児童ポルノの所持で逮捕?単純所持の罰則と弁護活動を弁護士が解説

目次

【この記事の結論・要約】

  • 児童ポルノの単純所持は犯罪です。自己の性的好奇心を満たす目的での所持には、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます(児童ポルノ禁止法7条1項)。
  • ダウンロードして保存した時点で「所持」に該当し、サイバーパトロールやIPアドレスの特定等を通じて発覚するケースが増えています。
  • 初犯で早期に弁護士へ相談すれば、不起訴処分を目指せる可能性があります。データの完全消去、反省文の作成、贖罪寄付などの弁護活動が重要です。

はじめに

近年、児童ポルノに関する規制は年々厳格化しています。

日本では、2014年(平成26年)の法改正により、それまで処罰対象ではなかった児童ポルノの単純所持(自分で見るためだけに持っていること)も犯罪となりました。

この改正は、国際社会からの強い要請と、インターネットの普及により児童ポルノ被害に遭う子どもが増え続けていたことを背景としています。

「ダウンロードしただけ」「保存しただけ」であっても処罰の対象となるため、不安を感じている方も少なくないでしょう。

本稿では、児童ポルノ禁止法の罰則、逮捕・捜査の流れ、不起訴を目指すための弁護活動について、わかりやすく解説します。

なお、本稿における条文の引用は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「児童ポルノ禁止法」)に基づいています。

児童ポルノとは|法律上の定義

児童ポルノとは、18歳未満の者(=「児童」)の性的な姿態を描写した写真・動画・デジタルデータなどの記録物をいいます(児童ポルノ禁止法2条3項)。

児童ポルノの3類型

法律では、児童ポルノを以下の3つの類型に分けて定義しています。

類型内容(法2条3項)
1号児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る姿態を描写したもの
2号他人が児童の性器等を触る行為、又は児童が他人の性器等を触る行為に係る姿態であって、性欲を興奮させ又は刺激するものを描写したもの
3号衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等・臀部・胸部)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを描写したもの

押さえておきたいポイント

  • 「児童」とは18歳未満の者を指します(児童ポルノ禁止法2条1項)。
  • モザイク処理がされていても、上記の類型に該当すれば児童ポルノに当たります。無修正である必要はありません。
  • 写真や動画だけでなく、デジタルデータ(画像ファイル・動画ファイル等)も対象です。

行為別の違法性と罰則一覧|児童ポルノ禁止法の刑罰

児童ポルノに関連する行為と、その罰則(法定刑)を一覧表にまとめます。

※2025年6月1日施行の刑法改正により、「懲役」は「拘禁刑」に名称が変更されています。

行為法定刑条文
単純所持(自己の性的好奇心を満たす目的)1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金7条1項
提供3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金7条2項
提供目的の製造・所持・運搬等3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金7条3項
製造(姿態をとらせて描写)3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金7条4項
製造(盗撮等・ひそかに描写)3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金7条5項
不特定多数への提供・公然陳列5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科7条6項
上記目的での製造・所持・運搬等5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科7条7項

※「併科」とは、拘禁刑と罰金の両方が科されることを意味します。

提供や公然陳列など、第三者への拡散に関わる行為ほど法定刑が重くなる構造になっています。

単純所持罪の成立要件|どのような場合に処罰されるのか

児童ポルノの単純所持は、一定の要件を満たした場合に処罰されます(7条1項)。

成立に必要な3つの要件

単純所持罪が成立するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 「自己の性的好奇心を満たす目的」があること
  2. 「自己の意思に基づいて所持するに至った」こと
  3. 所持した者が「当該者であることが明らかに認められる」こと

「知らずにダウンロードしていた」場合はどうなる?

意図せずダウンロードされたファイルや、スパムメールで送りつけられた画像など、自分の意思に基づかない所持であれば、原則として処罰の対象にはなりません。

ただし、中身を確認した上でそのまま保存し続けた場合には、「自己の意思に基づく所持」と評価される可能性があるため注意が必要です。

削除した場合の評価

児童ポルノを所持していたものの、自主的に削除した場合には、捜査機関の判断や削除の時期にもよりますが、反省の態度を示す事情として考慮される可能性があります。

ただし、削除した時点ですでに所持罪は成立しているため、削除したから無罪になるわけではない点に留意してください。

児童ポルノのダウンロードは違法?所持との関係

ダウンロード=「所持」に該当する

インターネットから児童ポルノをダウンロードし、パソコンやスマートフォンに保存した時点で「所持」に該当します。

画像や動画をフォルダに保存している場合はもちろん、ダウンロードフォルダに残っている状態でも所持と評価されることがあります。

ストリーミング視聴の場合

ストリーミング(データをダウンロードせずにリアルタイムで視聴する方式)の場合は、端末にデータが保存されないため、所持には該当しにくいと一般的に考えられています。

BitTorrent(トレント)利用時の特別なリスク

BitTorrent(トレント)は、ファイル共有ソフトの一種で、ダウンロードとアップロードが同時に発生する仕組みになっています。

つまり、児童ポルノをトレントでダウンロードした場合、単純所持罪だけでなく、不特定多数への提供(7条6項)として、より重い罪に問われるリスクがあります。

7条6項の法定刑は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその両方であり、単純所持罪よりも大幅に重い処罰となります。

児童ポルノ事件の捜査・逮捕の流れ

児童ポルノ事件がどのように発覚し、捜査が進むのかを解説します。

① 発覚のきっかけ

児童ポルノ事件は、主に以下の経路から発覚します。

  • サイバーパトロール:警察がインターネット上を監視し、違法なコンテンツを発見する
  • 通報:一般市民やインターネット・ホットラインセンター(IHC)からの通報
  • 海外捜査機関からの情報提供:国際的な捜査協力による情報共有
  • 別件捜査からの発覚:別の犯罪の捜査中に端末から発見される

② IPアドレスの特定とプロバイダへの照会

サイバーパトロール等で違法なアクセスが確認されると、IPアドレスの特定が行われます。

その後、捜査機関はプロバイダ(インターネット接続事業者)に対して契約者情報の照会を行い、利用者を特定します。

③ 家宅捜索・端末の押収

利用者が特定されると、裁判所の発付する捜索差押許可状に基づき、家宅捜索が行われます。

パソコン、スマートフォン、外付けハードディスク、USBメモリなどの記録媒体が押収されます。

④ 逮捕・勾留の流れ

逮捕された場合の身体拘束の流れは以下のとおりです。

段階期間内容
逮捕最大72時間警察での取調べ後、検察官に送致(送検)
勾留原則10日間検察官の請求により、裁判官が勾留を決定
勾留延長最大10日間捜査の必要性がある場合に延長
起訴/不起訴の判断勾留期間満了までに検察官が判断

逮捕から起訴・不起訴の判断までは、最大で23日間の身体拘束を受ける可能性があります。

なお、逮捕されずに在宅事件として捜査が進められるケースもあります。

一般のわいせつ物頒布等罪(刑法175条)との違い

児童ポルノ禁止法による処罰と、一般的なわいせつ物(無修正のアダルト動画など)に対する刑法175条の処罰には、大きな違いがあります。

法定刑の比較

比較項目児童ポルノ禁止法刑法175条(わいせつ物頒布等罪)
単純所持処罰あり(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)処罰なし(有償頒布目的の所持のみ処罰)
提供・頒布3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金2年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金若しくは科料、又は併科
不特定多数への提供・公然陳列5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科同上(2年以下/250万円以下)

最大の違い:「単純所持」の可罰性

最も大きな違いは、単純所持が処罰されるかどうかです。

一般の無修正動画(成人が出演するもの)については、個人的に所持しているだけでは処罰されません。
処罰されるのは、有償で頒布する目的で所持・保管していた場合に限られます(刑法175条2項)。

一方、児童ポルノについては、自己の性的好奇心を満たす目的で所持しているだけで犯罪となります。
これは、児童ポルノが児童の権利を著しく侵害するものであることから、需要側も処罰対象とするという法の趣旨に基づいています。

※一般の無修正動画(アダルトビデオ)のアップロードに関する違法性については、以下の記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい
無修正動画の投稿・アップロードは犯罪?逮捕される罪と刑罰を弁護士が解説 はじめに インターネットとスマートフォンの普及により、誰もが簡単に動画を世界中に発信できる時代になりました。また、アダルトなコンテンツは大きな収益が見込めるた...

弁護活動と不起訴を目指すポイント

児童ポルノの所持で捜査を受けた場合でも、適切な弁護活動により不起訴処分を目指すことは可能です。

特に初犯で、所持のみ(提供や製造を伴わない)の場合には、以下の対応が不起訴に向けた重要なポイントとなります。

① 反省の態度・再発防止策の提示

真摯な反省の態度を示すことが極めて重要です。

具体的には、反省文(謝罪文)の作成や、カウンセリングの受診、フィルタリングソフトの導入など、再発防止に向けた具体的な取り組みを示すことが有効です。

② 示談

児童ポルノの対象となっている被害者が誰か分かる場合、示談をして被害回復を図ることで、不起訴になる可能性が高まります。

被害者は児童ですから、示談交渉の相手は被害児童の保護者となることがほとんどです。
保護者からすれば、自分の大事な子供が被害に遭っているわけですから、通常の犯罪よりも示談が難航することが多いと言えます。
そのため、示談をする場合は、弁護士に依頼するのが望ましいと思われます。

③ 贖罪寄付(しょくざいきふ)

児童を直接撮影した、児童に直接写真や動画などを送信させたなど、被害者がどこの誰か分かる場合には、被害者との示談が重要です。
もっとも、児童ポルノの単純所持のケースでは、被害者が誰か分からず、示談が困難なケースもあります。
そのような場合には、贖罪寄付が有効となることがあります。

贖罪寄付とは、被害者への直接的な弁償ができない場合に、弁護士会や公益団体等に寄付をすることで反省の態度を示すものです。
もっとも、被害を直接的に回復するものではないため、その効果は限定的といえます。

④ 初犯の場合の見通し

初犯で、単純所持のみの事案であれば、上記の弁護活動を適切に行うことで不起訴処分(起訴猶予)となる可能性があります。

ただし、所持していたデータの量が大量であった場合や、常習性が認められる場合には、起訴される可能性も否定できません。
個別の事情によって見通しは異なるため、早期に弁護士へ相談されることをお勧めします。

ご家族が逮捕された方は、以下のページもご参照ください。

あわせて読みたい
ご家族が逮捕された方へ|釈放・不起訴を目指す刑事弁護 ご家族が逮捕された方へ|釈放・不起訴を目指す刑事弁護 「昨日、家族が警察に逮捕されてしまった」 「警察から呼び出しを受けているが、どう対応すればいいかわからな...

FAQ(よくある質問)

児童ポルノが入っている動画をダウンロードしてしまったのですが、すでに削除しました。それでも逮捕されることはあるのでしょうか?

はい、削除済みであっても逮捕される可能性はあります。

児童ポルノの単純所持罪は、ダウンロードして保存した時点で成立するため、その後に削除しても犯罪の成立自体がなくなるわけではありません。
もっとも、ダウンロードのみの場合(アップロード等をしていない場合)、他の類型と比べて逮捕される可能性は低いとは思われます。

BitTorrent(トレント)で動画をダウンロードしていたのですが、単純所持よりも重い罪になると聞きました。本当ですか?

はい、本当です。BitTorrentは仕組み上、ダウンロードとアップロードが同時に行われるため、単純所持罪(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)だけでなく、不特定多数への提供(5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科)に問われるリスクがあります。

ただし、具体的にどの罪が適用されるかはケースバイケースです。
詳しい罰則の違いや弁護活動のポイントは、本コラム内で詳しく解説していますのでご参照ください。

児童ポルノの所持で捜査を受けていますが、初犯です。不起訴になる可能性はありますか?

はい、初犯で単純所持のみの事案であれば、不起訴処分となる可能性はあります。

反省文の作成、示談、贖罪寄付、カウンセリングの受診といった弁護活動を適切に行うことが重要です。
ただし、所持していたデータの量や常習性の有無など、個別の事情によって見通しは大きく異なります。

具体的な弁護活動の進め方や、当事務所でのサポート内容については、本コラム内で詳しく解説しています。

ストリーミングで児童ポルノを見てしまった場合、それだけで逮捕されることはありますか?

原則として、ストリーミング視聴のみで端末にデータが保存されていなければ、「所持」には該当しにくいと考えられています。

ご自身の行為が処罰対象にあたるかどうかの判断は個別の事情によりますので、不安がある場合は弁護士への相談をお勧めします。
詳しくは本コラムをご確認ください。

家族が児童ポルノの所持で逮捕されました。今すぐできることはありますか?

はい、まず弁護士に相談してください。

逮捕後は最大23日間の身体拘束を受ける可能性がありますが、弁護士が早期に接見(面会)を行い、取調べへの対応方針を助言することで、不利な供述を防ぐことができます。
また、釈放に向けた活動や、不起訴を目指すための準備を速やかに開始することが重要です。

逮捕後の流れや弁護活動の具体的な内容については、本コラムおよびご家族が逮捕された方へのページで詳しくご案内しています。

おわりに

児童ポルノの所持は、「(犯罪であると)知らなかった」「ダウンロードしただけ」では済まされない重大な犯罪です。

しかし、早期に弁護士へ相談することで、取るべき対応が明確になり、不起訴処分を目指すための適切な弁護活動を進めることができます。

  • 児童ポルノを所持してしまい、不安を感じている方
  • すでに捜査機関から連絡を受けた方
  • ご家族が逮捕された方

このような状況にある方は、一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

刑事弁護についてはこちらから

弊所の弁護士へのご相談等はこちらから

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

髙田法律事務所の弁護士。東京弁護士会所属 登録番号60427
インターネットの誹謗中傷や離婚、債権回収、刑事事件やその他、様々な事件の解決に携わっている。
最新のビジネスや法改正等についても日々研究を重ねている。

目次