盗撮で警察から呼び出しが来たら|後日発覚の理由と出頭前にすべきこと

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 警察からの呼び出しは任意ですが、無視や拒否は逮捕に切り替わる方向に働きます。出頭には応じつつ、その前に準備をすることが基本です。
  2. 呼び出しは逮捕の前兆とは限りません。適切に対応すれば、身柄を拘束されない在宅事件のまま手続きが進むことが多くあります。
  3. 呼び出しから検察の処分までの期間が、被害者との示談により不起訴を目指せる勝負の期間です。

はじめに

ある日突然、警察から携帯電話に着信があり、「盗撮の件でお聞きしたいことがあります。署まで来ていただけますか」と告げられる。あるいは、自宅に警察官が訪ねてくる。

過去の盗撮について後日連絡を受けた方が抱く不安は、おおむね三つです。
なぜ今になって発覚したのか。行かないとどうなるのか。行ったらどうなるのか。
この記事では、この三つに順に答えたうえで、出頭前にすべき準備と、その後の在宅事件の流れ、示談のタイミングを解説します。

盗撮がどの罪に当たるのか、その場で発覚した場合の対応は、それぞれ次の記事で扱っています。

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なぜ今になって発覚したのか

その場で捕まらなかった盗撮が、後日になって発覚する経路は、主に次のとおりです。

  • 被害届と目撃情報:被害者が後から気づいて被害届を出し、目撃者の証言と合わせて捜査が始まる。
  • 防犯カメラと移動記録:駅や商業施設の防犯カメラの映像から人物が割り出され、交通系ICカードの利用履歴などと照合されて特定される。
  • 別の事件からの余罪発覚:別の件で押収されたスマートフォンやカメラの解析により、保存されていた過去の撮影データが発見される。盗撮の後日発覚では、この経路が少なくありません。
  • ネット上の投稿からの特定:撮影した画像・動画を投稿・共有していた場合、その画像自体から撮影場所や投稿者がたどられる。

「その場で捕まらなければ終わり」ではありません。
呼び出しの連絡が来たということは、捜査機関が何らかの証拠に基づいてあなたにたどり着いている、ということです。

呼び出しは拒否できるか(任意の意味)

警察からの呼び出しは、逮捕状に基づく強制ではなく、任意の出頭要請です。
法律上は、出頭を拒むことも、出頭した後にいつでも帰ることもできます(刑事訴訟法198条1項ただし書)。

しかし、「任意だから行かない」という選択は、多くの場合、最悪の結果を招きます。
呼び出しを無視・拒否したり、理由なく先延ばしにし続けたりすると、「呼んでも来ない以上、逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断され、逮捕状を取ったうえでの逮捕(通常逮捕)に切り替わる可能性が高まるためです。
任意で呼ばれているうちは身柄を拘束されずに済んでいるのであって、その状態を自ら壊すのが無視・拒否です。

他方、日程の調整は正当に認められています。
仕事の都合を理由に日時をずらすことは問題なく、その時間を使って後述の準備をすることが、この局面の正しい動き方です。

呼び出し=逮捕ではない

「出頭したらそのまま逮捕されるのではないか」という不安もよく伺いますが、呼び出しの多くは、在宅のまま取調べを行うためのものです。
呼び出しに素直に応じ、住所・職業が安定していて、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、身柄を拘束されない在宅事件として手続きが進むことが多くあります。

ただし、油断は禁物です。
取調べで嘘をつく、供述が二転三転する、証拠を隠そうとした事情がうかがわれる、といった場合には、その場で、あるいは後日、逮捕に切り替わることがあります。
出頭に応じる姿勢と、取調べでの誠実かつ慎重な対応。この二つが、在宅のまま進めるための条件です。

出頭前にすべきこと

呼び出しの電話から出頭までの時間は、準備のための時間です。次のことをしてください。

弁護士に相談する

出頭前の相談が、この局面で最も効果的です。
事実関係を整理し、認める部分と説明したい部分を区別し、想定される質問への答え方を確認したうえで取調べに臨むのと、丸腰で臨むのとでは、結果が変わり得ます。

取調べでの権利を確認する(黙秘権)

取調べでは黙秘権があり、話したくないことを話す義務はありません。
作成される供述調書は、内容を確認して訂正を求めることができ、納得できなければ署名押印を拒めます。
事実と異なる調書に署名すると、後から覆すのは困難です。

嘘をつかないようにする

黙秘や訂正の権利はありますが、虚偽の説明は別です。
機器の解析結果と食い違う嘘は、供述全体の信用を失わせ、逮捕や重い処分の方向に働きます。
「言わない」ことと「偽る」ことの区別を、事前に弁護士と整理してください。

データや機器を自己判断で処分しない

呼び出しが来た後にデータを消す・機器を捨てるといった行動は、証拠隠滅と評価されるおそれが強く、身柄拘束の理由を自ら作るようなものです。
取り扱いは必ず弁護士に相談してから判断してください。

在宅事件の流れ(呼び出しの後はどうなるか)

在宅事件は、身柄事件のような時間制限がありません。全体の流れは次のとおりです。

  • 警察での取調べ:1回で終わることも、複数回に及ぶこともあります。取調べのたびに出頭し、終われば帰宅できます。
  • 書類送検:警察の捜査が終わると、事件の記録が検察庁に送られます。送検の時期は本人には通知されません。
  • 検察からの呼び出し:書類送検からおおむね1か月程度後に、検察官による取調べのための呼び出しがあります。通常は自宅宛ての封書で届きますが、家族に知られたくない事情がある場合には、事前に担当検察官へ連絡して、携帯電話への連絡に変えてもらえることがあります。
  • 処分の決定:検察官が、不起訴、略式命令請求(公開の裁判なしの罰金)、公判請求(正式裁判)のいずれかを決めます。すでに被害者との示談が成立している場合には、検察からの呼び出しがないまま不起訴となる例もあります。

家族や勤務先に知られるかどうかは、この流れのどの段階にいるか、身柄事件か在宅事件かによって変わります。

処分を分けるのは示談

在宅事件の結論、すなわち不起訴になるか、罰金や正式裁判になるかを分ける中心は、被害者との示談です。

盗撮は被害者のある犯罪であり、検察官の処分判断では、被害者に謝罪と賠償がされ、被害者が処罰を望まない意思(宥恕)を示しているかが重視されます。
被害者の連絡先は加害者本人には開示されないのが通常で、弁護士が捜査機関を通じて被害者の意向を確認し、交渉を進める形になります。

重要なのは時間軸です。
呼び出しから検察官の処分判断までの期間こそが、示談を成立させて不起訴を目指せる勝負の期間です。
処分が出てしまってからでは遅い。
呼び出しが来た段階で弁護士に依頼し、取調べ対応と示談交渉を並行して進めることが、この類型の基本形です。

よくある質問(FAQ)

「話を聞きたいだけ」と言われました。信じてよいですか。

言葉どおりに受け取るのは危険です。

警察は捜査の必要があるから呼び出すのであり、「参考までに」という言い方でも、あなたが被疑者として調べられている可能性があります。
呼ばれた立場(被疑者か参考人か)と用件を確認したうえで、出頭前に弁護士に相談してください。

呼び出しを無視したらどうなりますか。

無視や拒否を続けると、逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕状に基づく逮捕に切り替わる可能性が高まります。
任意で呼ばれている段階は、身柄を拘束されずに済んでいる状態です。

無視ではなく、日程を調整して準備のうえ出頭することが、身柄拘束を避ける対応です。

出頭したらそのまま逮捕されませんか。

呼び出しの多くは在宅のままの取調べが目的であり、出頭に応じて誠実に対応していれば、そのまま帰宅できることが多いといえます。
ただし、取調べでの虚偽や証拠隠滅をうかがわせる事情があれば、逮捕に切り替わることもあります。

不安がある場合は、出頭前に弁護士へ相談し、対応を整えてから臨んでください。

家族に知られずに進めることはできますか。

在宅事件であれば、身柄拘束がないため日常生活を続けながら対応でき、家族に知られずに終えられる場合も多くあります。
検察からの連絡についても、封書ではなく携帯電話への連絡を依頼できることがあります。

もっとも、逮捕に切り替われば秘匿は困難になります。
知られたくない事情がある方こそ、逮捕を避けるための早期の対応が重要です。

まだ警察から連絡は来ていませんが、いつ来るかと不安です。

防犯カメラ等からの特定には時間がかかることがあり、「連絡がない=発覚していない」とは限りません。
不安を抱えたまま過ごすより、弁護士に相談して見通しを整理することをおすすめします。

事案によっては、捜査機関に発覚する前に自ら申告する自首により、逮捕の回避や処分上の有利な考慮を見込める場合もあります。

まとめ

盗撮で警察から呼び出しが来た場合の対応を整理します。

  • 後日発覚の経路は、被害届・防犯カメラ・余罪解析・ネット投稿など。連絡が来た時点で、捜査は相応に進んでいる。
  • 呼び出しは任意だが、無視・拒否は逮捕への切り替えを招く。日程を調整し、準備のうえ出頭する。
  • 呼び出しは逮捕の前兆とは限らず、誠実かつ慎重に対応すれば在宅のまま進むことが多い。
  • 出頭前に弁護士に相談し、供述の整理と権利の確認をする。データ・機器の自己判断での処分は厳禁。
  • 在宅事件の結論を分けるのは被害者との示談。呼び出しから処分までが勝負の期間になる。

当事務所では、盗撮の呼び出しを受けた方について、出頭前の取調べ対応の準備から、被害者との示談交渉、処分の見通しのご説明まで一貫してお受けしています。
出頭の日程を決める前に、お早めにご相談ください。

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この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

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