痴漢・盗撮事件で逮捕された方・ご家族の方へ
「電車内で痴漢として捕まってしまった」「駅のホームで盗撮で取り押さえられた」「家族が痴漢・盗撮で逮捕されたが今後どうなるのか」――痴漢・盗撮事件は、通勤・通学経路や日常的な場所で起こるため、ごく普通の社会人や学生が突然刑事手続に巻き込まれる類型です。
一方で、被害者との示談成立により不起訴処分を獲得できる可能性が高い類型でもあり、初動の弁護活動が結果を大きく左右します。
当事務所は神田・小川町に所在し、千代田区・東京駅・秋葉原・神保町など、通勤や夜間繁華街での事案を多く取り扱える立地にあります。
痴漢・盗撮事件について、早期釈放、被害者との示談交渉、不起訴処分の獲得、執行猶予判決の獲得を目指した刑事弁護を提供しています。
痴漢事件で問われる罪
痴漢行為は、行為態様により2つの異なる罪に分かれます。
どちらが適用されるかで、刑罰の重さも手続の進み方も大きく変わります。
東京都迷惑防止条例違反(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
- 公共の場所または公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れる行為
- 法定刑:6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- 常習の場合:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 罰金刑があるため、略式起訴での処理が可能
不同意わいせつ罪(刑法176条)
- 同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、または乗じてわいせつ行為をした場合に成立
- 法定刑:6か月以上10年以下の拘禁刑
- 罰金刑なし、略式起訴不可
- 起訴された場合は必ず正式裁判(公判)
両罪の区別の目安
- 衣服の上から臀部や太ももに一瞬触れた程度:迷惑防止条例違反
- 衣服の上から胸を揉む、わしづかみにする:不同意わいせつ罪
- 下着の中に手を入れて素肌に触れる、性器に触れる:不同意わいせつ罪
- 抱きついて押し倒すなど暴行を伴う場合:不同意わいせつ罪
- 寝ている被害者への痴漢:不同意わいせつ罪
2023年7月13日の改正刑法施行以降、従来は迷惑防止条例違反とされていた衣服の上からの痴漢についても、不同意わいせつ罪で立件されるケースが増えています。
特に、満員電車での持続的な接触や、相手が拒絶するいとまのない態様での痴漢(刑法176条1項5号)について、不同意わいせつ罪適用の余地が広がりました。
弁護人が果たす重要な役割の一つは、検察官に対して「行為態様からして迷惑防止条例違反にとどまる」と主張し、罪名の変更を求めることです。
罪名が下がるだけで、罰金刑での処理が可能になり、結果が大きく変わります。
盗撮事件で問われる罪
盗撮行為は、2023年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法により、全国一律で重く処罰されるようになりました。
性的姿態撮影等処罰法(2023年7月13日施行)
撮影罪(同法2条)
- 性的姿態等を、ひそかに、または同意しない状態に乗じて撮影する行為
- 性的姿態等とは:性器・肛門・これらの周辺部・臀部・胸部、性的部位を覆う下着、わいせつ行為または性交等の最中の姿
- 法定刑:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 未遂も処罰
提供罪・公然陳列罪(同法3条)
- 撮影罪により得られた画像を不特定多数に提供・公然と陳列する行為
- 法定刑:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 不特定多数への送信:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
保管罪(同法4条)
- 提供等の目的で性的影像記録を保管する行為
- 法定刑:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
送信罪(同法5条)
- 性的姿態等をライブストリーミングにより不特定多数に配信する行為
- 法定刑:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
記録罪(同法6条)
- 送信された性的影像を、事情を知りながら記録する行為
- 法定刑:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
東京都迷惑防止条例違反
- 通常衣服で隠されている下着・身体の撮影、撮影目的でカメラを差し向け・設置する行為
- 法定刑:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 常習:2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
軽犯罪法違反(盗視、同法1条23号)
- 上記2法に該当しない、のぞき行為等
- 法定刑:拘留または科料
児童ポルノ製造罪(児童買春・児童ポルノ禁止法)
- 被害者が18歳未満の場合、上記の罪と併合して問われる可能性
- ひそかに製造:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
性的姿態撮影等処罰法の特徴
- 全国一律で適用(条例と異なり、撮影場所の特定不要)
- 自宅・宿泊施設等の私的空間での盗撮も対象
- 恋人・配偶者間でも、同意なき撮影は処罰対象
- 撮影しただけでなく、提供・保管・送信・記録も処罰
- 16歳未満の者を撮影した場合は、同意の有無に関係なく成立(13歳以上16歳未満は、撮影者が5歳以上年長の場合)
「もらっただけ」「保管していただけ」でも処罰されることに注意が必要です。
スマートフォン内の画像から、関係者の捜査が広がるケースもあります。
痴漢・盗撮事件の動向
法務省「令和7年版犯罪白書」(令和6年データ)によれば、性的姿態撮影等処罰法違反の認知件数は8,436件、検挙件数は6,867件です。不同意わいせつ等(旧強制わいせつを含む)は認知6,992件、検挙5,857件、検挙率83.8%でした。
参考:令和7年版犯罪白書 第1編/第1章/第2節/4 (https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_1_1_2_4.html)
実務感覚として
- 痴漢事件は現行犯逮捕が大半で、初動の72時間が勝負
- 盗撮事件はスマートフォン押収後の解析で余罪が発覚するケースが多い
- 性的姿態撮影等処罰法は施行から約3年が経過し、起訴率が上昇傾向
逮捕されてから判決までの流れ
逮捕から起訴・不起訴決定まで(最大23日間)
- 逮捕後48時間以内に検察官に送致
- 送致後24時間以内に検察官が勾留請求
- 裁判官が勾留決定(10日間)
- 検察官が勾留延長請求(さらに最大10日間)
- 起訴・不起訴決定
痴漢・盗撮事件の特徴
- 現行犯逮捕で警察署に連行された後、当日または翌日に釈放されるケース(在宅事件化)が一定数ある
- 一方、否認事件・被害者が複数・余罪が疑われる場合は勾留決定率が上がる
- 勾留が決定すると、会社・学校へ発覚する可能性が高くなる
起訴後の処理
- 迷惑防止条例違反:罰金刑があるため、略式命令請求(書面審理・罰金)で処理されることが多い
- 不同意わいせつ罪・性的姿態撮影等処罰法違反:罰金刑のない不同意わいせつ罪は必ず公判、性的姿態撮影等処罰法違反も悪質性により公判請求の可能性
示談の重要性と示談金の相場
痴漢・盗撮事件で最も重要な弁護活動は被害者との示談です。
示談が成立した場合に得られる効果
- 捜査段階:不起訴処分の獲得可能性が大きく上がる
- 勾留段階:示談成立を理由とした釈放
- 起訴後:略式命令(罰金)への切り替え、または執行猶予判決の獲得
- 民事面:将来の損害賠償請求リスクの解消
示談金の相場
痴漢事件
- 迷惑防止条例違反:30万円から50万円程度
- 不同意わいせつ罪:50万円から100万円程度
- 下着の中に手を入れる等悪質な事案:100万円超の場合あり
盗撮事件
- 撮影未遂・短時間の撮影:30万円から50万円程度
- 撮影が完了し画像データが存在:50万円から100万円程度
- 提供・公然陳列が伴う、被害者多数:100万円超
増額要因
- 被害者が未成年者
- 被害者が大きな精神的被害を受けている
- 撮影画像がインターネット上に拡散している
- 余罪が多数ある
- 加害者の社会的地位が高い
被害者対応の重要ポイント
- 加害者本人や家族による接触は厳禁。被害感情を逆撫でし、事案を悪化させる
- 必ず弁護士を通じて、警察・検察経由で被害者または代理人弁護士の連絡先を取り次いでもらう
- 示談書には宥恕条項(処罰を望まない旨)の記載が極めて重要
被害者が示談に応じない場合
- 弁済供託(法務局への損害賠償相当額の寄託)
- 贖罪寄付(公益団体への寄付)
- 反省文・謝罪文・誓約書の作成
これらは示談成立に劣るものの、被害弁償の意思を客観的に示す手段として、不起訴処分獲得や量刑軽減に向けた弁護活動に組み込まれます。
否認事件・冤罪の場合
痴漢事件は、被害者の供述のみで現行犯逮捕されるケースが多く、冤罪が生じやすい類型の一つです。
否認する場合の注意点
- 駅員室・警察署で「やってしまった」と認めると、後で覆すのは極めて困難
- 黙秘権の行使が基本
- 弁護士の到着まで、供述を控えることが鉄則
- 「早く帰りたいから認める」は最悪の選択
否認事件で重要となる証拠
- 防犯カメラ映像(駅構内・車両内)
- 加害者の手の位置・状態(指紋採取、繊維鑑定)
- 被害者の供述の合理性・一貫性
- 目撃証言
- ICカードの利用履歴・乗車履歴
盗撮事件の否認・争点
- スマートフォンの押収・解析手続の適法性
- 「ひそかに」要件の不存在の主張
- 撮影の故意の不存在の主張
これらの争点を主張する場合、客観証拠の保全が早期に必要です。
逮捕直後の弁護活動が決定的に重要となります。
ご家族が痴漢・盗撮で逮捕されたときに
すぐに行うべきこと
- 弁護士に接見を依頼する(逮捕直後72時間は家族でも面会できない)
- 警察署と担当部署を確認する
- 弁護士費用と示談金の準備
避けるべきこと
- 家族が単独で被害者を探したり連絡を取ろうとする
- 家族が単独で警察に事情を聞きに行く
- スマートフォン・パソコン等の証拠物の処分
- SNS等での発信
- 共犯と疑われる可能性のある人物への接触
会社・学校への対応
- 当日または翌日に釈放されれば、欠勤・欠席を最小限に抑えられ、発覚を防げる事案がある
- 勾留が決定すると、長期欠勤・欠席となり発覚する可能性が高まる
- 公務員・教員・医師等の有資格者は懲戒処分・資格剥奪のリスクがあり、対応設計が必要
被害者との示談交渉は、加害者本人や家族が直接行うことは不可能です。必ず弁護士を介して進めます。
当事務所のサポート内容
捜査段階
- 逮捕直後の接見と方針説明
- 勾留阻止に向けた意見書提出
- 勾留決定に対する準抗告
- 被害者との示談交渉
- 弁済供託・贖罪寄付の手続
- 罪名変更(不同意わいせつ罪から迷惑防止条例違反への切り替え)の働きかけ
- 不起訴処分獲得に向けた検察官への意見書提出
- その他
公判段階
- 保釈請求
- 示談交渉の継続
- 略式命令請求への切り替え交渉
- 情状立証
- 執行猶予獲得に向けた弁護
- 量刑不当を争う控訴
- その他
否認事件・冤罪事件
- 取調べへの対応方針助言(黙秘権行使を含む)
- 防犯カメラ映像・客観証拠の精査
- 被害者供述の信用性に関する反論
- 無罪判決獲得に向けた弁護
- その他
弁護士が初動から判決まで一貫して担当します。担当者が途中で変わることはありません。
よくあるご質問
- 衣服の上から触っただけです。迷惑防止条例違反ですか、不同意わいせつ罪ですか。
-
従来は衣服の上から触る行為は迷惑防止条例違反として扱われていましたが、2023年7月の改正刑法施行以降、不同意わいせつ罪で立件されるケースが増えています。
特に持続的な接触や、被害者が拒絶できない状況での接触は、不同意わいせつ罪に該当する可能性があります。 - 盗撮しようとしたが撮影できませんでした。それでも罪になりますか。
-
性的姿態撮影等処罰法は未遂も処罰対象としています。
また、撮影目的でカメラを差し向け・設置する行為自体が東京都迷惑防止条例違反となります。
「撮れていないから大丈夫」とは言えません。 - スマートフォンを警察に押収されました。過去の盗撮画像が出てきたらどうなりますか。
-
過去の盗撮画像が発見された場合、別件として追起訴・再逮捕される可能性があります。
性的姿態撮影等処罰法は保管罪も処罰対象としているため、提供目的がある場合、画像の保管自体も罪となります。弁護士と相談しながら、捜査への対応方針を決める必要があります。
- 痴漢の冤罪を主張したいのですが、どうすればよいですか。
-
まず黙秘権を行使し、供述を控えてください。
一度認めた供述を覆すのは極めて困難です。
弁護士の到着を待ち、防犯カメラ映像・ICカード履歴・目撃証言などの客観証拠の保全を急ぐ必要があります。「早く帰りたいから認める」は最悪の選択です。
- 初犯ですが、職場に知られず終わらせることはできますか。
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当日または翌日に釈放されれば、発覚を防げる事案があります。
在宅事件として進めば、職場への通知はありません。一方、勾留が決定し長期欠勤となれば発覚する可能性が高くなるため、その場合は釈放後の対応設計が必要です。
- 示談金はどのくらい用意すべきですか。
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痴漢事件は30万円から100万円程度、盗撮事件は30万円から100万円程度が中心です。
行為態様、被害者の年齢、撮影画像の有無・拡散状況等により変動します。
具体的な事案での目安については、まずはご相談ください。
- 公務員・教員ですが、懲戒処分が心配です。
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不起訴処分を獲得できれば、懲戒処分を回避または軽減できる可能性が高まります。
逆に、勾留が長期化したり略式罰金で終わっても刑事処分を受ければ、懲戒処分のリスクが上がります。早期解決と不起訴処分の獲得が最優先となります。
- 弁護士費用はいくらかかりますか。
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事案の複雑さ、想定される手続、示談交渉の難易度、否認事件か自白事件かによって異なります。
当事務所では着手金・報酬金を事前に明示し、見通しと併せてご説明します。
料金体系についてはこちらのページもご確認ください。
まずはお気軽にご相談ください
痴漢・盗撮事件は、初動の早さと示談交渉の進め方が結果を大きく左右します。
特に逮捕から72時間以内は、家族でも面会できない状況で弁護士のみが接見可能です。
勾留決定前に動き出すことで、選択肢が大きく広がります。
お電話でのお問い合わせ
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(受付時間:平日10:00~18:00)
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