事務所では、貞操権侵害の慰謝料に関する請求書・内容証明を受け取った方の初動対応から、交渉・解決までを一貫して対応しています。
高額な請求書や内容証明が届いてお困りの際は、お早めにご相談ください。

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この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

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