暴行・傷害事件で逮捕された方・ご家族の方へ

暴行・傷害事件で逮捕された方・ご家族の方へ

「酒の席で他人を殴ってしまい逮捕された」「口論の末に相手にケガをさせてしまった」「家族が傷害で逮捕されたが今後どうなるのか」――暴行・傷害事件は、突発的な感情から起こることが多く、ご本人にも家族にも心の準備がないまま手続が進んでいきます。
一方で、被害者との示談が成立すれば不起訴処分や執行猶予判決が獲得できる可能性が高い類型でもあり、初動の弁護活動が結果を大きく左右します。

当事務所では、暴行事件・傷害事件について、早期釈放、被害者との示談交渉、不起訴処分の獲得、執行猶予判決の獲得を目指した刑事弁護を提供しています。

暴行罪と傷害罪の違い

両罪はいずれも他人の身体に対する不法な行為を処罰するもので、刑法第27章「傷害の罪」に規定されています。
違いは「被害者にケガ等の結果が生じたか」です。

暴行罪(刑法208条)

  • 他人の身体に対して不法な有形力を行使したが、被害者にケガが生じなかった場合に成立
  • 殴る、蹴る、突き飛ばす、髪を引っ張る、衣服をつかむ、唾を吐きかける、相手の至近で物を投げる、大音量を浴びせる、塩や水をかける等が含まれる
  • 物理力が相手の身体に接触しなくても成立する場合がある

傷害罪(刑法204条)

  • 被害者の生理的機能に障害を生じさせた場合に成立
  • 切創・打撲・骨折等の身体的損傷だけでなく、PTSD・うつ病・失神状態・病毒感染等の精神的・身体的機能障害も含まれる
  • 暴行の故意で殴った結果、被害者がケガを負えば、ケガをさせる意図がなくても傷害罪が成立(結果的加重犯)

両者の境界線

  • 不法な有形力を行使した結果、被害者がケガをすれば傷害罪、ケガがなければ暴行罪
  • 当初は暴行で立件されても、後日提出された診断書で被害者の負傷が確認されれば傷害罪に切り替わる
  • 傷害罪に未遂はないため、ケガをさせる意図で殴ったが結果としてケガがなかった場合は暴行罪となる

法定刑と公訴時効

暴行罪

  • 法定刑:2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金、拘留または科料
  • 公訴時効:3年

傷害罪

  • 法定刑:15年以下の拘禁刑、50万円以下の罰金
  • 公訴時効:10年

傷害致死罪(刑法205条)

  • 暴行・傷害の結果、被害者を死亡させた場合に成立
  • 法定刑:3年以上の有期拘禁刑
  • 公訴時効:20年

2025年6月1日以降、懲役・禁錮は拘禁刑に統合されました。それ以前の事件には旧法の懲役刑が適用されます。

なお、複数人による暴行や凶器を用いた傷害は「暴力行為等処罰に関する法律」により加重処罰される類型があります。

  • 集団的暴行:3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
  • 銃砲または刃物を用いた傷害:1年以上15年以下の拘禁刑

暴行・傷害事件の動向

法務省「令和7年版犯罪白書」(令和6年データ)によれば、検察庁終局処理人員総数の公判請求率は11.0%、起訴率(公判請求+略式命令)は32.6%でした。
罪名別では暴行・傷害は刑法犯に分類され、起訴猶予率は罪名・態様により大きく変動します。

参考:令和7年版犯罪白書 第2編/第2章/第4節 (https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_2_2_4_0.html)

実務感覚として

  • 暴行罪は初犯で示談成立があれば不起訴処分(起訴猶予)となる確率が高い
  • 傷害罪は被害の程度・凶器の有無・前科の有無により処分が大きく分かれる
  • 傷害罪で起訴される場合でも、軽傷で示談成立があれば略式命令請求(罰金)で終わる事案が多い
  • 重傷事案、凶器使用事案、前科ありの事案は公判請求(正式裁判)となり、執行猶予を争う展開になる

逮捕されてから判決までの流れ

逮捕から起訴・不起訴決定まで(最大23日間)

  • 逮捕後48時間以内に検察官に送致
  • 送致後24時間以内に検察官が勾留請求
  • 裁判官が勾留決定(10日間)
  • 検察官が勾留延長請求(さらに最大10日間)
  • 起訴・不起訴決定

暴行・傷害事件の特徴

  • 軽微な暴行であれば在宅事件として進む場合が多い
  • 現行犯逮捕の場合、当日中に釈放されることもある
  • 一方、傷害が重い場合、凶器を用いた場合、共犯事件の場合、被害者との関係に問題がある場合(DV、職場、近隣トラブル等)は勾留決定率が上がる

起訴後の処理

  • 略式命令請求:軽微な傷害事件で本人が同意した場合、書面審理で罰金が確定
  • 公判請求(正式裁判):起訴から約1〜2か月後に第1回公判、自白事件であれば1〜2回で結審

示談の重要性と示談金の相場

暴行・傷害事件で最も重要な弁護活動は被害者との示談です。
被害者がはっきりしている類型であり、示談成立が処分結果に直結します。

示談が成立した場合に得られる効果

  • 捜査段階:不起訴処分(起訴猶予)の獲得可能性が大きく上がる
  • 逮捕前段階:刑事事件化そのものを回避できる場合がある
  • 勾留段階:示談成立を理由とした釈放
  • 起訴後:略式命令(罰金)への切り替え、または執行猶予判決の獲得
  • 民事面:将来の損害賠償請求リスクの解消

示談金の相場

  • 暴行罪:10万円から30万円程度
  • 軽傷の傷害罪:30万円から100万円程度
  • 中等傷の傷害罪:100万円から300万円程度
  • 重傷の傷害罪:300万円から数百万円、後遺障害が残った場合はさらに高額化
  • 傷害致死:1,000万円以上が標準

増額要因

  • 治療期間の長さ、入院の有無、後遺障害の有無
  • 被害者の被害感情、PTSD発症等の精神的被害
  • 凶器使用、複数人による加害、計画性
  • 加害者と被害者の関係(DV、職場での加害、立場の悪用等)
  • 加害者の社会的地位や経済力

被害者対応で重要な点

  • 治療費・通院交通費・休業損害は示談金とは別途、または示談金に含めて精算するのが通常
  • 診断書記載の治療期間が3週間未満でも、実通院日数が長ければ慰謝料が増額する
  • 公判段階の示談でも酌量され、執行猶予獲得の決め手となる

被害者が示談に応じない場合

  • 弁済供託(法務局への損害賠償相当額の寄託)
  • 贖罪寄付(公益団体への寄付)
  • 反省文・謝罪文・誓約書の作成

これらは示談成立に劣るものの、被害弁償の意思を客観的に示す手段として、不起訴処分獲得や量刑軽減に向けた弁護活動に組み込まれます。

正当防衛・過剰防衛・喧嘩闘争の主張

暴行・傷害事件には、ほかの刑事事件にはない特有の争点があります。

正当防衛(刑法36条)

  • 急迫不正の侵害に対し、自己または他人の権利を防衛するためやむを得ずにした行為は罰せられない
  • 成立すれば無罪
  • 防衛行為の必要性・相当性が問われる

過剰防衛(刑法36条2項)

  • 防衛行為の限度を超えた場合
  • 罪は成立するが、情状により減軽または免除される
  • 攻撃手段・程度の相当性が問題となる

喧嘩闘争・相互暴行

  • 双方が暴力に及んだ場合、防衛の意思や急迫性が否定され、正当防衛の主張が困難になる
  • 一方、相手方の挑発・先制攻撃などの事情は量刑減軽の要素となる

これらの争点を主張する事案では、客観証拠(防犯カメラ映像、目撃証言、診断書記載の創傷部位)の精査が不可欠です。

ご家族が暴行・傷害で逮捕されたときに

すぐに行うべきこと

  • 弁護士に接見を依頼する
  • 警察署と担当部署を確認する
  • 弁護士費用と示談金の準備

避けるべきこと

  • 家族が単独で被害者・目撃者を探したり連絡を取ろうとする
  • 家族が単独で警察に事情を聞きに行く
  • SNS等での発信
  • 防犯カメラ映像が残る場所での挑発的な行動

被害者との示談交渉は、加害者本人や家族が直接行うことは推奨できません。
被害感情を逆撫でし、事案を悪化させるリスクがあります。

会社・学校への対応

  • 軽微な暴行で在宅事件として進めば、職場・学校に発覚せずに済む事案が多い
  • 略式命令(罰金)であれば公開裁判ではないため、報道されるリスクは低い
  • 一方、勾留が長期化した場合や正式裁判となった場合は、対応の設計が必要

当事務所のサポート内容

捜査段階

  • 逮捕直後の接見と方針説明
  • 在宅事件化に向けた働きかけ
  • 勾留阻止に向けた意見書提出
  • 勾留決定に対する準抗告
  • 被害者との示談交渉
  • 弁済供託・贖罪寄付の手続
  • 不起訴処分獲得に向けた検察官への意見書提出
  • その他

公判段階

  • 保釈請求
  • 示談交渉の継続
  • 情状立証
  • 執行猶予獲得に向けた弁護
  • 量刑不当を争う控訴
  • その他

否認事件・争点のある事件

  • 正当防衛・過剰防衛の主張
  • 因果関係の不存在(被害者の負傷が当該暴行に起因しないこと)の主張
  • 故意の不存在の主張
  • 客観証拠(防犯カメラ映像、メッセージ履歴等)の精査
  • 無罪判決獲得に向けた弁護
  • その他

弁護士が初動から判決まで一貫して担当します。担当者が途中で変わることはありません。

よくあるご質問

殴ったが相手にケガはありませんでした。それでも罪になりますか。

ケガがなくても暴行罪が成立します。

法定刑は2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金等です。
一方、示談が成立すれば不起訴処分となる可能性が高く、初動の対応が重要です。

相手が大げさに診断書を取ってきました。どう対応すべきですか。

診断書記載の傷病名・治療期間と実際の被害の整合性を弁護士が精査します。

診断書の存在自体は争えませんが、暴行と傷害結果の因果関係や治療期間の妥当性は争点になり得ます。
客観証拠(防犯カメラ映像、目撃証言等)の収集が重要です。

正当防衛を主張できますか。

急迫不正の侵害があったこと、防衛のためであったこと、防衛手段が相当であったことが要件です。
喧嘩のように双方が暴力に及んだ場合は急迫性が否定されやすく、難易度が上がります。

事案の具体的状況を精査した上で判断します。

示談金はいくら用意すべきですか。

暴行罪は10万円から30万円、軽傷の傷害罪は30万円から100万円、中等傷以上は100万円以上が目安です。

被害者の治療期間、後遺障害の有無、被害感情などにより変動します。
具体的な事案での目安については、まずはご相談ください。

初犯で軽傷の傷害ですが、前科がついてしまいますか。

示談が成立すれば不起訴処分(起訴猶予)となる可能性が高く、前科は付きません。

示談に応じてもらえない場合でも、弁済供託や贖罪寄付などの選択肢があります。

集団で起こした暴行事件です。共犯がいると示談はどうなりますか。

共犯者間で示談金を分担する場合もありますが、被害者側からは一括での解決を求められることが一般的です。

共犯者との連絡・調整も含めて弁護士が対応します。

会社や家族に知られずに済みますか。

在宅事件として進めば発覚を防げる事案が多くあります。

略式命令(罰金)の場合も公開裁判ではないため報道リスクは低くなります。
一方、勾留が長期化した場合は対応の設計が必要です。

まずはお気軽にご相談ください

暴行・傷害事件は、初動の早さと示談交渉の進め方が結果を大きく左右します。
逮捕されている場合は身柄拘束が長期化する前に、在宅捜査の場合は起訴される前に、できるだけ早くご相談ください。

お電話でのお問い合わせ
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(受付時間:平日10:00~18:00)

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