家族が逮捕されたらまず何をすべき?手続きの流れと対応を弁護士が解説

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 家族が逮捕されたら、最優先で弁護士に連絡してください。逮捕直後から活動できるのは弁護士だけです。
  2. 逮捕から最大23日間、身体拘束が続く可能性があります。逮捕直後の72時間は家族であっても面会できませんが、弁護士だけは面会可能です。
  3. 家族ができることは、弁護士の依頼、面会・差し入れによる精神的サポート、示談金の準備、職場・学校への連絡です。

家族が逮捕されたら、まず弁護士に連絡する

「ご家族の〇〇さんを逮捕しました」という突然の知らせを受けたとき、何をどうすればよいか分からず不安に陥るのは当然のことです。

しかし、逮捕直後の対応は、その後の刑事手続きの展開や本人の処遇に極めて大きな影響を及ぼします。
最も重要なのは、可能な限り早く弁護士に連絡することです。

なぜ弁護士が必要なのか

逮捕後、被疑者(逮捕された人)は社会から隔離され、取調べを受けます。
逮捕直後の72時間は、家族であっても面会できません。
しかし、弁護士であれば面会をすることができます(刑事訴訟法39条1項)。

弁護士は、警察官の立会いなく、時間制限もなく被疑者と面会(接見)する権利を有しています。これを「接見交通権」といいます。
弁護士は、本人に対して黙秘権(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)や供述調書への署名押印を拒否する権利について説明し、取調べへの対応を具体的に助言します。

また、弁護士は検察官や裁判官に対し、勾留の必要がないことを主張して早期の身柄解放を求める活動を行います。
被害者がいる事件では、弁護士が家族に代わって示談交渉を行い、早期釈放や不起訴の獲得を目指します。

弁護士の探し方

知り合いに刑事弁護に対応している弁護士がいる場合は、すぐに連絡してください。
弁護士への依頼には、以下の方法があります。

私選弁護人は、本人や家族が費用を負担して弁護士に依頼する方法です。
逮捕直後から活動を依頼でき、対応してもらえます。
弁護士と直接委任契約を締結し、事件の内容や方針について密に連携しながら進められるのが特長です。

このほか、当番弁護士制度という仕組みもあります。
逮捕された本人またはその家族が弁護士会に連絡すると、当番として待機している弁護士が警察署に駆けつけて被疑者と面会し、助言を行う制度で、初回の面会費用は無料です。

国選弁護人制度は、勾留された後、資力が一定額以下の場合に、国の費用で弁護人が選任される制度です(刑事訴訟法37条の2)。
ただし、被疑者国選弁護人が付くのは勾留決定後であるため、逮捕から勾留までの最大72時間は国選弁護人の援助を受けられません。

逮捕後の手続きの流れ

逮捕された本人が、今後どのような手続きの中に置かれるのか、時間的な流れを把握することが重要です。

警察段階(逮捕後最大48時間)

逮捕後、警察は48時間以内に、被疑者の身柄と事件の書類を検察官に送致(送検)しなければなりません(刑事訴訟法203条1項)。
実務上は、逮捕の翌日には送検されることがほとんどです。

この段階で、弁護士以外の面会は原則として認められません。

検察官段階(送検後最大24時間)

送検を受けた検察官は、24時間以内に、身柄を引き続き拘束する必要があるか判断します(刑事訴訟法205条1項)。
必要と認めれば裁判官に「勾留請求」を行います。
勾留請求しない場合は釈放されます。

勾留期間(勾留決定後最大20日間)

裁判官が勾留を決定すると、まず10日間、身体拘束が続きます(刑事訴訟法208条1項)。
さらに捜査が必要と判断されれば、最大10日間の延長が認められます(同条2項)。

つまり、逮捕されてから起訴・不起訴が決まるまで、最大で23日間身体拘束が続く可能性があります。
事案によっては、再逮捕・再勾留によりさらに長期化することもあります。

終局処分

検察官は、勾留期間内に以下のいずれかの処分を行います。

起訴(公判請求)の場合は、刑事裁判にかけられます。
起訴後も身体拘束が続きますが、保釈が認められる場合があります(後述)。

略式起訴の場合は、罰金刑に相当する比較的軽微な事件で、書面審理のみで罰金の判決が下されます。
罰金を納付すれば釈放されますが、前科は付きます。

不起訴の場合は、釈放され、前科は付きません。
被害者との示談が成立している場合や、証拠が不十分な場合などに不起訴となることがあります。

逮捕された家族との面会(接見)について

一般面会(家族など弁護士以外の方の面会)

面会が可能になる時期は、原則として勾留が決定された後です。
逮捕されてから勾留が決定するまでの最大72時間は、原則として家族であっても面会することはできません。

一般面会には以下の制限があります。

時間は1回あたり15分から20分程度に制限されます。
回数は1日に1回のみで、複数の家族が面会に行っても、会えるのはそのうちの1組だけです。
面会中は必ず警察官が立ち会い、会話内容は全て聞かれます。
事件に関する話(口裏合わせや証拠隠滅と疑われる内容)をしようとすると、面会が中止されることがあります。
受付時間は平日の日中(午前9時~午後5時頃まで、昼休みを除く)に限られます。

接見禁止決定が出された場合

事件によっては、裁判所が「接見禁止決定」を出すことがあります(刑事訴訟法81条)。
これは、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせのおそれがあると判断された場合に下される処分で、家族は一切の面会ができなくなり、手紙のやり取りも禁止されます。
組織的な犯罪、否認事件、共犯者がいる事件などで出されることが多いです。

この場合でも、弁護士だけは原則として自由に接見することが可能です。
弁護士が、家族からの伝言を本人に伝えたり、本人の様子を家族に報告したりする唯一の連絡役となります。

接見禁止に対しては、弁護士が裁判所に対して接見禁止の解除(準抗告)や、家族に限定した一部解除を申し立てることも可能です。

弁護士接見

弁護士が行う接見は、一般面会とは全く異なります。
逮捕直後からいつでも可能であり、警察官の立会いはなく、秘密が完全に守られます。
時間や回数の制限もありません(刑事訴訟法39条1項)。
事件に関する具体的な打ち合わせや、今後の見通し、取調べへの対応など、あらゆる内容について自由に話すことができます。

差し入れと宅下げの方法

面会が制限される中で、家族が本人をサポートするための重要な手段が「差し入れ」と「宅下げ」です。

差し入れ(本人へ物を届ける)

差し入れとは、留置施設で生活する本人に必要な物品を外部から届けることです。
留置施設によってルールは異なりますが、一般的に以下の物が許可されています。

差し入れできる物としては、現金(施設内での食事や日用品の購入に使用)、衣類(スウェット、Tシャツ、下着、靴下等。フードの紐やベルト、金具が付いているものは不可)、書籍(小説、雑誌、漫画等。事件に関連する内容は禁止)、便箋・封筒・切手(外部との手紙のやり取り用。接見禁止の場合は不可)、眼鏡・コンタクトレンズ、写真(家族の写真等)があります。

差し入れできない物としては、食料品、タバコ、医薬品、シャンプー、化粧品などがあります。
これらは通常、施設内で購入します。
紐や金属、鋭利な部分がある物も禁止です。

差し入れの方法は、警察署の留置管理課の窓口へ持参する方法(受付は平日の日中)、郵送する方法(事前に電話で確認が必要)、弁護士に依頼する方法(接見の際に差し入れ可能)があります。

宅下げ(本人から物を受け取る)

宅下げとは、本人が留置施設に持ち込んだが不要になった物や、逮捕時に着ていた衣類(証拠品となる場合を除く)などを、家族が受け取ることです。
本人が宅下げを希望する旨の書類を作成し、警察署の窓口で受け取ります。

示談交渉の重要性

被害者がいる事件(傷害、窃盗、詐欺、性犯罪等)では、被害者との示談が成立しているかどうかが、検察官の起訴・不起訴の判断に大きく影響します。

示談が成立すれば、被害が回復され、被害者の処罰感情が和らいだと評価され、不起訴処分(釈放・前科なし)となる可能性が高まります。
また、示談の成立は、勾留の必要性(逃亡のおそれ・証拠隠滅のおそれ)を低下させるため、早期釈放にもつながります。

ただし、被害者が加害者の家族からの直接の連絡に応じることはほとんどありません。
示談交渉は、弁護士を通じて行うのが実務上の原則です。

家族としてできることは、弁護士に示談交渉を依頼するとともに、示談金の準備を進めることです。
示談金の金額は事件の内容や被害の程度によって異なりますので、弁護士と相談のうえで準備してください。

職場・学校への対応

逮捕による身体拘束が続くと、職場や学校を無断で欠勤・欠席することになります。
無断欠勤が続けば解雇のリスクがあり、学校の場合は退学の可能性もあります。

連絡の方法

逮捕の事実をどのように伝えるかは、慎重な判断が必要です。
逮捕の事実を率直に伝えると、本人の社会的信用や今後の生活に大きな影響を与えかねません。

弁護士に相談したうえで、伝え方やタイミングを検討するのが望ましいです。
「家庭の事情により一定期間休む」といった形で、事実に直接触れない説明をすることも選択肢の一つです。
有給休暇の利用を連絡するという方法もあります。

注意点

警察から職場や学校に直接連絡が行くことは、通常はありません。
ただし、事件に職場や学校が関係する場合(職場で起きた事件、同僚が被害者等)や、事件前の行動を確認するために警察が職場に問い合わせを行う場合には、逮捕の事実が知られる可能性があります。

報道される可能性がある事件(重大犯罪、社会的注目度が高い事件等)については、報道対応についても弁護士に相談してください。

保釈制度について

保釈とは

起訴された場合(公判請求された場合)、引き続き身体拘束が続きますが、「保釈」が認められれば、保釈金を納付することで釈放されます(刑事訴訟法88条)。

保釈中は自宅で生活しながら裁判に出廷する形になるため、職場や学校への復帰が可能になります。

保釈金の目安

保釈金の金額は事件の内容や被告人の資力等によって裁判所が決定します。
一般的には150万円~300万円程度が多いとされていますが、事件の重大性によってはそれ以上になることもあります。
保釈金は、裁判が終了し判決が確定した後に返還されます(逃亡等の保釈条件違反がなければ全額返還)。

保釈が認められにくいケース

刑事訴訟法89条は、保釈を認めない場合(権利保釈の除外事由)を定めています。
法定刑が死刑または無期もしくは短期1年以上の拘禁刑にあたる罪の場合、常習として長期3年以上の拘禁刑にあたる罪を犯した場合、証拠を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合などは、保釈が認められないことがあります。

よくある質問(FAQ)

警察から「逮捕した」と連絡が来ました。どのくらいで帰ってきますか?

事件の内容によって大きく異なります。

軽微な事件であれば逮捕後48時間以内に釈放されることもありますが、勾留された場合は最大23日間身体拘束が続く可能性があります。
起訴された場合はさらに長期化します。

具体的な見通しは弁護士に確認してください。

逮捕された家族にすぐ会いに行けますか?

基本的に、逮捕直後の最大72時間は、家族であっても面会できません。
弁護士だけが面会可能です(刑事訴訟法39条1項)。

勾留が決定された後は、平日の日中に限り、1日1回・15~20分程度の面会が可能になります。
ただし、接見禁止決定が出された場合は、弁護士以外の面会は一切できなくなります。

弁護士費用を払えない場合はどうすればいいですか?

当番弁護士制度(初回面会無料)や、勾留後に資力要件を満たす場合に選任される国選弁護人制度(刑事訴訟法37条の2)があります。
また、逮捕から勾留までの間は、日弁連の刑事被疑者弁護援助事業を利用できる場合があります。

逮捕されたことは職場に知られてしまいますか?

警察から職場に直接連絡が行くことは通常ありません。
ただし、事件に職場が関係する場合や報道された場合には知られる可能性があります。
職場への連絡方法については弁護士と相談のうえ、慎重に判断してください。

示談をすれば必ず不起訴になりますか?

示談が成立すれば不起訴の可能性は高まりますが、必ず不起訴になるとは限りません。
事件の重大性、被疑者の前科前歴、社会的影響などを総合的に考慮して検察官が判断します。

ただし、示談が成立していることは、検察官の判断において非常に有利な要素となります。

おわりに

家族が逮捕されたという突然の事態に直面したとき、残された家族が冷静さを保つことは容易ではありません。
しかし、その後の刑事手続きは、法律の定めに従って刻一刻と進んでいきます。

この状況で家族がすべきことは、まず弁護士に連絡して法的な防御の体制を整えること、そして面会や差し入れといった許された範囲内で本人を精神的に支えること、示談金の準備や職場への連絡といった実務的な対応を進めることに集約されます。

特に、逮捕直後の72時間は、その後の身体拘束の期間を左右する極めて重要な時間です。
弁護士であれば、この初期段階から本人と接見し、適切な助言をすることができます。

一人で悩み、貴重な時間を失う前に、まずは弁護士にご連絡ください。。

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この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

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