【この記事の結論・要約】
- 転職会議が公表している統計によれば、送信防止措置の申請のうち約3割は削除に至っています。「申請しても無駄」ではなく、客観的な反証を示せるかどうかで結果が分かれます。
- 一方、裁判所を経由しない発信者情報の開示は、2025年の実績で0件です。投稿者を特定するには、裁判手続が事実上唯一の方法になります。
- 投稿者を特定するには通信記録の保存期間という制約があり、時間の経過とともに手段が失われます。口コミを見つけたら、まず証拠を保存したうえで早期に着手してください。
はじめに
転職会議は、求職者が企業の内部事情を知るための主要な情報源の一つです。
企業名で検索すると検索結果の上位に表示されることもあるため、掲載されたネガティブな口コミは、採用活動や企業のイメージに直接影響します。
企業のご担当者から、次のようなご相談が寄せられることがあります。
- 退職した元従業員が、事実と異なる内容を書き込んでいる
- 特定の従業員が誰か分かる形で、私生活に関することまで書かれている
- 削除依頼のフォームから申請したが、削除されないまま残っている
本記事では、転職会議に書き込まれた口コミについて、企業がとり得る手続を解説します。
削除が認められる基準、申請の手順、裁判所を通じた手続、投稿者の特定という順に説明します。
なお、口コミサイトはそれぞれ運営会社の方針や手続が異なるため、他のサイトにも書き込まれている場合には、サイトごとに別の対応が必要になります。
転職会議の口コミが企業に与える影響
転職会議は会員数が数百万人に及ぶサービスであり、検索結果の上位に表示されることが多いため、求職者はほぼ確実にこれらの口コミを目にします。
投稿者の多くは、会社に不満を持って退職した元従業員や、選考に落ちた求職者です。
そのため、内容は主観的かつ批判的なものになりやすく、時には私怨による虚偽の事実や過剰な表現が含まれます。
社内の人間しか知り得ない情報が含まれていると、閲覧者はその内容を真実として受け取りやすく、被害が拡大する傾向にあります。
転職会議の削除・開示への対応|公表されている統計から
対応を検討するうえで、まず押さえておくべき事実があります。
転職会議は、自社サイト上で、削除申請と開示請求への対応状況を数値で公表しています。
これを見ると、削除と投稿者の特定とで、対応が正反対であることが分かります。
削除申請の約3割は削除に至っている
送信防止措置(削除)の申請に対する審査結果は、次のとおり公表されています。
| 審査の結果 | 割合 |
|---|---|
| 掲載継続 | 71.0% |
| 全件削除 | 21.6% |
| 部分的な削除 | 7.4% |
(2025年4月から2026年3月に申請を受けたもののうち、2026年5月時点の集計。全件削除・部分的な削除には、投稿者の同意を得た任意削除を含むとされています)
申請の約3割が、全部または一部の削除に至っています。
「転職会議は削除にほとんど応じない」という説明を目にすることがありますが、公表されている数値はそれと異なります。
削除されるかどうかは、申請の内容によって分かれると理解すべきです。
同社は、審査の考え方について、権利者から提出された客観的証拠に基づいて判断する旨を示しており、その例として、「残業代がまったく支払われない」という投稿に対して権利者から「残業代支払いの実績」など客観的に証明できる反証が提出された場合を挙げています。
つまり、削除の可否を分けるのは、投稿が不快かどうかではなく、その内容が事実に反することを客観的な資料で示せるかどうかです。
裁判所を経由しない開示は0件
一方、投稿者の特定については、事情が大きく異なります。
転職会議は、情報流通プラットフォーム対処法に基づき、裁判所を経由しない発信者情報の開示請求を受け付けています。
しかし、同社の公表によれば、2025年の開示請求に対して開示を行ったものは0件です。
投稿者を特定するには、裁判手続が事実上唯一の方法ということになります。
なお、同社は、2025年に裁判所・行政機関から受けた要請の件数として、捜査関係事項照会3件、仮処分手続18件、訴訟5件を公表しています。
出典:転職会議「口コミ・ランキングの信頼性への取り組み」(https://info.jobtalk.jp/policy/rating)
削除される場合も、口コミ全体が消えるとは限らない
上記の統計のとおり、削除に至った場合でも、その一部は「部分的な削除」です。
これは、1件の投稿のうち文章の一部が削除されるものとされています。
申請したすべての記述が消えるとは限らないことを前提に、どの記述を対象とするかを検討する必要があります。
投稿者本人も削除はできない
「投稿した本人に頼んで消してもらえないか」と考える方もいますが、転職会議では、投稿者本人による削除もできない仕組みとされています。
もっとも、投稿者本人であれば投稿内容の修正はできるとされています。
そのため、投稿者を特定できた場合には、削除ではなく修正を求めるという選択肢が生じます。この点は後述します。
まず行うこと|証拠の保全
法的手続を検討する前に、証拠を保存してください。
手続の途中で口コミが削除されたり、投稿者自身が内容を書き換えたりすることがあります。
証拠が残っていなければ、どのような投稿があったのかを立証できず、その後の削除請求や損害賠償請求に支障が生じます。
保存すべきもの
| 保存するもの | 具体的な内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 対象ページのURL | 口コミが表示されているページのアドレス | 手続で対象を特定するために必要になる |
| 口コミの内容 | 本文の全文 | 一部を切り取らず、投稿全体が分かる形で保存する |
| 投稿日時 | 口コミに表示されている投稿日、確認した日時 | 画面に表示されている日時が分かるようにする |
| 投稿者の表示 | 在籍時期、職種、雇用形態など、投稿に付されている情報 | 誰の投稿かを絞り込む手がかりになる |
| 企業ページ全体 | 対象の口コミが掲載されているページ全体の表示状況 | 前後の投稿との関係を示す資料になる |
スクリーンショットを撮る際は、URLと投稿日時が同じ画面に写るようにしてください。
口コミの本文だけを切り取った画像では、いつ、どこに掲載されていたものかを示すことができません。
パソコンのブラウザから閲覧し、アドレスバーを含めた画面全体を保存する方法が確実です。
削除を先行させる場合の注意点
投稿者の特定まで考えている場合、削除を先行させることには注意が必要です。
口コミが削除されると、特定の手がかりとなる情報(IPアドレス等)が失われる可能性もあります。
削除と特定のどちらを優先するか、あるいは並行して進めるかは、事案によって判断が分かれます。
特定まで求める場合は、申請の前にご相談ください。
削除が認められる口コミの基準
削除を求めるためには、単に批判的で不快であるというだけでは足りません。
法律上の権利侵害に該当すること、または転職会議のガイドライン違反に該当することを主張する必要があります。
名誉毀損(名誉権侵害)
削除請求で最も一般的な法的根拠です。
名誉毀損とは、公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させる行為です(民法709条・710条、刑法230条1項)。
法人(企業)も名誉毀損の主体として保護されます。
判断の分かれ目になるのは、事実の摘示か、意見・論評かの区別です。
- 事実の摘示にあたる例:「残業代が一切支払われていない」「社長が会社の資金を私的に流用している」など。具体的な事実を摘示しており、内容が虚偽であれば名誉毀損が成立し得ます。
- 意見・論評にとどまる例:「給料が低いと感じた」「社風が自分には合わなかった」など。投稿者の主観的な感想・評価であり、事実の摘示にはあたりにくいものです。
真実性の抗弁(刑法230条の2第1項)
名誉毀損に該当する口コミであっても、その内容が①公共の利害に関する事実に係り、②専ら公益を図る目的で投稿され、③摘示された事実が真実であることの証明があった場合は、違法性が阻却されます。
転職口コミサイトの投稿は、求職者の企業選択に資するという点で、公共の利害に関する事実、公益を図る目的が認められやすい側面があります。
そのため、企業側が口コミの内容が虚偽であることを立証できるかが、削除の成否を分ける最大の点になります。
「事実と異なる」と主張するだけでは足りず、それを示す資料を用意できるかが問われます。
プライバシー侵害
役員ではない一般従業員の氏名や、個人の私生活に関する情報が書き込まれている場合、プライバシー侵害として削除の対象となります。
プライバシー侵害が認められるためには、一般に、①私生活上の事実又は事実と受け取られるおそれのある事柄であること、②一般人の感受性を基準として公開を欲しない事柄であること、③一般の人にまだ知られていない事柄であること、が必要とされています(東京地方裁判所昭和39年9月28日判決「宴のあと」事件参照)。
「〇〇部長」などの役職名であっても、文脈から個人が特定でき、私生活上の事実や受忍限度を超える中傷がなされている場合は、削除される可能性があります。
転職会議のガイドライン違反
法律上の権利侵害に加え、転職会議が定める口コミ投稿ガイドラインへの違反も、削除を求める根拠になります。
同ガイドラインは、個人を特定できる情報、誹謗中傷を意図した投稿、伝聞や憶測による投稿、乱暴な言葉遣いなどを禁止しています。
特に「伝聞や憶測による投稿」は、実務上使いやすい根拠です。
「〜という噂を聞いた」「〜らしい」といった表現の口コミは、これに該当する余地があります。
削除が難しい口コミの典型例
次のような口コミは、権利侵害やガイドライン違反にあたらず、削除が認められにくい類型です。
- 主観的な感想・評価:「給料が低い」「残業が多い」「やりがいを感じなかった」「上司と合わなかった」
- 真実である事実の指摘:実際に残業代が支払われていない場合の「残業代が出ない」など
- 抽象的な不満:「ブラック企業だと思う」「おすすめしない」といった漠然とした評価
これらは不快であっても、投稿者の表現の自由の範囲内と判断されやすく、削除を求めることは困難です。
転職会議への削除依頼の手順
フォームからの申請
前記のとおり、申請の約3割は削除に至っています。
まず申請してみる価値のある手続です。
転職会議の削除依頼は、次の手順で行います。
- ホームページ下部にある「ヘルプ」を開き、チャットボットから「問い合わせフォーム」のリンクを表示させます。
- 「問い合わせフォーム」に必要事項を入力し、送信防止措置依頼書のウェブフォームのURLを送ってもらいます。
- ウェブフォームのURLにアクセスし、必要事項や侵害された権利などを記入して送信します。
- ページを印刷し、証拠とともにメールに添付して送信します。
結果を分けるのは、客観的な資料を出せるかどうか
前記のとおり、転職会議は、権利者から提出された客観的証拠に基づいて審査を行う旨を示しています。
このことから、申請の成否を分けるのは、口コミが不快かどうかではなく、その内容が事実に反することを資料で示せるかどうかだと分かります。
削除に至りやすい口コミ
- 事実に反することを客観的な資料で示せるもの(「残業代が支払われない」という投稿に対する賃金台帳や支払記録など)
- 従業員個人の氏名が書かれているなど、個人を特定できる情報を含むもの
- 「〜という噂だ」「〜らしい」といった、伝聞や憶測であることが文面から明らかなもの
- 侮辱的な表現が用いられているもの
削除に至りにくい口コミ
- 主観的な評価にとどまるもの
- 事実に反することを示す資料を用意できないもの
申請にあたっては、書面で「事実と異なる」と述べるだけでは足りません。
どの記述がどの資料によって否定されるのかを、対応させて示す必要があります。
なお、後者に該当する口コミについて申請と回答待ちを繰り返すと、時間だけが経過します。
投稿者の特定まで視野に入れている場合、この時間の損失は小さくありません。
弁護士名義での送信防止措置依頼
フォームからの申請とは別に、弁護士名義で、運営会社である株式会社リブセンスに対し、送信防止措置依頼書を送付する方法があります。
これは、情報流通プラットフォーム対処法に基づく削除の申出です。
どの記述がどの権利をどのように侵害しているかを、根拠と証拠を示して説明することにより、運営側が任意での削除に応じる場合があります。
もっとも、この方法によっても削除に至らないことは珍しくありません。
次の裁判手続を視野に入れたうえで検討することになります。
裁判所を通じた削除|送信防止措置の仮処分
任意の削除に応じない場合、裁判所に対して送信防止措置の仮処分を申し立てます。
株式会社リブセンスを相手方として、口コミの削除を命じるよう求める手続です。
通常の訴訟よりも短い期間で結論が出る点に特徴があり、裁判所が違法と認めれば、運営会社に対して削除を命じる決定が出されます。
国内の事業者であるため、裁判所の決定が出れば、これに従う対応がとられるのが通常です。
申立てをすれば当然に削除されるわけではない
注意しなければならないのは、仮処分は「申し立てれば通る」手続ではないという点です。
この手続では、運営会社側の代理人も裁判所に出頭し、削除の必要性や削除すべき範囲について反論します。
裁判所は、企業側の主張と運営会社側の反論の双方を踏まえて、削除を認めるかどうか、認めるとしてどの範囲かを判断します。
そのため、申立ての段階で、どの記述がどの権利をどのように侵害しているのかを、証拠に基づいて具体的に示しておく必要があります。
「全体として悪質である」という主張の仕方では、削除の範囲が限定されたり、申立てが認められなかったりすることがあります。
期間と担保金
- 期間:申立てから決定まで1〜2か月程度
- 担保金:手続に際し、法務局に担保金を供託する必要があります。手続の終了後、所定の手続を経て返還されます。
投稿者を特定する|発信者情報開示請求
「削除するだけでは同様の投稿が繰り返されるおそれがある」「損害賠償を請求したい」という場合には、投稿者を特定する手続を行います。
前記のとおり、裁判所を経由しない開示請求について、転職会議が開示に応じた件数は0件と公表されています。
削除については任意の申請でも一定の割合で認められるのに対し、特定については、裁判手続を経ることが事実上の前提になります。
手続の全体像
第1段階:株式会社リブセンスに対し、投稿時のIPアドレスとタイムスタンプ等の開示を求めます。同社が投稿者の登録情報を保有している場合には、その開示もあわせて求めることが考えられます。
第2段階:IPアドレスから判明した通信事業者(携帯電話会社や光回線の事業者)に対し、その時間に接続していた契約者の氏名・住所などの開示を求めます。
これらは、発信者情報開示命令の手続により、一連の手続として進めることができます。
あわせて、判明した通信事業者の名称等を提供させる提供命令を申し立てることができます。
発信者情報開示請求の一般的な流れについては、以下の記事で解説しています。

通信記録の保存期間
通信事業者が接続記録を保存している期間は、一般に3か月から6か月程度とされています。
保存期間は事業者によって異なります。
口コミが投稿されてから時間が経過している場合、記録が既に消去されており、技術的に特定できないことがあります。
手続に時間を要する間に記録が消去されることを防ぐため、必要に応じて消去禁止命令を申し立てます。
特定に至らないことがある場合
次のような場合には、特定が困難になります。
- 投稿から日数が経過している場合:前記の保存期間の問題です。
- 誰に対する投稿か絞り込めない場合:企業に対する投稿であれば通常は問題になりませんが、従業員個人に対する投稿については、その人物が特定できることが前提になります。
- 口コミが既に削除されている場合:投稿の存在自体の立証が難しくなります。
特定した後の対応
損害賠償請求
特定した投稿者に対し、損害賠償を請求できる場合があります。
請求し得るものとして、次のようなものが考えられます。
- 無形損害(法人の信用毀損に対する賠償)
- 営業上の損害:ただし、口コミと売上の減少との因果関係の立証は容易ではありません。投稿の前後の状況を示す資料を残しておくことが重要です。
- 調査費用:投稿者の特定に要した弁護士費用について、その一部の賠償を求められる場合があります。
刑事告訴
投稿の内容によっては、刑事責任を問える場合があります。
| 罪名 | 成立する場合 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 名誉毀損罪(刑法230条1項) | 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条) | 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した場合 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
企業に対する口コミで特に問題となり得るのが、信用毀損罪です。
同罪にいう「信用」は、支払能力や支払意思といった経済的な信用に関するものと解されています。
「この会社は倒産寸前だ」「資金繰りが破綻している」といった、事実に反する経済的な信用に関する投稿は、名誉毀損とは別に、この罪が問題となり得ます。
なお、名誉毀損罪は親告罪であり、犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります(刑法232条1項、刑事訴訟法235条1項)。
投稿者を特定した後、速やかに告訴の要否を判断する必要があります。
投稿の修正を求めるという選択肢
前記のとおり、転職会議では投稿者本人であっても削除はできませんが、修正はできるとされています。
そのため、投稿者を特定できた場合、示談の内容として、投稿の修正を求めるという方法があります。
裁判所を通じた削除が認められなかった口コミについても、この方法であれば表現を改めさせられる可能性があります。
社内での対応
投稿者が在職中の従業員であった場合、就業規則に基づく懲戒処分を検討することになります。
ただし、処分の可否は、投稿の内容、業務との関連性、企業秩序への影響などを踏まえて慎重に判断する必要があります。
内部告発としての性質を持つ投稿については、公益通報者保護法との関係も検討を要します。
また、口コミに書かれた内容に事実として当てはまる部分がある場合には、労務管理そのものを見直すことが、結果として同種の投稿の再発を防ぐことにつながります。
開示請求を受けた投稿者側の対応について
開示請求の手続では、投稿者本人に対し、運営会社から意見照会書が送付されます。
この段階で、投稿者から示談の申入れがされることもあります。
意見照会書を受け取った側の対応については、以下の記事で解説しています。

手続にかかる期間
| 手続 | 期間の目安 |
|---|---|
| フォームからの削除申請 | 申請から回答まで数週間程度 |
| 弁護士名義での送信防止措置依頼 | 送付から2週間〜1か月程度 |
| 送信防止措置の仮処分 | 申立てから決定まで1〜2か月程度 |
| 投稿者の特定 | 複数の手続を経るため、相応の期間を要します |
期間の目安は、相手方の対応によって変動します。
特に注意が必要なのは、フォーム申請と弁護士名義での依頼を順に試してから仮処分に進むと、その間に通信記録の保存期間が経過してしまうことです。
投稿者の特定まで求める場合には、削除の手続と並行して開示請求の準備を進めるなど、最初の段階で手続全体の順序を決めておく必要があります。
弁護士に依頼した場合にできること
法的な主張の組み立て
削除の可否は、どの記述がどの権利をどのように侵害しているのかを、証拠に基づいて説明できるかによって決まります。
仮処分では運営会社側も反論してくるため、主張と証拠の準備が結果を左右します。
手続の期限の管理
通信記録の保存期間、名誉毀損罪の告訴期間など、この分野には複数の期限があります。
削除と特定のどちらを優先するかを含め、期限から逆算して手続の順序を決めます。
進め方の判断
すべての口コミについて裁判手続をとることが、企業にとって最善とは限りません。
削除を求める口コミの選別、投稿者の特定まで進めるかどうか、示談で何を求めるかといった判断を、事案に応じてご提案します。
よくある質問(FAQ)
- 転職会議の口コミは削除できますか。
-
削除できる場合があります。
転職会議が公表している統計によれば、送信防止措置の申請のうち約21.6%が全件削除、約7.4%が部分的な削除に至っています。
ただし、審査は権利者が提出した客観的証拠に基づいて行われるため、口コミの内容が事実に反することを資料で示せるかどうかが結果を分けます。 - フォームから削除を依頼しましたが、削除されませんでした。
-
公表されている統計では、申請の約7割は掲載継続という結果になっています。
次の手段として、弁護士名義での送信防止措置依頼、または裁判所への送信防止措置の仮処分の申立てを検討することになります。
なお、申請と回答待ちを繰り返している間に通信記録の保存期間が経過すると、投稿者の特定ができなくなります。
特定まで考えている場合は、早めにご相談ください。 - 口コミの一部だけが消えました。全部は消せないのですか。
-
転職会議の審査結果には「部分的な削除」という区分があり、1件の投稿のうち文章の一部が削除されるものとされています。
残った部分についてなお権利侵害があるといえる場合には、その部分について改めて手続を検討することになります。 - 削除できない口コミの典型例は何ですか。
-
「給料が低い」「残業が多い」といった主観的な感想、実際に事実である事項の指摘、「ブラック企業だと思う」といった抽象的な評価です。
これらは不快であっても、投稿者の表現の自由の範囲内と判断されやすく、削除を求めることは困難です。 - 投稿者本人に削除してもらうことはできますか。
-
転職会議では、投稿者本人であっても削除はできない仕組みとされています。
もっとも、投稿内容の修正はできるとされているため、投稿者を特定できた場合には、示談の内容として投稿の修正を求めるという方法があります。
- 投稿者を特定することはできますか。
-
発信者情報開示請求により特定できる可能性があります。
ただし、権利侵害が明白であることが必要であり、また通信記録の保存期間(一般に3か月から6か月程度)という時間の制約があります。
投稿から日数が経過している場合は、技術的に特定できないことがあります。 - 削除だけを先に済ませてから、投稿者を特定することはできますか。
-
順序には注意が必要です。
口コミが削除されると、特定の手がかりとなる情報(IPアドレス等)が失われる可能性もあります。
特定まで考えている場合は、削除の申請をする前にご相談ください。 - どのくらいの期間がかかりますか。
-
フォームからの申請は回答まで数週間程度、弁護士名義での送信防止措置依頼は2週間〜1か月程度、仮処分は申立てから決定まで1〜2か月程度が目安です。
投稿者の特定は複数の手続を経るため、さらに期間を要します。保存期間が経過するおそれがあるため、最初に全体の順序を決めておく必要があります。
- 口コミへの返信は効果がありますか。
-
転職会議には企業からの返信機能が用意されていませんが、他の媒体で自社の情報を発信することは考えられます。
ただし、感情的な反論は、かえって注目を集める結果になりかねません。
事実関係の誤りを正す趣旨にとどめ、対応の要否を含めて検討することをお勧めします。
まとめ
- 転職会議は、批判的な情報も求職者にとって有用であるという方針のもとで運営されており、任意の削除に応じる割合は高くありません。
- 削除の対象となるのは、権利侵害にあたる口コミ、またはガイドライン違反が明確な口コミに限られます。主観的な感想や、真実である事実の指摘は削除が困難です。
- 仮処分は申し立てれば通る手続ではなく、運営会社側も反論します。証拠に基づく具体的な主張が必要です。
- 投稿者を特定するには通信記録の保存期間という制約があり、フォーム申請と回答待ちを繰り返すうちに手段が失われることがあります。
- 口コミを見つけたら、まず証拠を保存し、手続全体の順序を決めたうえで着手してください。
当事務所では、インターネット上の誹謗中傷・風評被害について、口コミの削除、投稿者の特定、特定後の損害賠償請求まで一貫してお受けしています。
口コミを保存したうえで、お早めにご相談ください。
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