トレントの開示請求は家族にバレる?発覚する場面と知られずに解決する方法を弁護士が解説

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 家族に発覚し得る場面は、大きく4つの系統に整理できます。①プロバイダからの追加の意見照会書、②権利者側からの通知書・督促、③訴訟になった場合の訴状・裁判所からの書類、④示談金の支払いに伴う家計の動き。そして、対応を先送りするほど、後半の(隠しようのない)場面へと進んでいきます。
  2. 弁護士に依頼すると、権利者側とのやり取りはすべて事務所宛てになり、あなたとの連絡手段も配慮できるため、②の系統は遮断できます。訴訟に至る前に示談で完結させれば、③も回避できます。ただし、①(プロバイダからの追加の照会)は契約者住所宛てに送付する事業者もあり、「絶対にバレない」とまでは言えません。この限界も含めて設計するのが、現実的な秘匿対応です。
  3. 発覚リスクを最も高めるのは、放置です。回答期限を過ぎ、開示から訴訟へと進めば、訴状は自宅に届きます。家族に知られたくないのであれば、早期に示談で完結させることが唯一の王道です。

はじめに

「トレントの意見照会書が届いた。内容が内容だけに、家族には絶対に知られたくない」 「妻に知られたら、家庭が壊れるかもしれない。誰にも相談できず、一人で抱えている」

トレント(BitTorrent)の開示請求で当事務所に寄せられるご相談のうち、金額の次に多い、あるいはそれ以上に切実なのが、この「家族に知られたくない」というお悩みです。
対象がアダルトビデオであれば、なおさらでしょう。

この問題は、正しく対応すれば、家族に知られないまま解決できる可能性があります。
一方で、「絶対にバレない」と断言することはできません。
発覚し得る場面がどこにあり、そのうちどれを防げて、どれに限界があるのか。
それを正確に知ることが重要です。

本記事では、家族に発覚し得る場面を時系列で整理した上で、弁護士に依頼して変わること・変わらないこと、そして配偶者に知られたくない場合に特有の問題までを解説します。

なお、逆に「家族が使っていて、契約者の自分に書類が届いた」という方は、別の記事をご覧ください。

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家族に発覚するのは、どの場面か

この問題が家族に発覚し得る場面を、手続の時系列に沿って整理します。

  1. 意見照会書の郵送:プロバイダから契約者宛てに届く最初の書類です。本記事は、この書面をご本人が受け取った後の場面を扱います。
  2. プロバイダからの追加の照会・通知:トレントの事案では、複数の作品・複数の権利者から、時間差で別の意見照会書が届くことが少なくありません。つまり、「同じ形の封筒がまた届く」可能性があります。また、開示命令が発令された場合などに、プロバイダからの通知が届くこともあります。
  3. 権利者側代理人からの通知書・督促:情報が開示されると、権利者の代理人弁護士から、損害賠償や示談に関する書面が自宅に届きます。法律事務所名の入った封筒が繰り返し届けば、家族が不審に思うのは時間の問題です。
  4. 訴状・裁判所からの書類:示談がまとまらず訴訟になれば、裁判所から訴状などの書類が自宅に届きます。裁判所からの郵便は、家族に対して最も説明のつかない書類です。
  5. 示談金の支払い:解決の場面にも落とし穴があります。家計や口座を共有している場合、まとまった金額の出金や振込の記録が、発覚のきっかけになり得ます。
  6. 日常の中で:不在票、家族による郵便物の開封、スマートフォンの通知。手続そのものではなく、日常の細部から発覚するケースもあります。

ご覧のとおり、時系列の後半に進むほど、届く書類は重く、隠すことは難しくなります。
秘匿対応の本質は、この時系列をできるだけ手前で、つまり訴訟に至る前の示談で断ち切ることにあります。

弁護士に依頼すると、何が変わるのか

弁護士に依頼した場合、前章の場面のうち、次のものを遮断・回避できます。

第一に、権利者側からの連絡の遮断です。
弁護士が受任通知を送ると、権利者側との書面・連絡のやり取りは、すべて法律事務所宛てになります
権利者側からの通知書が自宅に届く状態は、これで解消されます。

第二に、あなたとの連絡方法の配慮です。
多くの弁護士事務所では(当事務所も)、ご依頼者との連絡をメールや指定の電話番号・時間帯に限定するなど、ご家族の目に触れない形での進行に配慮しています。
事務所からご自宅への郵送も、ご希望に応じて避ける運用が可能です。

第三に、訴訟の回避です。
示談が成立すれば、訴訟は提起されず、訴状・裁判所からの書類という最大の発覚場面そのものが消滅します。
早期に示談交渉に着手することが、秘匿の観点からも重要です。

第四に、示談書への口外禁止条項です。
示談書に、互いに本件を第三者に口外しない旨の条項(秘密保持条項)を入れる交渉ができます。
解決後のプライバシーを契約の形で守る仕組みです。

第五に、刑事リスクの遮断です。
示談の成立は、刑事告訴という事態に発展するリスクを大きく下げます。
刑事手続に至れば秘匿はほぼ不可能になりますから、これも広い意味での秘匿対応の一部です。

弁護士でも完全には防げない場面

弁護士に依頼した場合でも、次の場面については限界があります。

第一に、プロバイダからの追加の意見照会書です。
弁護士が就任した後であっても、プロバイダによっては、追加の意見照会書を契約者本人の住所宛てに送付する運用の事業者があります。
つまり、プロバイダからの意見照会書は、弁護士でも完全には止められない場合があるのです。

だからこそ、依頼時には、過去の利用の全体像から今後の照会の可能性を見積もり、届き得る郵便物への備え(郵便物をあなたが先に確認できる受取方法の工夫など)まで、セットで設計しておく必要があります。

第二に、裁判手続に至った場合の裁判所からの書類です。
万一訴訟になれば、裁判所からの書類が自宅に届くことがあります。
これを防ぐ方法は、訴訟に至らせないこと、すなわち早期の示談が重要になります。

まとめると、弁護士の介入は「発覚リスクを大幅に下げ、コントロール可能にする」ものであって、「ゼロにする」ものではありません。
当事務所では、この前提を共有した上で、あなたの事案でどこまでリスクを下げられるか説明させていただくことも可能です。

配偶者に知られたくない場合に特有の問題

同居の親やきょうだいに対しては、郵便と連絡の管理でかなりの程度対応できます。
しかし、配偶者の場合には、もう一段難しい問題があります。家計です。

示談金は、数十万円単位になることが珍しくありません。
家計や口座を共有する夫婦間で、この規模の支出を完全に説明なしで済ませることは、現実には簡単ではありません。
独身時代の預貯金など、配偶者が把握していない資金で対応できる場合はよいのですが、そうでない場合、「書類は隠せても、お金の動きで発覚する」のが配偶者ケースの典型です。

そこで、配偶者に知られたくない方には、次の2つを比較検討していただいています。

1つ目は、隠し通す設計です。
支払原資を家計外で確保できるか、分割払いにより月々の支出を目立たない規模に抑えられるか、追加の照会が届いた場合の受取体制を維持できるか。
これらが揃えば、現実的に可能な場合があります(資金・分割の考え方は、別の記事で解説しています。)。

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2つ目は、自分から話すという選択です。
意外に思われるかもしれませんが、これを選ぶ方は少なくありません。
理由は単純で、発覚の仕方をコントロールできるからです。
ある日突然、訴状や督促の封筒という最悪の形で知られるのと、弁護士に依頼して解決の道筋がついた状態で、自分の言葉で説明するのとでは、同じ「知られる」でも家庭へのダメージがまったく違います。

どちらを選ぶべきかは、ご家庭の事情によります。
当事務所では、どちらの方針でも対応しますし、途中での方針変更にも対応可能です。
大切なのは、成り行きで発覚する事態だけは避ける、ということです。

発覚リスクをかえって高める行動

家族に知られたくない一心で取った行動が、逆に発覚を早めることがあります。

  1. 放置する:本記事で繰り返し述べたとおり、放置すれば、追加の照会、権利者側からの督促、訴状と、隠すことが困難な書類が順に届くことになります。「見なかったことにする」は、秘匿の観点で最悪の選択です。
  2. 自分で権利者側と直接交渉する:あなた自身が交渉窓口になると、権利者側からの郵便・連絡はすべて自宅・あなたの電話に届き続けます。交渉が長引くほど、日常の中の発覚機会は増えていきます。
  3. 慌てて借入れをする:示談金を用意しようと消費者金融などから借り入れると、今度は借入れの督促・利用明細という新たな発覚源を抱え込むことになります。資金に不安がある場合は、借入れの前に分割交渉などの選択肢を検討すべきです。
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相談したこと自体は、誰にも知られません

「相談に行ったこと自体が、家族に知られてしまうのではないか」という不安から、相談をためらう方がいます。

弁護士には、法律上の守秘義務があります。
ご相談・ご依頼の内容はもちろん、ご相談があったという事実自体を、ご家族を含む第三者に伝えることはありません。
当事務所からの連絡も、上述したとおり、ご指定の方法・時間帯に限定できます。

一人で抱え込んでいる時間は、解決に向けては何も進んでいない時間です。
相談することそのものにリスクはありませんので、安心してご連絡ください。

よくある質問(FAQ)

弁護士に依頼すれば、絶対に家族にバレませんか?

「絶対」とは申し上げられません。

権利者側からの連絡は事務所宛てに一本化でき、訴訟前の示談で完結すれば訴状の送達も回避できますが、プロバイダによっては追加の意見照会書を契約者住所宛てに送付する場合があります。
防げる場面と限界を最初にご説明し、届き得る郵便への備えまで含めて設計するのが現実的な対応です。

家族が意見照会書を開封してしまいました。もう手遅れですか?

手遅れではありません。

家族に知られた事実は変えられませんが、法的な問題そのものはここからの対応で解決できます。
むしろ、家族と情報を共有できる状態になったのであれば、対応の選択肢は広がります。

家族が使っていた可能性がある場合の整理も含めて、ご相談ください。

示談金の支払いを、家族に知られずに行うことはできますか?

支払原資を家計外で確保できるか、分割払いで月々の支出を抑えられるかがポイントです。
口座を共有しているご夫婦の場合、お金の動きが最大の発覚源になるため、支払方法の設計まで含めて交渉方針を立てる必要があります。
資金に不安がある場合の考え方は、関連記事もご参照ください。

依頼した場合、弁護士から自宅に郵便が届くことはありますか?

ご希望があれば、自宅への郵送を避け、メールや指定の電話番号・時間帯に限定した連絡で進行します。
ご家族の目に触れない形での進め方を、ご依頼の最初に取り決めます。

訴訟になったら、必ず家族に知られますか?

裁判所からの書類が自宅に届くため、同居のご家族がいる場合、知られる可能性は相当高くなります。
そのため、訴訟に至る前の示談での解決が、秘匿の観点では非常に重要です。

すでに訴訟になってしまった場合でも、早期の和解による収束を目指す余地はありますので、諦めずにご相談ください。

相談したこと自体が、家族に知られることはありますか?

ありません。

弁護士には法律上の守秘義務があり、ご相談の内容も、ご相談があった事実自体も、ご家族を含む第三者に伝えることはありません。
連絡方法もご指定いただけますので、安心してご相談ください。

まとめ

家族に知られずに解決できるかどうかは、運ではなく、初動の設計で決まります。

発覚の場面は時系列の後半ほど重くなり、訴訟に至れば隠す手段はなくなります。
逆に、早期に弁護士が窓口となり、追加の照会への備えを固め、訴訟前の示談で完結させれば、家族に知られないまま解決できる可能性は十分に高められます。
配偶者のケースでは、家計の問題まで含めた設計が必要です。

当事務所では、ご家族に知られたくないというご希望を前提とした進行(連絡手段の限定、郵送の回避、受任通知による窓口の一本化、口外禁止条項の交渉)に対応しています。
防げること・防げないことを最初にご説明した上で、あなたの事案で取り得る最善の設計をご提案しますので、書類が増えていく前に、お早めにご相談ください。

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この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

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