【この記事の結論・要約】
- 「不同意性交等罪で訴える」「会社にバラす」等の脅し文句で金銭を要求された場合、絶対にその場でお金を支払ってはいけません。
- 相手はあなたを恐喝している可能性が高く、一度支払うと「カモ」として更なる要求が続くリスクがあります。
- 「同意があったのに訴えられた」という冤罪を防ぐには、LINEや通話履歴などの証拠保全と、警察介入前の弁護士への早期相談が有効な解決策です。
はじめに
「合意の上でホテルに行ったはずなのに、後から『無理やりだった』と言われた」 「夫や彼氏を名乗る男から『妻(彼女)が妊娠した、誠意を見せろ』と連絡が来た」 「デリヘル嬢と本番行為をしてしまい、『店に言うぞ』『警察に行く』と脅されている」
これらは典型的な「美人局(つつもたせ)」の手口です。
かつては強面の男が現場に踏み込んでくる手口が主流でしたが、現在はSNSやマッチングアプリの普及、そして刑法改正(不同意性交等罪の施行)に伴い、手口がより巧妙化・陰湿化しています。
特に、「不同意性交等罪(旧:強制性交等罪)」という言葉を出し、「訴えられたくなければ示談金を払え」と迫るケースが急増しています。
性犯罪のレッテルを貼られる恐怖から、誰にも相談できずに言いなりになってしまう男性は後を絶ちません。
しかし、パニックになって相手の要求を呑んではいけません。
本記事では、不同意性交等罪を盾にした脅迫への正しい対処法などについて解説します。
なお、不同意性交等罪に関しては、以下のコラムもご覧ください。

第1章 美人局(つつもたせ)の最新手口と「不同意性交等罪」の悪用
美人局とは、男女が共謀してターゲットとなる男性を誘惑し、性的な関係を持たせた(または持たせたように見せかけた)上で、因縁をつけて金銭を脅し取る犯罪行為です。
近年、この手口に変化が生じています。
1-1. なぜ「不同意性交等罪」が使われるのか
2023年7月の刑法改正により、「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」へと名称が変わりました。
これにより、「暴行や脅迫」がなくても、「同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態」に乗じて性交等を行えば犯罪が成立することになりました。
美人局グループは、この法改正を悪用し、以下のような主張で脅しをかけてきます。
- 「お酒を飲まされて判断能力がなかった(アルコール等の影響)」
- 「怖くて拒絶できなかった(経済的・社会的地位の利用)」
- 「同意した覚えはない、無理やりだった」
実際には合意の上での行為であっても、「被害者が『同意していなかった』と言えば逮捕される」と誤った知識を吹き込み、示談金名目で金銭を要求してくるのです。
1-2. 風俗(デリヘル)利用時の「本番強要」トラブル
デリヘルなどの派遣型風俗店を利用した際のトラブルも多発しています。
本来、店舗型の風俗以外での本番行為(性交)は禁止されていますが、女性側が誘ってくる、あるいは黙認するような態度を見せることがあります。
しかし、事後に態度が急変し、店やバックについている男性が出てきて、以下のように脅されます。
- 「女の子が『無理やり本番を強要された』と泣いている」
- 「本番強要は犯罪だ。警察に行くか、店への違約金と慰謝料を払うか選べ」
この場合、利用者に「ルール違反(本番行為)」という負い目があるため、強く言い返せない心理を巧みに突いてきます。
1-3. パパ活・マッチングアプリ経由の不同意性交トラブル
マッチングアプリやパパ活で知り合った女性と関係を持った数週間後に、「お酒を飲まされて性交させられた」「あの時の行為は不同意だった」と告げられるパターンです。
また、「妊娠した」などと言い、「家族にバレたら大変なことになる」「中絶費用と慰謝料が必要」として、エコー写真(ネットで拾った偽物の可能性が高い)を見せてくるようなケースも散見されます。
これに対し、「本当に自分の子か?」と疑うと、「誠意がないなら不同意性交で訴える」「会社や奥さんにバラす」と脅迫に転じることもあります。
第2章 絶対にやってはいけないNG行動
相手から「訴える」「会社に言う」と言われたとき、恐怖心から誤った行動をとってしまうと、事態はさらに悪化します。
2-1. その場でお金を支払う
「今すぐ100万円払えば許してやる」「手付金だけでも払え」と言われても、支払ってはいけません。
- 一度払うと「カモ」認定される:相手が犯罪組織や常習犯の可能性があります。その場合、「脅せば金を出す人間」と認識されれば、データが共有され、今後も様々な理由をつけて金銭を要求され続ける可能性があります。
- 「罪を認めた」という既成事実になる:金銭を支払うことは、後ろめたい行為(不同意性交など)があったことを間接的に認めた証拠として利用されるリスクがあります。
- 返還請求が困難:仮に、後に冤罪だと証明できたとしても、一度支払ってしまった金銭の返還は、非常に手間がかかります。
2-2. 相手に言われるがまま「念書」や「誓約書」を書く
「今後は近づかない」「誠意を見せる」といった内容の念書にサインを求められることがあります。
その文面に「無理やり性行為をしたことを認め、謝罪金として○○円支払います」といった不利な文言が隠されている場合があります。
署名・押印した文書は、後の裁判で強力な証拠となってしまいます。
どんなに威圧されても、絶対にサインをしてはいけません。
2-3. LINEや通話履歴を削除する
「証拠隠滅を疑われたくない」「奥さんに見られたくない」という理由で、相手とのやり取りを削除してしまう方がいます。
しかし、これは逆効果です。
相手とのやり取り(誘い文句、合意があったと思われる会話、その後の脅迫文言)は、あなたの無実を証明し、相手の「恐喝罪」を立証するための有効な証拠となる可能性があります。
絶対に消さないでください。
第3章 被害に遭った直後の正しい対処法
脅迫を受けたら、まず落ち着いて、以下の手順で対処してください。
3-1. 相手との連絡を絶つ(着信拒否・ブロックは慎重に)
相手からの執拗な連絡に応答する必要はありません。
「弁護士に相談しますので、直接の連絡は控えてください」と一言伝え、それ以降は無視してください。
ただし、完全にブロックするかどうかは状況によります。
相手が逆上して職場に電話をかけてくるリスクがある場合など、あえてブロックせずに「相手の脅迫メッセージを証拠として受信し続ける(返信はしない)」という戦略をとることもあります。
この判断は弁護士に委ねるのが安全です。
3-2. 証拠を保全する
以下の情報を可能な限り集めて保存してください。
- LINE・メールの履歴:最初のアプローチから脅迫に至るまでの全履歴。スクリーンショットだけでなく、テキストデータとしても保存できればベストです。
- 通話録音:相手が電話で脅してきた内容を録音します。スマホの機能やボイスレコーダーアプリを活用してください。
- 相手の情報:氏名、電話番号、SNSのアカウント、振込先口座など。
- 現場の状況:ホテルに入った時間、出た時間、支払いの明細、当時の会話の内容など(メモに残す)。
特に、「女性側から積極的に誘ってきた」「ホテル代を女性が支払った」「行為後も仲良く会話していた」といった事実は、不同意性交の冤罪を晴らす重要な要素になります。
実際に、証拠があったことで「同意があった」ことを証明できたケースもあります。
3-3. 弁護士に相談する
弁護士に相談し、状況や証拠を整理します。
その上で、「これは美人局(恐喝)である」という法的な構成を整えてから警察に被害届を出す、弁護士から相手に警告の連絡をするなどの対応を取ります。
第4章 弁護士に依頼するメリットと解決への流れ
美人局トラブルを弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
4-1. 相手からの連絡・請求が止まる
弁護士が受任通知を送付すると、相手はあなたに直接連絡を取ることができなくなります。
深夜の電話や執拗なLINEから解放され、精神的な平穏を取り戻すことができます。
4-2. 恐喝・恐喝未遂などの主張
相手の要求が法的根拠のない不当な請求であり、「恐喝罪」や「恐喝未遂罪」に該当する可能性があることを主張します。
「正当な権利行使の範囲を超えた脅迫的な金銭要求」は犯罪です。
「これ以上請求を続けるなら、恐喝罪で刑事告訴する」と警告することで解決するケースも少なくありません。
4-3. 不同意性交等罪の冤罪を防ぐ(不起訴・逮捕回避)
万が一、相手が警察に被害届を出してしまった場合でも、弁護士であれば、弁護人として活動することが可能です。
保全した証拠に基づき、「合意があったこと(同意があったこと)」を法的に主張し、不起訴処分や逮捕の回避を目指します。
特に、「冤罪」は初動が命です。
逮捕されてから弁護士を探すのではなく、脅された段階で弁護士をつけておくことで、早期に対応することが可能です。
4-4. 会社や家族への発覚を防ぐ
弁護士は「守秘義務」を負っています。
相談内容が外部に漏れることはありません。
また、相手に対しても「職場や家族に連絡すれば名誉毀損や業務妨害で追加の法的措置をとる」と強く警告し、被害が周囲に広がるリスクを最小限に抑えることができます。
おわりに
不同意性交等罪への改正も相まって、美人局の被害は後を絶ちません。
もし今、「訴える」「バラす」と脅されているなら、一刻も早く弁護士にご相談ください。
早期に弁護士が介入することで、金銭的な被害を防ぎ、冤罪のリスクを回避し、あなたの平穏な生活を守ることができます。
一人で抱え込まず、まずは弁護士にご相談ください。
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