5ちゃんねる(5ch)の誹謗中傷を削除・投稿者特定する方法|ドメイン変更後の最新対応を弁護士が解説

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 5ちゃんねるは2026年3月にドメインを「5ch.net」から「5ch.io」に変更しており、従来のメールによる削除依頼窓口は機能していない可能性があります。
  2. ドメインが変わっても、削除仮処分や発信者情報開示請求の相手方(運営会社)は変わらないため、裁判所を通じた削除・投稿者の特定は引き続き可能です。
  3. プロバイダのログ保存期間(約3ヶ月〜)というタイムリミットがあるため、被害発見後は迅速な対応が不可欠です。

はじめに

日本最大級の匿名掲示板である「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」。
膨大なスレッドが存在し、日々様々な議論が交わされる一方で、その匿名性の高さから、特定の個人や企業に対する誹謗中傷、プライバシー侵害、根拠のないデマの拡散といった被害が後を絶ちません。

「自分の名前がスレッドタイトルになり、あることないこと書かれている」 「住所や勤務先を晒され、私生活に支障が出ている」 「会社がブラック企業であるという虚偽の事実を書き込まれた」

5ちゃんねるは情報の拡散力が非常に高く、また「まとめサイト(コピーサイト)」に転載されることで、被害が半永久的にインターネット上に残り続ける(デジタルタトゥー化する)リスクがあります。
そのため、被害を発見した場合には、静観するのではなく、迅速に削除や投稿者の特定といった法的措置を講じることが重要です。

さらに、2026年3月には5ちゃんねるのドメインが変更されるという大きな出来事があり、削除依頼の方法にも影響が生じています。

本稿では、5ちゃんねるでの誹謗中傷被害に遭われた方に向けて、サイトの仕組みや権利侵害の基準、ご自身で行う削除依頼の方法とリスク、そして弁護士を通じて投稿者を特定し損害賠償を請求するまでの一連の流れについて、法的な観点から解説します。

【2026年3月〜】ドメイン変更(5ch.net→5ch.io)と削除請求への影響

具体的な対処法の解説に入る前に、まず2026年3月以降の5ちゃんねるを取り巻く状況の変化を整理しておきます。

何が起きたのか|5ch.netの停止と5ch.ioへの移行

2026年3月6日、5ちゃんねるが長年使用してきたドメイン「5ch.net」が、米国のドメイン登録事業者(レジストラ)であるEpik社によって停止されました。
報道によれば、Epik社は、サイト内に放置されていた不適切なコンテンツが同社の利用規約に違反したことを停止の理由として挙げているとされています。

これを受けて、5ちゃんねるの運営側はドメインを「5ch.io」に変更し、サイトの運営自体は継続しています。
掲示板としての5ちゃんねるがなくなったわけではありませんが、長年使われてきたURLが一斉に変わるという、過去に例のない事態となりました。

従来のメール削除依頼窓口は使えるのか

これまで、5ちゃんねるの削除依頼の基本は、運営が指定するメールアドレス(meiyokison@5ch.net)宛に削除を申し立てる方法でした。

しかし、このメールアドレスは停止された「5ch.net」ドメインを使用しているため、ドメイン変更後はメールが届かなくなっている可能性があります。
削除要請板などの掲示板上の窓口は復旧が確認されているとの情報もありますが、運営体制は流動的であり、削除依頼の窓口がどこまで正常に機能しているかは、執筆時点では不透明な状況です。

つまり、「とりあえず自分でメールを送って様子を見る」という従来の初動が通用しにくくなっており、自力対応のハードルは以前より上がっているといえます。

法的手続への影響|相手方は変わらない

ここで重要なのは、ドメインの変更は「サイトの住所(URL)」が変わっただけであり、運営主体が変わったわけではないという点です。

5ちゃんねるの運営元は、引き続きフィリピン法人の「Loki Technology, Inc.」です。
したがって、裁判所を通じた削除仮処分や発信者情報開示請求の相手方も、従来と変わりません。
「URLが変わってしまったから、もう法的手続はできないのではないか」という心配は不要です。

むしろ、任意の削除依頼ルートが不安定になっている現在は、裁判所を通じた法的手続の重要性が相対的に高まっているといえます。

ドメイン変更時代の証拠保全|URL・レス番号・日時の保存を最優先に

ドメイン変更に伴い、実務上特に注意が必要となるのが証拠保全です。

削除請求や開示請求では、「どのスレッドの、何番のレスに、いつ、どのような書き込みがあったか」を特定する必要があります。
旧ドメイン(5ch.net)のURLで保存していた証拠と、現在のドメイン(5ch.io)上のURLとの対応関係を整理する作業が必要になる場合もあります。

被害に気づいたら、以下の情報を直ちに保存してください。

  • スレッドのURL(現在表示されているもの)
  • スレッドタイトルとレス番号
  • 投稿日時とID
  • 書き込み内容全体が写ったスクリーンショット(URLバーを含めて撮影)

今後も運営体制やドメインが変動する可能性は否定できません。
「画面に表示されているうちに記録を残す」ことが、その後のすべての手続の出発点になります。

5ちゃんねるとは?2ちゃんねるとの違いと被害の特性

対策を講じる前に、対象となるプラットフォームの特性を理解しておく必要があります。

2ちゃんねるからの名称変更と運営実態

かつて「2ちゃんねる(2ch.net)」として知られていた掲示板は、運営権の譲渡や分裂騒動を経て、現在は「5ちゃんねる(5ch.net)」という名称で運営されています(※現在「2ちゃんねる(2ch.sc)」として存在するサイトは、5chの内容を転載している別のサイトです)。
現在の5ちゃんねるの運営元は、フィリピンに拠点を置く「Loki Technology, Inc.」という法人です。
運営が海外であるため、法的手続きにおいては、海外法人に対する送達などの専門的な対応が必要となる場合があります。

誹謗中傷被害の特徴

5ちゃんねるにおける誹謗中傷には、以下のような特徴があります。

  • 匿名性と集団心理:完全に匿名で書き込めるため、攻撃的な投稿がエスカレートしやすく、一人が叩き始めると集団での「炎上」や「私刑(リンチ)」に発展しやすい傾向があります。
  • コピーサイトへの拡散:人気のあるスレッドは、アフィリエイト収入を目的とした「まとめブログ」「まとめサイト」に自動的・手動的に転載されます。5ちゃんねる本体の記事を削除しても、これらコピーサイトの記事は消えないため、被害の根絶が難しいという側面があります。
  • 書き込みの残存性:過去ログやミラーサイトに複製が残り続けることがあり、放置すれば被害が半永久化するリスクがあります。

5ちゃんねるでの書き込みが「権利侵害」となる基準

削除や開示請求を行うためには、その書き込みが単に「不快である」というだけでなく、法律上の権利侵害に該当する必要があります。

名誉毀損(名誉権侵害)

不特定多数が閲覧できる状態で、具体的な事実を摘示し、人の社会的評価を低下させる行為です(民法709条・710条、刑法230条1項)。

  • 該当しやすい例: 「Aさんは前科持ちだ」「B社は違法な長時間労働を強いている」「〇〇は詐欺をしている」など、具体的な事実を挙げて社会的評価を低下させる投稿
  • 該当しにくい例: 「〇〇はつまらない」「あの会社は雰囲気が悪い」等の主観的な感想・意見

真実性の抗弁(刑法230条の2第1項)

名誉毀損に該当する投稿であっても、①公共の利害に関する事実に係り、②専ら公益を図る目的であった場合で、③摘示された事実が真実であることの証明があったときは、違法性が阻却されます(刑法230条の2第1項)。
そのため、投稿内容が真実である場合は、削除が認められない可能性があります。

侮辱(名誉感情侵害)

具体的な事実を挙げずに、公然と人を侮辱し、社会的評価を低下させる行為です(刑法231条)。

  • 該当しやすい例: 特定個人に対する執拗な人格攻撃、成育環境や身体的特徴への攻撃
  • 注意: 「バカ」「死ね」等の一言程度の書き込みでは、社会通念上許される限度を超えないと判断される場合もあり、必ずしも削除が認められるとは限りません

※侮辱罪は2022年7月の法改正により法定刑が大幅に引き上げられています。

プライバシー権侵害

私生活上の事実や、一般に知られていない情報を、本人の承諾なくみだりに公開する行為です。
プライバシー侵害が認められるためには、一般に、①私生活上の事実又は事実と受け取られるおそれのある事柄であること、②一般人の感受性を基準として公開を欲しない事柄であること、③一般の人にまだ知られていない事柄であること、が必要とされています(東京地判昭和39年9月28日「宴のあと」事件参照)。

  • 該当しやすい例: 一般人の本名、住所、電話番号、顔写真、病歴などの晒し行為

信用毀損・業務妨害となる書き込み

企業や店舗に対する書き込みでは、名誉毀損のほかに、信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条)が問題となることがあります。

  • 該当しやすい例:「あの店は食中毒を出した」「あの会社は倒産寸前だ」など、虚偽の風説を流布して経済的な信用を害したり、業務を妨害したりする投稿

企業・店舗・経営者の方が被害に遭った場合は、売上減少などの営業損害の賠償請求も視野に入れた対応を検討します。

削除が認められにくい書き込みの例

以下のような書き込みは、権利侵害にあたらず、削除が認められにくい傾向にあります。

  • 公共性・公益性のある事実の指摘: 公職者や企業の不正に関する告発等。社会的に知らせる価値が高い情報は、表現の自由が優先されます
  • 真実である事実の指摘: 既に報道されている事実や客観的証拠がある事柄
  • 意見・論評にとどまる書き込み: 事実の摘示を伴わない主観的な感想や批評

5ちゃんねる独自の削除ガイドライン

5ちゃんねるは、削除判断の基準として「削除ガイドライン」を公開しています。 例えば、以下のようなものは削除対象として明記されています。

  • 個人の取り扱い(住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報)
  • 差別・蔑視(特定の民族や地域への差別など)
  • 荒らし行為

【一覧表】書き込み類型別の削除・特定の難易度

5ちゃんねるでよくある書き込みの類型ごとに、削除・投稿者特定の難易度の傾向と推奨される対応を整理します。
※あくまで一般的な傾向であり、個別の事情により結論は異なります。

書き込みの類型削除の難易度特定の難易度
本名・住所・電話番号の晒し認められやすい認められやすい
顔写真・私生活写真の無断転載認められやすい認められやすい
スレッドタイトルに実名が含まれる内容次第スレ立て人の特定も検討可
「前科がある」等の事実摘示型の中傷真実性により左右真実性により左右
なりすまし投稿認められる余地あり認められる余地あり
「キモい」等の単発の罵倒難しい場合が多い難しい場合が多い
迷惑行為を煽る投稿認められる余地あり認められる余地あり
過去ログ・ミラーサイト上の書き込み本体とは別途の対応が必要ログ消失により困難な場合あり

自分でできる削除依頼の方法とリスク

5ちゃんねるには、ユーザー自身が削除を要請するためのシステムが存在します。
ただし、前述のとおり、2026年3月のドメイン変更後はこれらの窓口の機能に不透明な部分があることを前提にお読みください。

メールによる削除依頼

「名誉毀損」や「プライバシー侵害」など、法的な権利侵害が明らかな場合、運営が指定するメールアドレス宛に削除依頼を送付する方法です。

  • メリット:非公開で申請できるため、削除依頼をしたこと自体が他人に知られるリスクが低い。
  • デメリット:従来から対応が遅い、あるいは無視されるケースも少なくありませんでした。加えて、従来の宛先(meiyokison@5ch.net)は停止された旧ドメインを使用しているため、現在はメール自体が届かない可能性があります。また、本人確認資料(身分証)の添付が求められます。

削除依頼を送ったまま返答がなく時間だけが経過すると、後述するログ保存期間のタイムリミットを浪費してしまうおそれがあります。
現在はこの方法だけに頼ることはおすすめできません。

削除要請板・削除整理板での申請

掲示板上の公開スレッドである「削除要請板」や「削除整理板」に、削除依頼を書き込む方法です。

  • 手順:削除ガイドラインに従い、削除対象のURL(レス番号)、削除理由を書き込みます。削除人(ボランティア)がガイドラインに照らして削除可否を判断します。
  • 【重要】最大のリスク この方法は、「誰が」「どの書き込みを」「どんな理由で」削除したがっているかが、掲示板上で誰でも見られる状態になります。これにより、「本人が降臨した」「効いてる効いてる」などと面白がられ、さらなる誹謗中傷を招いたり、当該書き込みが拡散されたりする「ストライサンド効果(隠そうとすると余計に広まる現象)」を引き起こすリスクが非常に高いです。そのため、プライバシーに関わる深刻な案件や、炎上中の案件では、この方法の利用は慎重になるべきです。

削除されない場合は「弁護士による削除請求」へ

メール依頼が無視され、公開板での申請もリスクが高い場合、弁護士を通じて法的な手続きを行います。

裁判所を通じた「削除仮処分」

5ちゃんねるのような匿名掲示板の削除においては、通常の訴訟(裁判)ではなく、より迅速な「仮処分」という手続きを利用するのが一般的です。
裁判所に対し、「この書き込みは違法な権利侵害である」と申し立て、裁判官がそれを認めれば、運営者(Loki Technology, Inc.)に対して「削除命令」が出されます。
5ちゃんねる側は、裁判所の決定には原則として従う傾向にあります。

  • 期間:申立てから削除まで、早ければ1〜2ヶ月程度で完了します 。
  • 担保金:仮処分を申し立てる際、法務局に担保金(30万〜50万円程度)を供託する必要があります(手続き終了後に返還されます) 。

投稿者を特定する「発信者情報開示請求」の手順

「削除だけでは同様の投稿が繰り返されるおそれがある」「慰謝料を請求したい」「刑事告訴したい」という場合は、投稿者を特定する「発信者情報開示請求」を行います。
発信者情報開示請求は、現在は情報流通プラットフォーム対処法(2025年4月施行。旧プロバイダ責任制限法から改称)に基づいて行います(同法5条)。

従来の手続き(2段階の開示手続き)

投稿者の特定は、大きく分けて以下の段階を踏みます。

ステップ1:5ちゃんねる側へのIPアドレス開示請求

5ちゃんねるの運営者(Loki Technology, Inc.)に対し、対象の書き込みがなされた際のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。
5ちゃんねるはユーザーの氏名や住所などの個人情報を保有していないため、まずは通信の記録(ログ)を取得します。
5ちゃんねるは、裁判所や警察以外からのIPアドレス開示要請には応じない方針を示しているため、通常は裁判所への仮処分の申立てによります。
削除も希望する場合は、削除仮処分と同時にIPアドレス開示仮処分を申し立てます。

ステップ2:アクセスプロバイダ(ISP)の特定

開示されたIPアドレスを調査すると、投稿者が利用したインターネット接続業者(アクセスプロバイダ)が判明します。

ステップ3:プロバイダへの契約者情報開示請求

特定したプロバイダに対して、「その日時に、そのIPアドレスを使っていた契約者の氏名・住所・電話番号・メールアドレスを開示せよ」と求めます。
これには原則として発信者情報開示請求訴訟という裁判手続きが必要です。
裁判所が「権利侵害が明白である」と認めれば、プロバイダに対して情報の開示を命じる決定が出されます。

※ただし、現在では発信者情報開示命令を利用するのが一般的です。

発信者情報開示命令(非訟手続)

2022年10月施行の改正法により、上記のステップ1~3を一つの裁判手続きで行える「発信者情報開示命令事件(非訟手続)」が利用可能になりました(情報流通プラットフォーム対処法5条)。

従来の手続きでは、5ちゃんねるに対するIPアドレス開示(仮処分)とプロバイダに対する契約者情報開示(訴訟)を別々の裁判手続きとして行う必要がありましたが、非訟手続ではこれらを一連の手続きとして処理できるため、手続きの迅速化が期待できます。

ただし、5ちゃんねるの運営が海外法人(Loki Technology, Inc.)であることから、実務上は従来の仮処分手続きが引き続き利用されるケースもあります。
事案に応じた手続きの選択は弁護士にご相談ください。

開示請求にかかる期間の目安

発信者情報開示請求の手続き全体にかかる期間は、おおむね半年~1年程度です。
非訟手続の活用や事案の内容によって前後します。

ログ保存期間とタイムリミット

発信者情報開示請求において、最大の壁は「時間」です。

5ちゃんねる側のIPログ保存期間

5ちゃんねる側が投稿時のIPアドレスのログをどの程度の期間保存しているかは公表されておらず、サーバーや時期によって異なるとされています。
あまりに古い書き込みについては、5ちゃんねる側にログが残っておらず、IPアドレスの取得自体ができないケースがあります。

プロバイダのログ保存期間

プロバイダ(携帯キャリアやISP)が、投稿者の通信ログ(「誰がいつどのIPを使ったか」という記録)を保存している期間は非常に短いです。

  • 携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク等): 約3ヶ月
  • 固定回線プロバイダ: 約3ヶ月~6ヶ月程度(一部、長期間保存している事業者もあり)

ログが消えると手遅れになる

この保存期間を過ぎると、ログが自動的に消去され、技術的に投稿者を特定することが不可能になります。
特に、ステップ1(5ちゃんねる側への手続き)に時間がかかると、ステップ3(プロバイダへの請求)に進む前にログが消えてしまうリスクがあります。

最短のケースでは、投稿から約3ヶ月でログが消える可能性があり、5ちゃんねる側からIPアドレスの開示を受けるまでにも1〜2ヶ月程度はかかります。
逆算すると、被害に気づいてから悩んでいられる時間はごくわずかです。
誹謗中傷の書き込みを見つけたら、速やかに弁護士に相談し、手続きに着手する必要があります。

特定後の責任追及(損害賠償・刑事告訴)

無事に投稿者の身元(氏名・住所)が特定された後は、以下の法的措置をとることができます

民事上の責任追及(損害賠償請求)

特定した投稿者に対し、不法行為(民法709条、710条)に基づく損害賠償を請求します。 請求内容は主に以下の通りです。

  • 慰謝料:精神的苦痛に対する賠償。
    • 個人の名誉毀損:10万〜50万円程度(場合により100万円以上)
    • プライバシー侵害・侮辱:数万〜数十万円程度
  • 調査費用:投稿者を特定するために要した弁護士費用。
    • 裁判実務上、全額が認められることは稀ですが、かかった費用の1割〜数割程度が損害として認められるケースが一般的です。

まずは弁護士名義で内容証明郵便を送付し、示談交渉を行います。
相手が支払いに応じない、あるいは誠意ある対応が見られない場合は、民事訴訟(裁判)を提起します。

刑事上の責任追及(刑事告訴)

投稿内容が悪質な場合、警察に対して刑事告訴を行い、処罰を求めることも検討します

  • 名誉毀損罪(刑法230条1項):3年以下の拘禁刑(懲役若しくは禁錮)又は50万円以下の罰金。
  • 侮辱罪(刑法231条):1年以下の拘禁刑(懲役若しくは禁錮)若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料。(※2022年7月の厳罰化により法定刑が引き上げられました)
  • 信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条):虚偽の風説を流布し、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した場合。3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。

名誉毀損罪と侮辱罪はいずれも親告罪であり、犯人を知った日から6ヶ月以内に告訴する必要があります(刑法232条1項、刑事訴訟法235条)。
発信者情報開示により投稿者が判明した時点から告訴期間が進行しうるため、特定後の対応も迅速に行う必要があります。
※ただし、インターネット上の誹謗中傷の場合、投稿が残っている間は告訴期間が進行しない可能性があります。以下の記事もご確認ください。

あわせて読みたい
名誉毀損の時効は3年?公訴時効・告訴期間・民事時効の違い【早見表付き】 【この記事の結論・要約】 名誉毀損罪の刑事の時効は、公訴時効が犯罪行為終了時から3年、告訴期間が犯人を知った日から6ヶ月であり、両方の期間をクリアする必要があり...

示談での解決と再発防止条項

特定後の解決方法は、金銭賠償だけではありません。
示談交渉においては、慰謝料の支払いに加えて、謝罪、同種の投稿を二度と行わない旨の誓約、違反した場合の違約金条項などを盛り込むことで、再発防止を図ることができます。

匿名の相手に怯え続ける状態を終わらせ、「相手が誰か分かっており、再発すれば直ちに責任を問える」状態を作ること自体に、大きな意味があります。

まとめサイト・コピーサイトへの拡散対策

5ちゃんねるの投稿は、「まとめブログ」「まとめサイト」に自動的・手動的に転載されることが多く、5ちゃんねる本体の書き込みを削除しても、これらのコピーサイトの記事は消えないという問題があります。

まとめサイトへの個別の削除請求

まとめサイトの運営者に対し、個別に削除を求める必要があります。
多くのまとめサイトは問い合わせフォームを設けていますが、対応するかどうかはサイトの運営者次第です。
対応しない場合は、まとめサイトの運営者を相手方として、別途削除仮処分を申し立てることも検討します。

ミラーサイト・過去ログサイトへの対応

5ちゃんねるの内容を機械的に複製しているミラーサイトや過去ログ保存サイトにも、書き込みが残ることがあります。
これらは運営者の素性が不明なことも多く、サイトごとに対応方法を検討する必要があります。

また、2026年3月のドメイン変更後は、移行の混乱に乗じた偽サイトやコピーサイトの存在も報じられています。
削除請求の対象を検討する際には、どのサイトが本体でどれが転載先なのかを正確に見極めることが、従来以上に重要になっています。

検索結果からの削除

まとめサイト自体の削除が困難な場合、Googleに対して検索結果からの削除を申請する方法もあります。
Googleは、個人情報の不正な公開等に関して、検索結果からの削除申請を受け付けています。

5ちゃんねるでの誹謗中傷被害は、本体の削除だけでは根本的な解決にならない場合があります。
まとめサイトへの転載状況を含めた総合的な対応が必要であり、弁護士に相談することで、どの範囲まで削除請求を行うべきかについて助言を受けることができます。

費用・期間の目安

5ちゃんねるの誹謗中傷への法的対応にかかる費用と期間の一般的な目安は以下のとおりです。
なお、具体的な金額は事案の内容や難易度によって異なります。

対応費用期間
削除請求(仮処分)弁護士費用(着手金+報酬金)+担保金30万〜50万円程度(手続き終了後に返還)申立てから1〜2ヶ月程度
投稿者の特定(発信者情報開示請求)弁護士費用(着手金+報酬金)+裁判手続き費用手続き全体で半年〜1年程度
損害賠償請求弁護士費用(着手金+報酬金)示談交渉で解決する場合は1〜3ヶ月程度。訴訟に至る場合はさらに半年〜1年程度

※弊所の弁護士費用については、以下のページをご参照ください。

あわせて読みたい
インターネットの誹謗中傷・風評被害対策|削除請求・投稿者特定は髙田法律事務所 インターネットの誹謗中傷・風評被害対策|削除請求・投稿者特定は髙田法律事務所 SNSや掲示板での誹謗中傷、Googleマップへの悪質な口コミなど、インターネット上の権...

よくある質問(FAQ)

5ちゃんねるの書き込みは削除できますか?

書き込みの内容が名誉毀損(民法709条)やプライバシー侵害にあたる場合、削除請求は可能です。
従来のメールでの削除依頼はドメイン変更の影響で機能していない可能性があるため、現在は裁判所を通じた削除仮処分が確実性の高い方法です。

5ちゃんねるのURLが変わったと聞きました。前のURL(5ch.net)しか保存していないのですが、削除や特定はできますか?

可能性は十分にあります。
ドメインの変更は運営主体の変更ではないため、法的手続きの相手方は従来どおりです。
旧URLで保存された証拠も、現在のサイト上の書き込みとの対応関係を整理することで活用できる場合があります。

お手元の証拠は捨てずに、そのままご相談ください。

ドメインが変わって運営も不安定なら、放っておけばそのうち消えますか?

おすすめできません。

仮に本体の書き込みが見られなくなっても、まとめサイトや過去ログサイトへの転載は残り続けますし、検索結果にも表示され続ける可能性があります。
また、放置している間にプロバイダのログ保存期間が経過すると、投稿者の特定が技術的に不可能になります。

匿名の投稿者を特定することはできますか?

発信者情報開示請求により、匿名の投稿者を特定できる可能性があります。

5ちゃんねるの運営者からIPアドレスの開示を受け、さらにプロバイダから契約者情報の開示を受けるという手続きを踏みます。
ただし、プロバイダのログ保存期間(約3~6ヶ月)を過ぎると特定が技術的に不可能になるため、早期の対応が極めて重要です。

削除依頼をしたことが他人に知られますか?

メールでの削除依頼は非公開で行えるため、他人に知られるリスクは低いです。

一方、「削除要請板」「削除整理板」での申請は掲示板上で公開されるため、「誰が」「どの書き込みを」「どんな理由で」削除したがっているかが誰でも閲覧できる状態になり、さらなる炎上を招くリスクがあります。

まとめサイトに転載された場合はどうすればいいですか?

5ちゃんねる本体の削除とは別に、まとめサイトの運営者に対して個別に削除を求める必要があります。
対応しない場合は、別途法的手続き(削除仮処分等)を検討します。
どの範囲まで対応すべきかは弁護士にご相談ください。

費用と期間はどのくらいかかりますか?

削除仮処分の場合、弁護士費用に加え担保金(30万~50万円程度、手続き終了後に返還)が必要で、期間は1~2ヶ月程度です。
投稿者の特定まで行う場合は、手続き全体で半年~1年程度を要します。

おわりに

5ちゃんねるの誹謗中傷は、削除請求と発信者情報開示請求によって法的に対処できます。
一方で、2026年3月のドメイン変更により従来の任意削除ルートは不安定になっており、また、投稿者の特定にはプロバイダのログ保存期間という厳格なタイムリミットがあります。

被害に気づいたら、まずスクリーンショット等で証拠を保存し、できる限り早く対応方針を決めることが重要です。
時間の経過は、被害者にとって一方的に不利に働きます。

当事務所では、5ちゃんねるをはじめとするインターネット上の誹謗中傷について、削除請求から投稿者の特定、損害賠償請求・刑事告訴まで一貫して対応しています。
「これは削除できるのか」「特定は間に合うのか」といった初期段階のご相談からお受けしていますので、お一人で悩まず、お早めにご相談ください。

インターネットの誹謗中傷等についてはこちら

弊所の弁護士へのご相談等はこちらから

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

目次