【この記事の結論・要約】
- 不倫をした2人は連帯して慰謝料を支払う責任を負い、一方が自分の負担部分を超えて支払った場合には、超えた分をもう一方に請求できます。これを求償といいます。負担部分は、損害の全体の額に、2人の責任の割合を掛けて計算します。
- 責任の割合は半々と決まっているわけではありません。不倫をした配偶者の負担を6割とした裁判例や7割とした裁判例があり、配偶者としての義務を負う立場であることや、交際の経緯が考慮されています。
- 夫婦が離婚しない場合、不倫相手から受け取った慰謝料の一部が、求償によって家計から出ていくことがあります。これを避けるには求償権の放棄を取り決める必要がありますが、書面に明記していなかったために放棄が認められなかった裁判例があります。
はじめに
不倫の慰謝料は、不倫をした配偶者と不倫相手の2人が支払う責任を負います。
ところが実際には、どちらか一方だけが慰謝料を支払うことも多く、その後に、支払った人がもう一方に負担を求める場面が生じます。
不倫相手として慰謝料を支払った人にとっては、自分だけが全額を負担しなければならないのかが問題になります。
反対に、配偶者の不倫相手から慰謝料を受け取った人にとっては、離婚しない場合に、そのお金の一部が家計から出ていくおそれがあります。
本稿では、不倫慰謝料の求償権について、求償できる金額の計算、負担割合を判断した裁判例、夫婦の間で慰謝料を免除した場合の扱い、求償権の放棄、求償をする側と求められた側の対応、時効を、最高裁判決と裁判例をもとに解説します。
不倫慰謝料の求償権とは
不倫をした2人は、連帯して責任を負う
不倫は、配偶者の婚姻共同生活の平和を害する不法行為です(民法709条)。
不倫をした配偶者と不倫相手は、共同して不法行為をしたものとして、連帯して損害を賠償する責任を負います(民法719条1項)。
連帯して責任を負うとは、被害を受けた配偶者が、2人のどちらに対しても慰謝料の全額を請求できるという意味です。
たとえば、慰謝料が全体で200万円と評価される場合、被害を受けた配偶者は、不倫相手だけに200万円を請求することもできます。
ただし、2人から合わせて受け取れるのは200万円までで、それを超えて受け取ることはできません。
誰に慰謝料を請求できるかについては、以下の記事で解説しています。

求償とは、負担部分を超えて支払った分を請求すること
被害を受けた配偶者との関係では2人とも全額を支払う責任を負いますが、2人の間では、それぞれの責任の割合に応じた負担部分があります。
一方が自分の負担部分を超えて支払った場合、その人は、超えた分をもう一方に請求できます。
これを求償といい、求償を求める権利を求償権といいます。
共同不法行為をした者の間の求償について、最高裁昭和63年7月1日判決(昭和60年(オ)第1145号・民集42巻6号451頁)は、次のように述べています。
被用者がその使用者の事業の執行につき第三者との共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、右第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、右第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができるものと解するのが相当である。
この判決は、交通事故の加害者の一人が、もう一人の加害者を雇っていた会社に求償した事案で、不倫の事案ではありません。
事故の当事者の過失割合は2割と8割とされ、被害者に約30万円を支払った側が、自分の負担部分である2割を超える8割相当額について求償を認められました。
不倫の慰謝料の求償が争われた裁判例も、この判決などを参照し、責任の割合に従って負担部分を定め、それを超えて支払った分について求償できるという考え方で判断しています。
求償が問題になる主な場面
不倫慰謝料の求償が問題になるのは、主に次のような場面です。
- 不倫相手が、被害を受けた配偶者に慰謝料を支払った後、不倫をした既婚者に求償する場合
- 不倫をした既婚者が、自分の配偶者に慰謝料を支払った後、不倫相手に求償する場合
- 夫婦が離婚した後、不倫相手が元配偶者に求償する場合
1つ目の場面で夫婦が離婚していなければ、求償に応じて支払うお金は、被害を受けた配偶者の家計から出ていくことになります。
この点は、後の章で取り上げます。
求償できる金額の計算
損害の全体の額に、負担割合を掛ける
求償できる金額は、次の順に考えます。
- 被害を受けた配偶者の損害(慰謝料)の全体の額を確定する
- 全体の額に、2人の責任の割合を掛けて、それぞれの負担部分を出す
- 自分が支払った額のうち、自分の負担部分を超える分を求償する
たとえば、慰謝料の全体の額が200万円で、責任の割合が不倫をした既婚者7割、不倫相手3割とされた場合、不倫相手の負担部分は60万円です。
不倫相手が200万円を支払っていれば、60万円を超える140万円を既婚者に求償できることになります。
この計算では、損害の全体の額をいくらと見るかによって、求償できる金額が変わります。
後で紹介する裁判例には、2人が実際に支払った額の合計を損害の額としたものと、裁判所が損害の額を改めて算定したものがあります。
負担部分を超えて支払ったことが必要か
改正前の民法のもとで、先に紹介した最高裁昭和63年7月1日判決は、自分の負担部分を超えて賠償した場合に、超えた部分の求償を認めています。
不倫慰謝料の求償をめぐる裁判例も、この考え方に従っています。
一方、令和2年4月に施行された改正民法442条1項は、連帯債務者の一人が弁済した場合、その額が自分の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対して、負担部分に応じた額を求償できると定めました。
不倫のような共同不法行為による責任にもこの規定が適用されると考えれば、たとえば不倫相手が負担部分より少ない額を支払っただけでも、その一部を既婚者に求償できることになります。
もっとも、共同不法行為による責任にこの規定がそのまま適用されるかについては議論があり、改正前の考え方が維持されるとする立場もあります。
後で紹介する令和3年の2件の裁判例は、いずれも改正前の民法が適用された事案であり、負担部分を超えて支払ったかどうかで求償の可否を判断しています。
分割払いの途中の場合
慰謝料を分割で支払っている場合、負担部分を超えて支払ったことを求償の条件とする考え方によれば、支払った額が自分の負担部分を超えるまでは、求償できません。
改正民法442条1項が適用されると考える立場では、支払った額に応じて求償できる余地があります。
いずれの考え方に立つかで、求償を求められる時期が変わるため、分割払いの合意をする際には、求償の扱いもあわせて検討しておく必要があります。
負担割合はどう決まるか
半々と決まっているわけではない
不倫をした2人の責任の割合を定めた法律の規定はありません。
2人の間で合意があればそれによりますが、合意がなければ、裁判所が事案ごとの事情をもとに判断します。
不倫は2人の合意によるものであるため、半々と考えればよいと思われがちですが、裁判例には、不倫をした既婚者の負担を大きくしたものがあります。
不倫をした配偶者の負担を6割とした裁判例
東京地裁令和3年1月12日判決(令和元年(ワ)第22231号)は、既婚者同士の不倫の事案です。
妻は、不倫が発覚した後、自分の夫に慰謝料200万円を支払いました。
夫は不倫相手の男性も訴え、男性は夫に解決金160万円を支払う和解をしています。
その後、妻が男性に求償を求めました。
裁判所は、交際の始まりや、その後の交際の継続については、どちらか一方に重く帰責することはできないとしました。
そのうえで、交際の後半では妻のほうが積極的だったことを一定程度考慮し、次のように述べています。
以上に加え,訴外Aに対して配偶者としての義務を負うのは原告であることも考慮すると,本件不貞行為に係る責任割合は,原告6に対して被告4と認めるのが相当である。
ここでいう「訴外A」は夫、「原告」は妻、「被告」は不倫相手の男性を指します。
裁判所は、夫の慰謝料を360万円と算定し、妻の負担部分をその10分の6の216万円としました。
妻が夫に支払ったのは200万円で、負担部分を超えていないため、妻の求償は認められませんでした。
この判決は、被害を受けた夫に対して配偶者としての義務を負うのは妻であることを、割合を決める理由の一つとして明示しています。
不倫をした配偶者の負担を7割とした裁判例
東京地裁令和3年2月25日判決(令和2年(レ)第14号)は、妻のいる男性と独身の女性の不倫の事案です。
女性は男性の妻に和解金50万円を、男性は自分の妻に慰謝料80万円を支払っていました。
女性が男性に求償を求めたところ、裁判所は次のように判断しました。
前記認定事実によれば,控訴人は,平成29年7月頃,被控訴人に対し,結婚したい旨のLINEメッセージを送信するなどして,積極的に被控訴人との不貞関係を発展させたことが認められ,これによれば控訴人の妻に対して負う損害賠償債務の割合は,控訴人がその過半を負うべきものといわざるを得ない。他方,被控訴人は,控訴人が婚姻していることを知りながら,また,婚姻関係が破たんしている等の控訴人の言について確たる根拠を伴うものであるか否か確認することなくこれを信じ,不貞行為に及んだことが認められるのであるから,控訴人とその妻との間の婚姻共同生活の平和の侵害に対する被控訴人の寄与の程度も軽視すべきではない。その他諸般の事情を考慮すると,控訴人と被控訴人が控訴人の妻に対して負う損害賠償債務の負担割合としては,控訴人7割,被控訴人3割とするのが相当である。
ここでいう「控訴人」は男性、「被控訴人」は女性を指します。
裁判所は、2人が男性の妻に対して負う損害賠償債務を、2人が支払った合計130万円とし、女性の負担部分をその3割の39万円としたうえで、女性が支払った50万円のうち、これを超える11万円について求償を認めました。
この事案は簡易裁判所の判決に対する控訴審で、第一審は24万円の求償を認めていましたが、控訴審で11万円に変更されています。
どちらが積極的だったかは、求償の場面で問題になる
慰謝料の金額を決める場面では、どちらが交際を主導したかを考慮しなかった裁判例があります。
東京地裁平成25年11月29日判決(平成24年(ワ)第18303号ほか)は、どちらが主導的、積極的だったかは「共同不法行為者相互間の内部問題」にすぎないとして、被害者に対する慰謝料の額には影響させませんでした。
この考え方によれば、交際の経緯は、被害者に支払う金額ではなく、不倫をした2人の間の負担部分を決める求償の場面で問題になります。
実際に、令和3年の2件の裁判例は、いずれも交際の経緯を責任の割合を決める事情として考慮しています。
負担割合を決める際に考慮される事情
これらの裁判例を踏まえると、負担割合を決める際には、次のような事情が考慮されると考えられます。
- 被害を受けた配偶者に対して、配偶者としての義務を負う立場にあるか
- どちらが交際を持ちかけ、関係を発展させたか
- 既婚者が「婚姻関係は破綻している」「離婚して結婚する」などと説明していたか
- 相手がその説明を確認せずに信じたか
- 交際の継続に、どちらが積極的だったか
もっとも、これらは事案ごとに判断されるものであり、一定の割合が決まっているわけではありません。
夫婦の間で慰謝料を免除しても、求償は残る
配偶者を許しても、不倫相手の責任は消えない
被害を受けた配偶者が、不倫をした配偶者を許し、慰謝料を請求しないと約束することがあります。
この場合でも、不倫相手の責任は当然には消えません。
最高裁平成6年11月24日判決(平成4年(オ)第1814号・判例時報1514号82頁)は、妻が、夫との離婚調停で互いに金銭の請求をしないと合意した後に、夫の不倫相手に慰謝料を請求した事案で、その合意の効力は不倫相手には及ばないと判断しました。
現行の民法でも、連帯して債務を負う者の1人に対する免除は、原則として他の者に効力を生じないと定められています(民法441条)。
免除を受けた配偶者にも、求償される場合がある
不倫をした配偶者が慰謝料を免除されていても、不倫相手が被害を受けた配偶者に慰謝料を支払えば、不倫相手から求償を求められる可能性があります。
現行の民法445条は、連帯債務者の1人が免除を受けた場合でも、他の連帯債務者はその人に求償できると定めています。
そのため、「配偶者に許してもらったので、不倫相手からの求償にも応じなくてよい」とは限りません。
ただし、共同不法行為による責任に民法441条や445条がどこまで適用されるかについては議論があります。
離婚しない場合、求償の分が家計から出ていく
夫婦が離婚せずに家計を同じくしている場合、配偶者の不倫相手から慰謝料を受け取っても、不倫相手が配偶者に求償すれば、その分は家計から出ていきます。
たとえば、妻が夫の不倫相手から慰謝料200万円を受け取り、責任の割合が夫7割、不倫相手3割とされた場合、不倫相手は夫に140万円を求償できることになります。
夫婦の家計で見ると、手元に残るのは差額の60万円にとどまります。
これを避けるには、不倫相手と合意する際に、求償権を放棄してもらうことが考えられます。
反対に、不倫相手の側からは、求償権を放棄する代わりに、慰謝料の減額を求めることがあります。
求償権の放棄と引き換えに減額を求める方法については、以下の記事で解説しています。

不倫をした2人がどちらも既婚者である場合は、双方の家庭の間で請求と求償が生じるため、さらに複雑になります。
ダブル不倫の場合については、以下の記事で解説しています。

求償権の放棄
求償権の放棄とは
求償権の放棄とは、慰謝料を支払う人が、もう一方の不倫当事者に求償しないことを約束することです。
一般には、被害を受けた配偶者と不倫相手が示談をする際に、示談書の条項として定めます。
被害を受けた配偶者にとっては、受け取った慰謝料が求償によって家計から出ていくことを防げるという利点があります。
不倫相手にとっては、求償しない代わりに慰謝料の減額を求める材料になり、また、不倫をした既婚者と後から争う必要がなくなります。
書面に明記しなければ、放棄と認められない
求償権の放棄は、必ず書面に明記しておく必要があります。
先に紹介した東京地裁令和3年2月25日判決では、男性が、女性は和解の際に求償権を放棄したと主張しましたが、裁判所は次のように述べて、この主張を退けました。
控訴人は,本件和解の成立に際し,被控訴人が本件和解金支払債務に関する求償権を放棄したと主張するが,本件和解に係る和解調書(甲1)にその旨の記載はなく,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はないから,控訴人の主張は採用できない。
ここでいう「控訴人」は男性、「被控訴人」は女性を指します。
放棄を前提に慰謝料の金額を決めたつもりでも、その旨が書面に残っていなければ、後から求償を求められるおそれがあります。
放棄の条項で注意する点
求償権の放棄を定める際には、次の点に注意する必要があります。
- 誰が、誰に対する求償権を放棄するのかを明記する
- どの慰謝料の支払について生じる求償権なのかを特定する
- 不倫をした既婚者が合意の当事者に入っていない場合でも、放棄の条項は書いておく
- ダブル不倫の場合は、4人全員の間で求償の扱いを取り決める
示談書の記載事項については、以下の記事で解説しています。

放棄と引き換えに、どの程度の減額を求められるか
求償権の放棄と引き換えに減額できる金額について、法律上の決まりはありません。
理屈のうえでは、不倫をした既婚者の負担部分にあたる額が、放棄によって不倫相手が失う金額になります。
もっとも、負担割合は裁判になるまで確定しないため、実際の交渉では、想定される割合や、裁判になった場合の見通しを踏まえて金額を決めることになります。
求償をする側の対応
求償を求める方法
求償を求める場合は、まず、相手に対して書面で支払を求めます。
内容証明郵便を使えば、いつ、どのような内容の請求をしたかを証明できます。
話合いで解決しない場合は、訴訟を起こすことになります。
その際には、被害を受けた配偶者に支払ったことを示す示談書や振込の記録、損害の全体の額を示す資料が必要になります。
不倫相手の配偶者から訴えられた段階で検討すること
不倫相手の配偶者から慰謝料を請求する訴訟を起こされた場合、その訴訟の中で、不倫をした既婚者に訴訟告知をすることが考えられます(民事訴訟法53条)。
訴訟告知とは、訴訟の結果に利害関係のある人に、訴訟が係属していることを知らせる手続です。
告知を受けた人は、訴訟に参加しなかった場合でも、後に求償をめぐって争う訴訟で、前の判決の判断に一定の範囲で拘束されることがあります。
そのため、後の求償の訴訟で、損害の額などを改めて争われることを防ぐ効果が期待できます。
離婚した元配偶者への求償
不倫をした既婚者が配偶者と離婚した後でも、求償を求めることはできます。
この場合、求償に応じて支払うお金は、被害を受けた元配偶者の家計とは別になるため、離婚していない場合のように、家計の中でお金が行き来する問題は生じません。
ただし、元配偶者が離婚の際に、被害を受けた配偶者に慰謝料を支払っている場合は、その額も踏まえて損害の全体の額と負担部分を考える必要があります。
求償を求められた側の対応
確認すべき点
不倫相手などから求償を求められた場合は、次の点を確認します。
- 相手が支払った額が、相手の負担部分を超えているか
- 相手が主張する損害の全体の額や、責任の割合が妥当か
- 相手が示談の際に求償権を放棄していないか
- 自分が被害を受けた配偶者に支払った額があれば、それが考慮されているか
- 時効が完成していないか
先に紹介した東京地裁令和3年1月12日判決では、求償を求めた妻の支払額が負担部分を超えていなかったため、求償は認められませんでした。
自分も配偶者に慰謝料を支払っている場合は、その事情も主張する必要があります。
配偶者に許されたことだけを理由に拒むことは難しい
先に述べたとおり、配偶者から慰謝料を免除されていても、それだけで不倫相手からの求償を拒めるとは限りません。
求償を拒むには、相手の支払額が負担部分を超えていないことや、相手が求償権を放棄していることなど、具体的な事情を示す必要があります。
慰謝料を請求された場合の対応全体については、以下の記事で解説しています。

求償権の時効
求償権も債権の一つであり、時効によって消滅します。
民法166条1項によれば、債権は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年で時効によって消滅します。
求償権にもこの規定が適用されると考えられます。
求償権を行使できるのは、自分の負担部分を超えて支払った時からと考えられるため、慰謝料を支払った後は、早めに求償するかどうかを決める必要があります。
なお、被害を受けた配偶者が慰謝料を請求する権利の時効は、これとは別です。
不倫の慰謝料の時効については、以下の記事で解説しています。

よくある質問(FAQ)
- 求償権を放棄すると、慰謝料はどれくらい減りますか?
-
減額できる金額について法律上の決まりはなく、交渉によって決まります。
理屈のうえでは、不倫をした既婚者の負担部分にあたる額が目安になりますが、負担割合は事案ごとに異なるため、裁判になった場合の見通しを踏まえて判断することになります。 - 不倫相手から求償を求められました。拒否できますか?
-
相手の支払額が負担部分を超えていない場合や、相手が示談の際に求償権を放棄している場合には、求償を拒める可能性があります。
一方、自分の配偶者から慰謝料を免除されたことだけを理由に拒むことは難しいと考えられます。 - 自分の配偶者に慰謝料を支払いました。不倫相手に求償できますか?
-
自分の負担部分を超えて支払っていれば、超えた分を不倫相手に求償できる可能性があります。
ただし、配偶者としての義務を負う立場にあることなどから、自分の負担割合のほうが大きいと判断されることがあり、妻の負担を6割とし、支払額が負担部分を超えていないとして求償を認めなかった裁判例があります。 - 示談書に求償権を放棄する条項がありません。後から求償されることはありますか?
-
放棄の条項がなければ、後から求償を求められる可能性があります。
和解調書に求償権放棄の記載がないとして、放棄の主張を退けた裁判例もあるため、放棄を前提に金額を決めた場合は、その旨を書面に明記しておく必要があります。 - 離婚した後でも、元配偶者に求償できますか?
-
離婚した後でも求償することはできます。
ただし、元配偶者が離婚の際に慰謝料を支払っている場合は、その額も踏まえて負担部分を考える必要があり、また、求償権の時効にも注意が必要です。 - 求償権は、いつまで行使できますか?
-
求償権にも時効があり、民法166条1項により、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年で消滅すると考えられます。
慰謝料を支払った後は、早めに求償するかどうかを決めることをお勧めします。
まとめ
- 不倫をした2人は連帯して責任を負い、一方が自分の負担部分を超えて支払った場合には、超えた分をもう一方に求償できる。
- 負担部分は、損害の全体の額に責任の割合を掛けて計算する。改正民法442条1項が共同不法行為に適用されるかについては議論がある。
- 責任の割合は半々と決まっているわけではなく、不倫をした配偶者の負担を6割とした裁判例や7割とした裁判例がある。
- どちらが交際を主導したかは、被害者に支払う金額ではなく、求償の場面で問題になるとする考え方がある。
- 夫婦の間で慰謝料を免除しても、不倫相手の責任は当然には消えず、免除を受けた配偶者が求償を求められる可能性もある。
- 夫婦が離婚しない場合、求償の分が家計から出ていくため、求償権の放棄を書面に明記しておく必要がある。
当事務所では、不倫の慰謝料を請求したい方からのご相談と、慰謝料を請求された方からのご相談の両方をお受けしています。
求償の問題は、慰謝料の示談をする段階で取り決めておかなければ、後から別の紛争になることがあります。
配偶者の不倫相手と示談をする場合や、慰謝料を支払った後に求償を考えている場合、求償を求められた場合は、当事務所にご相談ください。
示談書に署名する前に、お早めにご相談ください。
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