爆サイの誹謗中傷を削除する方法|投稿者特定と費用を弁護士が解説

目次

【この記事の結論・要約】

  1. 爆サイの誹謗中傷は、まず証拠を保全したうえで、削除依頼フォームから削除を申請できます。
  2. 削除されない場合は、弁護士を通じた送信防止措置請求や、裁判所への削除仮処分申立てを行います。
  3. 投稿者を特定したい場合は、発信者情報開示請求によりIPアドレス等を取得し、プロバイダから契約者情報の開示を受けます。
  4. 特定後は、投稿者に対する慰謝料等の損害賠償請求や刑事告訴が可能です。
  5. いずれの手続きもスピードが重要です。 ログ保存期間(一般的に3~6ヶ月程度)を過ぎると投稿者の特定が技術的に不可能になります。

はじめに

「爆サイ(爆サイ.com)」は、日本最大級の地域密着型掲示板です。
都道府県・市区町村ごとに細分化されたスレッドが存在し、特定の地域や店舗、個人に関するローカルな情報交換が活発に行われています。

その地域密着性ゆえに、特定の個人や店舗をターゲットにした誹謗中傷、プライバシーの暴露、風俗店キャストやホストへの悪質な書き込みなどが集中しやすく、被害者が特定されやすいという特徴があります。
「〇〇市の〇〇という店」「〇〇学校の〇〇さん」といった具体的な書き込みは、狭いコミュニティ内で急速に拡散し、被害者の社会生活に深刻な悪影響を及ぼします。

本稿では、爆サイでの誹謗中傷被害に遭われた方に向けて、証拠保全の方法、削除依頼の手順、弁護士による法的手続き、投稿者の特定と責任追及までの一連の流れを解説します。

誹謗中傷に気づいたらまずやるべきこと

証拠を保全する

誹謗中傷の書き込みを発見したら、何よりも先に証拠を保全してください。
投稿者やスレッド管理者が書き込みを削除すると、証拠が失われてしまいます。

保存すべき情報は以下のとおりです。

  • スレッドのURL: 書き込みが掲載されているスレッドのURLを記録します。
  • スクリーンショット: 書き込みの内容、レス番号、投稿日時、スレッドタイトルが全て写るように撮影します。PCのブラウザ画面での保存が確実です。
  • 複数レスにまたがる場合: 前後の文脈がわかるように、関連するレスも含めて保存してください。

弁護士に早期相談する(ログ保存期間のタイムリミット)

証拠保全ができたら、速やかにインターネット問題に詳しい弁護士に相談してください。

投稿者の特定に不可欠な通信ログ(誰がいつどのIPアドレスを使ったかの記録)は、アクセスプロバイダ(携帯電話会社・インターネット回線業者等)によって保存されていますが、その保存期間は一般的に携帯キャリアで約3ヶ月、固定回線で約6ヶ月~1年程度と非常に短いです。
この期間を過ぎるとログが消去され、投稿者の特定が技術的に不可能になります。

弁護士に相談すれば、プロバイダに対するログ保存要請を先行して行い、証拠の保全を図ることができます。

「先に削除依頼」は慎重に

直感的には「まず書き込みを消してほしい」と考えるのが自然ですが、先に削除依頼をすることには注意が必要です。

削除が認められて書き込みが消えてしまうと、その投稿が存在したことの証拠も消滅してしまいます。
適切に証拠保全ができていなければ、その後の損害賠償請求や刑事告訴が困難になる可能性があります。

対処の順番としては、①証拠保全 → ②弁護士相談(開示請求の要否判断) → ③必要に応じて削除依頼という流れが推奨されます。

爆サイの書き込みが「権利侵害」となる法的基準

削除依頼や開示請求を行うためには、書き込みが法律上の「権利侵害」に該当する必要があります。
主な類型は以下のとおりです。

名誉毀損

不特定多数が閲覧できる状態で、具体的な事実を挙げ、社会的評価を低下させる行為です。

  • 例: 「Aさんは会社の金を横領している」「B店は産地偽装をしている」
  • 要件: 公然性、事実の摘示、社会的評価の低下。ただし、内容が真実であり公益目的がある場合は違法性が否定されることがあります。

侮辱

具体的な事実を挙げずに、公然と人を侮辱する行為です。

  • 例: 「バカ」「死ね」「ブス」「ゴミ」などの罵詈雑言
  • 基準: 社会通念上許容される限度を超えた悪質な表現であるかどうかが問われます。

プライバシー侵害

私生活上の事実や、一般に知られていない情報を、本人の承諾なく公開する行為です。

  • 例: 本名、住所、電話番号、勤務先、前科・前歴、病歴の公開
  • 爆サイでの特徴: 源氏名で活動しているキャストの本名を晒す行為や、自宅付近の写真をアップロードする行為などが該当します。

業務妨害・信用毀損

虚偽の風説を流布し、業務を妨害したり、経済的な信用を毀損する行為です。

  • 例: 「この店に行くと食中毒になる」「近々倒産するらしい」といった虚偽の書き込み

自分でできる削除依頼の方法

爆サイには、被害者自身が削除を依頼するための公式フォームが用意されています。

削除依頼フォームの手順

爆サイでの削除依頼は、サイト内のフォームからのみ受け付けられています。
メール・電話・郵便での削除依頼は受け付けていません。
削除依頼を行うには、爆サイのアカウント作成とログインが必要です。

  1. 削除したい書き込みがあるスレッドを開く
  2. スレッド下部にある「削除依頼」ボタンをクリック
  3. 必要事項を入力して送信する

削除依頼で記載すべきポイント

削除依頼フォームでは、以下の項目を入力します。

  • レス番号: 削除対象のレス番号を正確に入力します。複数のレスを削除したい場合は、1件ずつ別々に申請する必要があります。
  • 通報区分: 「個人情報の記載」「その他」など、適切な区分を選択します。名誉毀損や風評被害など個人情報以外の問題は「その他」を選択します。
  • お名前: 本名をフルネームで記載します。法人の場合は会社名・役職も記載すると対応されやすい傾向があります。
  • 削除依頼理由: ここが最も重要です。「不快だから消してほしい」といった感情的な理由ではなく、爆サイの利用規約のどの禁止事項に違反しているかを具体的に記述します。「レス番号〇〇の『△△』という記載は事実無根であり、私の名誉を毀損しています(利用規約第3条〇号違反)」のように、具体的な記述を心がけてください。

削除依頼の注意点

  • 対応期間の目安: 早ければ最短数日、遅い場合は2週間程度かかることもあります。
  • 削除されるとは限らない: 申請したからといって必ず削除されるわけではありません。1週間以上経過しても削除されない場合は、運営側が「削除相当ではない」と判断した可能性があります。
  • 連続申請のリスク: 同じ内容の削除依頼を短期間に連続で送信すると、業務妨害とみなされるリスクがあります。1件目の対応結果を待ってから次の申請を行ってください。

やってはいけないNG行動

  • 証拠を保存せずに削除依頼を出す: 削除が成功すると証拠が消えてしまいます。必ず先にスクリーンショットとURLを保存してください。
  • 掲示板上で直接反論・言い返す: 書き込みに対してスレッド上で反論すると、炎上を招き、かえって被害が拡大する可能性があります。また、自らの書き込みが新たな紛争の原因となるリスクもあります。
  • 感情的・脅迫的な文面で依頼する: 「訴えるぞ」「早く消さないと許さない」といった文面は逆効果です。冷静に、規約違反と権利侵害の内容を具体的に記述してください。

削除されない場合の法的手続き

フォームからの削除依頼で削除されなかった場合、弁護士に依頼し、法的手続きを通じて削除を求めます。

送信防止措置請求

弁護士名義で、爆サイの運営者に対し、情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法)に基づく「送信防止措置依頼書」を送付します。
法的根拠を明記した書面を送ることで、運営側が違法性を再考し、任意での削除に応じるケースがあります。

裁判所への削除仮処分申立て

任意の請求でも応じない場合、裁判所に対して削除仮処分命令を申し立てます。
通常の訴訟よりも迅速な手続きで、裁判官が「権利侵害がある」と認めれば、運営者に対して削除を命じる決定を出します。
爆サイの運営者は、裁判所の決定には原則として従う傾向にあります。

情報流通プラットフォーム対処法による削除申請

爆サイの運営会社(株式会社湘南西武ホーム)は、令和7年(2025年)5月30日に情報流通プラットフォーム対処法に基づく大規模特定電気通信役務提供者に指定されました。

これにより、爆サイの運営者には以下の義務が課されています。

  • 削除申出窓口の設置・公表義務(法22条): 被害者が権利侵害投稿の削除を求めるための申出方法を定め、公表する義務。爆サイは削除申出窓口として以下のページを総務省に届け出ています。
  • 7日以内の対応義務(法25条1項、施行規則16条): 削除申出を受けてから7日以内に、削除したか否か及びその理由を申出者に通知する義務
  • 削除基準の策定・公表義務(法26条): 投稿の削除に関する基準を策定し、公表する義務。爆サイは削除基準として以下のページを公表しています。

従来は削除依頼を出しても結果の通知すらないことがありましたが、この法律により、一定期間内に判断結果の通知を受けられるようになっています。
上記の削除申出窓口から申請した場合、爆サイの運営者は7日以内に対応結果を通知しなければなりません。

削除手続きにかかる期間と費用の目安

  • 送信防止措置請求: 送付から回答まで1~2週間程度が目安です。
  • 削除仮処分: 申立てから削除まで、おおむね1~2ヶ月程度です。ただし、事案の複雑さや運営者側の対応によって前後します。

投稿者を特定する「発信者情報開示請求」

「削除だけでは気が済まない」「損害賠償を請求したい」「二度と書き込まないよう誓約させたい」という場合は、削除と並行して、投稿者を特定する「発信者情報開示請求」を行います。

ステップ1:爆サイへのIPアドレス開示請求

爆サイの運営者に対し、対象の書き込みがなされた際のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。
爆サイは投稿者の氏名・住所などの個人情報は保有しておらず、保有しているのは通信の記録(ログ)のみです。

爆サイは2025年9月18日に手続き方法を変更しており、「弁護士・法務関連の申請窓口」からフォームで発信者情報開示請求を行うことができます。
ただし、現在、爆サイはコスト増等を理由に発信者情報開示請求について、レス1件につき3万3000円(税込)の手数料を請求しています。

任意での開示に応じない場合は、裁判所にIPアドレス開示の仮処分を申し立てます。

アクセスプロバイダへの契約者情報開示請求

開示されたIPアドレスから投稿者が利用したアクセスプロバイダ(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク等)を特定し、そのプロバイダに対して契約者の氏名・住所等の開示を求めます。
プロバイダは任意では開示に応じないため、原則として裁判手続きが必要です。

発信者情報開示命令(非訟手続)による一つの手続きでの請求

2022年10月施行の改正法により、上記のステップ1とステップ2を一つの手続きで行える「発信者情報開示命令事件(非訟手続)」が利用可能になりました。

従来は①爆サイへの仮処分と②プロバイダへの訴訟の2段階が必要でしたが、非訟手続では一連の裁判手続きとして処理できるため、手続きの迅速化が期待できます。
開示命令に加え、プロバイダへの消去禁止命令を併せて申し立てることで、ログの消去を防ぎつつ手続きを進めることが可能です。
ただし、爆サイが提供命令に応じるかは不明なため、従来の手続きを選択する方が良い可能性もあります。

ログ保存期間と早期対応の重要性

投稿者の特定において最も重要なのはスピードです。
アクセスプロバイダの通信ログ保存期間は、一般的に携帯キャリアで約3ヶ月、固定回線で約6ヶ月~1年程度です。
この期間を過ぎるとログが消去され、特定が技術的に不可能になります。

弁護士に依頼すれば、裁判手続きの際にプロバイダに対してログ保存要請を行い、証拠の保全を図ることも可能です。
被害に気づいたらすぐに弁護士に相談する方が良いでしょう。

開示請求にかかる期間の目安

発信者情報開示請求の手続き全体(爆サイへの開示請求からプロバイダへの契約者情報開示まで)にかかる期間は、おおむね半年~1年程度です。
非訟手続の活用により期間短縮が期待できますが、事案の内容や相手方の対応状況によって前後します。

投稿者特定後の法的措置

投稿者の身元(氏名・住所)が判明した後は、以下の法的措置をとることができます。

損害賠償請求(慰謝料の相場)

特定した投稿者に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求します。
まずは弁護士名義の内容証明郵便で示談交渉を行い、相手が応じない場合は民事訴訟を提起します。

慰謝料の一般的な相場(裁判例の傾向):

  • 個人の名誉毀損: 10万円~50万円程度(内容が悪質な場合はそれ以上になることもあります)
  • プライバシー侵害・侮辱: 数万円~数十万円程度
  • 事業者の信用毀損: 営業損害の実額(立証が必要)

上記に加えて、投稿者特定にかかった弁護士費用(調査費用)の一部が損害として認められる場合もあります。
ただし、近年では、全額が認められることは稀で、かかった費用の一定割合が損害として認定されるのが一般的です。

刑事告訴

投稿内容が刑法等の犯罪に該当する場合、警察に刑事告訴を行い、処罰を求めることができます。

  • 名誉毀損罪(刑法230条): 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
  • 侮辱罪(刑法231条): 1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(2022年の法改正により法定刑が引き上げられました)
  • 信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条): 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
  • 脅迫罪(刑法222条): 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金

重要: 名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪であり、被害者からの告訴がなければ検察官は起訴することができません(刑法232条1項)。告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月以内です。投稿者の特定後、速やかに告訴の要否を判断する必要があります。

示談交渉

損害賠償請求の前段階として、弁護士を通じた示談交渉を行うことが一般的です。
示談では、慰謝料の支払いに加えて、再発防止の誓約(今後同様の書き込みをしない旨の合意)を求めることも可能です。

裁判に至らず示談で解決できれば、時間・費用の両面で負担を軽減できます。

弁護士に依頼するメリットと費用の目安

法的構成の的確な判断

どの書き込みが、どの権利を侵害しているかを法的に構成することは、専門知識がなければ困難です。
弁護士は、過去の裁判例に基づき、認められやすい主張を組み立てます。

スピード対応によるログ消失の防止

前述の通り、プロバイダのログ保存期間は短く、時間との勝負です。
弁護士はタイムリミットを想定して適切なスケジュールで手続きを進め、ログ保存要請などの保全措置を迅速に行います。

加害者との直接交渉の回避

特定後の示談交渉において、被害者本人が加害者と連絡を取ることは精神的に大きな負担です。
弁護士が代理人となることで、相手と直接関わることなく、適正な条件(慰謝料額、再発防止の誓約など)での解決を目指すことができます。

費用の目安

弁護士費用は手続きの内容によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 削除依頼(弁護士名義の任意交渉): 着手金5万円~20万円程度
  • 削除仮処分: 着手金20万円~、報酬金を含めると合計で50万円前後になることもあります
  • 発信者情報開示請求: 着手金20万円~30万円程度(仮処分+訴訟の合計)
  • 損害賠償請求: 着手金+回収額に応じた報酬金

上記はあくまで一般的な目安であり、事案の内容や法律事務所によって異なります。
弊所の費用体系については、特設ページをご参照ください。

よくある質問

爆サイの削除依頼は無料でできますか?

はい。

爆サイの削除依頼フォームからの申請自体には費用はかかりません。
ただし、アカウント作成が必要です。

弁護士に削除依頼を依頼する場合は弁護士費用がかかります。

削除依頼を出してから削除されるまでどのくらいかかりますか?

削除依頼フォームからの申請の場合、早ければ数日、遅い場合は2週間程度かかることがあります。

なお、情報流通プラットフォーム対処法に基づく削除申出の場合、爆サイの運営者は7日以内に対応結果を通知する義務があります。

匿名の投稿者でも特定できますか?

はい。

発信者情報開示請求により、匿名の投稿者を特定できる可能性があります。
爆サイからIPアドレスの開示を受け、それをもとにプロバイダから契約者の氏名・住所の開示を受けるという手順で特定を進めます。
ただし、ログ保存期間を過ぎると特定が困難になるため、早期の対応が重要です。

爆サイの書き込みで慰謝料はいくら取れますか?

裁判例の一般的な傾向として、個人への名誉毀損の場合は10万円~50万円程度、プライバシー侵害・侮辱の場合は数万円~数十万円程度です。
ただし、書き込みの内容・頻度・拡散度・被害の程度等によって大きく異なります。

自分で削除依頼して失敗した場合、弁護士に依頼すれば削除できますか?

弁護士に依頼することで、法的根拠に基づいたより説得力のある削除請求を行うことが可能です。
弁護士名義の送信防止措置請求で削除されるケースもあります。
それでも応じない場合は、裁判所に削除仮処分を申し立てることになります。
裁判所が権利侵害を認めて削除命令を発令すれば、爆サイの運営者は原則としてこれに従います。

おわりに

爆サイにおける誹謗中傷は、地域や業界といった狭いコミュニティ内で拡散するため、被害者の生活に直接的なダメージを与えます。
「匿名だからバレないだろう」という投稿者の認識は誤りです。
法的な手続きを踏めば、投稿者を特定し、相応の責任を取らせることは十分に可能です。

2025年の情報流通プラットフォーム対処法の施行により、爆サイの運営者にも迅速に削除に対応する義務が課されるようになりました。
しかし、依然として裁判手続きが必要となるケースも多くあります。
また、投稿者を特定する手続きにはログ保存期間という時間的な制約がありますので、誹謗中傷の書き込みを見つけたら、まずは証拠を保存し、速やかに弁護士にご相談ください。

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この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

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